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なぜ最強のマナクリーチャーが≪貴族の教主≫なのか?
『アラーラの断片』発売から10余年が経った。その間、数多の1マナ・クリーチャーが現れてはスタンダードで使われ、モダンで使われ、レガシーで使われた。中には≪死儀礼のシャーマン≫というレジェンドもいたし、最近では≪極楽鳥≫の系譜である≪金のガチョウ≫なるものも現れた。
今回は、マナクリーチャーに求められる役割を振り返りながら、なぜ今日まで≪貴族の教主≫が最強のマナクリーチャーに君臨しているのかを説明する。「いや、最強のマナクリーチャーは○○だ」という批判もあるかもしれない。もちろんそういう意見も歓迎だ。ちなみに、部族に親を殺されているのでエルフ愛好家は帰ったほうがいい。
最強の条件①:マナを生み出せる
いきなり当たり前かもしれないが、これはつまりそのデッキが要求する色のマナを適切なタイミングで出せるということだ。≪ラノワールのエルフ≫は緑単色のエルフデッキなら100点だが、黒をタッチしていたりエルフ以外のデッキでは70点にも50点にもなり得る。≪献身のドルイド≫も、横に並んでいなければマナを出すことができない。
基本のスペックだが、下環境なら更に上を求めたい。
マナクリーチャーというカテゴリに入れたくない。
≪死儀礼のシャーマン≫や≪金のガチョウ≫は色マナという点では申し分ないが、フェッチランドや≪食物≫が無い場合など適切なタイミングでマナを出すことができないので、ここは80点といえるだろう。その点、≪貴族の教主≫はバントカラーのデッキなら100点、そうでなくとも2色以上デッキカラーとマッチしていれば、その時点で間違いなく他のマナクリーチャーを出し抜いている。
最強の条件②:クロックである
ここまで、実はほぼ同じ条件のクリーチャーがいる。アルファから存在する始祖鳥こと≪極楽鳥≫だ。飛行もついている。だが決定的な違いが賛美の有無である。
あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
たった1点だが、この差が≪極楽鳥≫との大きな違いだ。クロックであるということは、単体で勝ち得るということだ。カウンターの載っていない≪梅澤の十手≫も装備できるし、基本のパワーが0なので≪罠の橋≫も渡ることができる(単なるパワー1よりも優れていると言える)。戦闘を介さないクロックを兼ねるマナクリーチャーとして≪死儀礼のシャーマン≫は化物だったが、他のクリーチャーを支援できるという面では≪貴族の教主≫も負けていないだろう。実際のところ、当時は5枚目以降の≪死儀礼のシャーマン≫として使っていた。
そもそも、クロックであるということはマナクリーチャーのアイデンティティだ。マナクリーチャーとは、出したターンに使えないというデメリットを享受する代わりに攻撃力を手にしたリソースであり、殴れないというだけで≪モックス・ダイアモンド≫なり≪金属モックス≫なりの下位互換に成り下がってしまう。
最強の条件③:1マナである
下の環境で2マナのマナクリーチャーが活躍した例はあまり無い。マナクリーチャーが一番強いタイミングとは、2ターン目に3マナ域にジャンプする時だからだ。2ターン目とは、先手なら相手の行動回数に最も制限があるタイミングであり、ここで押し付ける動きを取れることがマナクリーチャーの最大のメリットだ。それ以降のターンでもマナが伸びていることは有利に働くが、3ターン目4ターン目は相手もそれなりの行動ができるターンなので価値は薄い。相手の脅威を対処して、自分の脅威を展開する―マナクリーチャーの真髄は、そんなマジックの基本を相手にさせないところにある。
2ターン目オーコ、しよう!
お前は別のカテゴリーだろ!
無事之名馬
≪死儀礼のシャーマン≫全盛期を知っていると、≪貴族の教主≫のデメリットばかりに目が行きがちだったが、この10年で競合する相手がこの1枚しか刷られていない現実を鑑みると、おそらく今後もしばらくは攻守にわたって同等以上のマナクリーチャーは登場しないだろう。≪金のガチョウ≫には本当に期待していたのだが、後半の弱さが教主の比ではなかった。≪食物≫生産はETBの一度でいいので、クロックに繋がる能力が欲しかったところだ。そしてわかったことは、≪貴族の教主≫がマナクリーチャーの分水嶺ということだ。おそらくこれ以上強ければ収監されるし、≪ラノワールのエルフ≫ですら収録を躊躇われる現状、スタンダードでは教主より明らかに弱くデザインするしかないのだ。
以上、地味かもしれないが、これが≪貴族の教主≫が最強のマナクリーチャーになるまで歩んできた道のりだ。十分に最強だということがわかった今、≪貴族の教主≫の性能に求めることは何も無い。フェアデッキを強化する、教主二世、または死儀礼2号と呼べるような更なるスペックの後継機の登場は期待しないで待つことにしたい。しかし、一つだけ、一つだけ言わせてもらえるとすれば、応えてほしい唯一無二の欠点がある。
イラスト、何とかなりませんか?
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