吉岡と公園/黒史郎・化け録
化け物は、日常のなかに意外なかたちで潜んでいる。
自分ひとりでは何の不思議も感じなかったことが、他人と話したことで唐突に奇妙な話に変貌する。そんなことも、ある。
文=黒史郎
挿絵=北原功士
吉岡 遠ければ遠いほど、記憶とは信用できないものである。あなたが「はっきりと覚えているから絶対に間違いない」とかたく信じて疑わないその記憶も、過去の事象である限りは絶対などない。時を経てゆくことで記憶は希薄になり、色形を変え、他の記憶と融合し、実際の体験とは異なる記憶となるからである。