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ペイトン尚未1st LIVE「魔法」ライブレポート🌸

導入

 ペイトン尚未が3月21日、東京・日本橋三井ホールで1st LIVE『魔法』を開催した。

 ペイトン尚未はソニー・ミュージックアーティスツ(SMA VOICE)に所属する声優、歌手でアイドルだ。3月1日に自身の1stシングル『魔法』をリリースし、ソロ歌手デビューを果たした。本公演はその表題曲を引っ提げてのものになった。

開場

 会場に入るとBGMが流れていた。しかし、それらの楽曲はペイトン尚未の曲でなければ、「人」の歌声ではなかった。VOCALOID、いわゆるボカロ曲だ。彼女は大のボーカロイド・初音ミク好きとして知られており、自身のSNSでは普段聴いているボカロ曲をしばしば共有している。公演名と同じく「魔法」を冠したものや、彼女の好きな色・イメージカラーである「桜」を想起させる楽曲が選曲された。 

 ステージ上には、「Naomi Payton 1st LIVE 魔法」と大きなスクリーンに投影されていた。「魔法」の文字は彼女のシングルのジャケットにも使用されていた書体で、文字の一部分が煌めく星のようなデザインとなっていた。スクリーン両脇には赤・黄・緑色の大小さまざまな球体の装飾がなされ、その鮮やかさからは、これからかけられる「魔法」への高揚感とも感じられた。

本編


 開演となると同シングルのジャケット衣装でペイトン尚未が登場し、1曲目に『魔法』を披露した。終盤のシャウトもパワフルにきめ、浪漫派(彼女のファンの総称)を湧かせた。

 2曲目は、成宮亮 feat.初音ミクの『君が手を握ってくれるのなら』をカヴァー。こちらはサビの音程の上下が激しく、またハイテンポであるが、ラスサビの転調も含め難なく歌い上げ見せた。

 そしてMCへ。「ようこそ!」とファンたちへの歓迎の言葉を述べた後、この日は火曜・祝日にもかかわらずたくさんの人が来てくれたことに感謝を述べるペイトン。続けて、公演情報発表時には解禁されていなかった「声出し」について触れ、ファンと積極的なコミュニケーションをしたいと宣言。あらためて自己紹介をすると給水タイムに。水を飲む彼女に対しての客席からの「かわいい!」という掛け声に、照れつつもファンたちにも給水を促した。公演グッズを身につけている人にも「嬉しい」と喜んだ。

 3曲目の『トライアングラー』は2008年放送のテレビアニメ『マクロスF』のオープニングテーマ。老若男女、さまざまな世代に人気の作品という事もあってか、イントロでは客席から歓声が上がり、場内はピンクと緑色に埋め尽くされた。サビでは、曲名や作中内の「三角関係」を示すように、手で三角形をつくる振りを披露した。

 続いて4曲目もアニソン。『Catch You Catch Me』は『カードキャプターさくら』の第1期オープニングテーマだ。イントロの振り付けでは、クルっと後ろを向き、頭上に手でハートを作るといったかわいらしい振りつけが。曲中では客席から自然と「だって」や「お願い」の部分でコールが上がった。

幕間映像①

 ペイトンがステージを去り、ファンたちが腰を下ろすとすぐ、『魔法 -Instrumental-』をBGMにスクリーンでは5分ほどの幕間映像が流れた。映像は『魔法』のレコーディングやライブのリハーサルの様子をおさめたもので、熱心に歌うペイトンの様子に客席ではペンライトを振ったり掛け声を上げたりとそれぞれ思い思いのエールを届けた。映像の最後には、「ここからのパートはそのまま着席したままでお楽しみください」という旨のテロップが映し出される。

 映像がおわり、再び下手から現れたペイトンが5曲目に披露したのはaikoの『カブトムシ』。ここまでの4曲とは打って変わり、ゆっくりと落ち着いたバラード曲だ。彼女の透き通るような歌声に応えるように、客席のライトも左右にゆったりと振れていた。曲が終わるとペイトンは用意された椅子に掛ける。

 6曲目、『一番綺麗な私を』は歌手・中島美嘉が2010年にリリースした一曲だ。一曲を通しての音域はそこまで広くないものの、平均的な音程はかなり高いこの楽曲。座ったまま歌い上げたのは、まさに彼女の歌唱力やポテンシャルの高さを十分に発揮していたと言えるだろう。

 7曲目、ペイトンが椅子から離れるとスコットランド民謡で使われるバグパイプを中心に、会場は賑やかなメロディに包まれる。ボーカロイドのP(プロデューサー)ryoの『罪の名前』だ。この楽曲は一曲を通じて描かれるストーリー性が特徴であり、「魔法で醜い姿にされた少女と盲目の少年の物語」といったようなおとぎ話仕立てになっている。ペイトンは曲中、歌詞にあわせて舞台上を縦横無尽に動き回り、その一瞬でファンをミュージカルの世界に引きずり込んだようだった。

幕間映像②

 拍手がやむと、本公演2回目の幕間映像へ。内容はペイトン尚未へのインタビューで、初のオリジナル楽曲リリースに対する想い、彼女が自身のパーソナルカラーを「桜色」にした理由、初のライブへの正直な気持ちなどが語られた。映像に最後には、ペイトンからカメラの向こう側にいる場内のファンにむけて「スタンドアップ!」と起立を促す掛け声が。歓声の後、会場がライトアップされると次の曲へ。

 衣装を変えて披露した8曲目は、ボカロP・ DECO*27の『妄想感傷代償連盟』。彼女は昨年、同楽曲のカヴァー動画をニコニコ動画に投稿しており、再生回数は12万回を超えている(2023/4/1時点)。また彼女のファンクラブイベント「浪漫派みーてぃんぐ」でも披露しており、彼女のファンにとっては非常になじみ深い楽曲であった。

 本日2度目のMCでは、ここまでの楽曲の振り返り。といきたいところであったが、それは今後、ファンクラブのブログで綴っていく予定だという。客席に「どの曲がよかったか?」など質問を投げ、いくらかコミュニケーションがとられた後、ペイトンは今回の衣装について触れた。その衣装は今回のCDのブックレットにも掲載されているものでもあり、次の曲をイメージした、爽やかな青色のトップスとペイルカラー数色で彩られたスカート。くるくると衣装全体を披露すると、最後の曲のふりへ。

 「それでは聴いてください 『リコルド』」

 9曲目は今回のシングルに収録されている、もうひとつのオリジナル曲『リコルド』。この曲の別ヴァージョンが、CDリリース前から同曲の作詞などを手掛けた「しがない高校生」名義で配信されている。本公演で披露された楽曲のなかでも群を抜いてアップテンポな曲であり、曲の最中にはペイトンがハイキックするというとてもパワフルなパフォーマンスも見せるなど、最高潮で本編を駆け抜けた。

ENCORE

 約5分の客席からENCOREに応え、本公演のライブTシャツを着てペイトンが再登場。前奏なしに歌い始めた楽曲は椎名林檎の『人生は夢だらけ』。時折、目を瞑っているようにみえたペイトンであったが、ペンライトで真っ赤に染まった会場に、伸びのある歌声を響かせた。曲が終わると、目を瞑っていたことについて「皆さんのペンライトの綺麗な光をみると、嬉しさのあまり歌詞がとんだり、リズムが崩れてしまったりする恐れがあった」とにこやかに話し、客席からは「かわいい」などの歓声があがった。

 最後のMCでは、本公演を振り返っての感想を「すごく楽しかった」とし、「自分はまだまだ未熟だなと思った。けれどこれは決してネガティブな意味じゃなく、これからのことを考えるとすごく楽しみ!」と続けた。

 ENCORE 2曲目「これが本当の最後の曲!」と歌ったのは『魔法』。スクリーンに歌詞が映し出されており、サビでは、ペイトンがマイクをまるで「魔法の杖」のように客席に向けたことで、会場全体を巻き込む大合唱で幕を閉じた。

W-ENCORE

 しかしペイトンがかけた「魔法」はまだ終わらなかった。彼女がステージを去ったあとに流れたいた『魔法 -Instrumental-』にあわせて、客席から「尚未コール」があがったのだ。これに応えて登場した彼女は「ここからは台本一切です!」「Wアンコールは想定していませんでした!」と笑顔をみせた。

 「これがラストのラストです!それでは聴いてください『リコルド』!!」
楽曲のイメージカラーである青色に包まれた会場で、全12曲を歌い切った。曲が終わると『リコルド』について「いつか振りを付けて披露したい」と話した。

 去り際にペイトンは、「今回キャパの関係で来られなかった人がいると思うんだけど、もし周りにそういう人がいたら宿題!『ペイ子はいつでも待っているから』と伝えて!!」と浪漫派たちに想いを託し、万雷の喝采のなか終演を迎えた。

■セットリスト


M01:魔法
M02:キミが手を握ってくれるのなら
MC①
M03:トライアングラー
M04:Catch You Catch Me
幕間映像①
M05:カブトムシ
M06:一番綺麗な私を
M07:罪の名前
幕間映像②
M08:妄想感傷代償連盟
MC②
M09:リコルド
EN01:人生は夢だらけ
EN02:魔法
W-ENCORE
EN03:リコルド

■場内BGM(順不同)


花降らし/ 初音ミク
桜前線異常ナシ/ 初音ミク
上弦の月/ KAITO V3
ゆめゆめ/ 初音ミク
Hello, Worker/ KEI feat.巡音ルカ
春の魔法/ *Luna feat.IA

■プレイリスト公開中!

各音楽配信サイトにてセットリストに場内BGMを加えた、プレイリスト*を公開中!
(*未配信楽曲を除く。オリジナルがない場合、代わりにカヴァー楽曲を追加していることがあります。)
Spotify

ニコニコ動画

ボカコレ

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