【新枠で出せ】ミステリーブースターがいかにゴミか語る

新型コロナウイルス感染症の影で、またウィザーズから意味不明な商品が発売された。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0033426/

『Mystery Booster』は、カオス・ドラフトやキューブ・ドラフト、その他特にルールのないドラフトなどから着想を得たブースターパック製品です。簡潔に説明すると「ちょっとひねりを加えたカオス・ドラフトをパックに詰めた製品」と言えるでしょう。

ふーん…ドラフト専用ブースターなのね。というと思い返すのは『コンスピラシー』『コンスピラシー2』だ。あれはあれでドラフト専用カード等の工夫が施されていて面白かったし、構築プレイヤー目線でも優良なカードが収録されていて良かった。当時は≪議会の採決≫、≪トレストの使者、レオヴォルド≫のFoilを巡って楽しんだものだ。

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そこまで楽しかったかと言われると疑問

だが、今回は毛色が違う。再録カードしかないし、再録基準も微妙だ。ただ「カオスドラフトっぽい」というだけだ。


カオスドラフトは公式主体でやるべきか?

発売時期の違う3つのエキスパンションを持ち寄って行うカオスドラフト。これを公式がやろうとしたのが今回の企画というわけだ。もちろんテストプレイカードというオマケもあるのだが、いわゆるキューブ的な遊びは、家やショップのストレージからかき集めていかにカオティックな環境を作り出せるかの偶発性が面白いのだと思う。≪メデューサの髪≫が大量に出てくるキューブとか、面白そうじゃないか?(多分つまらない)

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ミステリーブースターは"グランピング"だ。キャンプ用品を用意するのが面倒な消費者のために「公式でキットを作りました!これを買えば即席でキャンプ(ドラフト)が楽しめます」というキットなわけだ。だが、自前での用意が大変だったり、ある程度しっかりした物でないとそもそもキャンプが成立しないキャンプ用品と違って、ドラフト用のプールというのはどうしようもなくても成立する…例えば身内同士の対戦ではそのどうしようもなさが面白さに繋がるようなものなのだ。

またショップがオリジナル商品として販売している"くじ"や"ランダムパック自販機"も、十分ミステリーブースターの役割を果たしていると言えるだろう。これまでも、これを3パック分買って遊べばよかったのだ。何というか、ショップのある種経営努力とも言える商品と競合するものを、わざわざ公式が販売する意義があまり見い出せない。


再録方法がふざけすぎ

これが今回の話のキーポイントなのだが、新枠愛好家として"再録カード"には心躍るものだ。レガシーは再録禁止のせいで仕方ない部分があるが、旧枠しかないカードが新枠になったり、新枠カードが新新枠になったりすると統一感が上がって嬉しかったりする。テンプレートも然り、「comes into play」が「enters the battlefield」になっているとスッキリしないだろうか?

だが、現実はそううまくいかないものだ。

また、『Mystery Booster』の収録カードは元のセットのシンボルやコレクター番号で出現します。違いはそれだけ? それから、カードの左下隅には、こんな風にプレインズウォーカー・シンボルが小さく印刷されています。

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はぁ…。

百歩譲って、原盤そのままの形で再録するのはいいだろう。だがこの左下のプレインズウォーカーシンボルは要るか?おそらく初版と区別するために追加したのだろうが、こんなものを追加するくらいなら枠なり、テンプレートなりを最新のものに直せば、それこそこんなカードの隅を見比べずとも区別出来てよかったのでは?当時を懐かしませるために隅に小さくシンボルを入れたのかもしれないが、これでは単にコレクターとショップの労力が劇的に増えただけだ。

では、単に新々枠で再録すればよかったのか?そうだと言えば話は終わってしまうので、ここからは独断と偏見による、さっさと再録してほしいカードを紹介する。


再録回数は多いが差し替えられていないカード:あきまへん度☆☆

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コモンやアンコモンのカードに多い。再録回数はそれなりだが、「構築で使われてるの見たことないカードのMO限定アート描かせる前にこっちを先に描き起こせよ」と言わんばかりには描き直されない。別に元のアートをとやかく言うつもりは無いが、アートディレクションは3回も4回も再録されてるのに一向に変わらないイラストを見て何も思わないのだろうか。


第8版、第9版に収録の白枠のカード:あきまへん度☆☆☆

これは少し前に比べると数が少なくなった。その昔、基本セットのカードは2年の販売スパンがあり、それよりも販売期間が短い拡張エキスパンションは限定セット扱いだった。それを区別するために基本セットは白枠という慣習が第2版〜第9版まで続いたというのは有名だろう。だが、この第8版と第9版はモダンを定義する壊れカードを多く再録しておきながらその後の再録が無いものが多かった(今は再録されたが《罠の橋》や《血染めの月》は最たる例だった)。

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今でも、忌まわしきトロン土地や《テフェリーの細工箱》《侵入警報》等は、旧黒枠か新白枠かしか選べない不便な仕様だ。一応、Foil版やロシア語版という抜け道はあるものの、さっさと再録(乃至は禁止)しろと思う。


旧ミラディン~第8版のアーティファクト:あきまへん度☆☆☆☆

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旧枠が新枠になった時、アーティファクトはそれまでの茶色から銀色に枠の色が変更になったわけだが、最初期のミラディン~第8版までと、フィフスドーン以降では枠の色が微妙に異なることをご存知だろうか。理由は「枠の色が白くて白のカードと見分けがつかないから」。なかなかどうしてフザけた理由だ。ちなみに、テキスト欄のマナシンボルも最初は統一感を図るためモノクロだったのが、後に見づらいとのクレームによってカラーになった。修正するのはいいが、それならそれで早く再録してくれ。

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迷走していた時期。そういえばフリガナも無い。


再録禁止じゃないのに一度も再録されてないカード:あきまへん度☆☆☆☆☆


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ここ3〜4年のマスターズ再録祭りでだいぶ数を減らしたが、レガシーでよく使われるカードなのに再録されていないカードが未だに多くある。《洞窟のハーピー》なんて最たる例で、アルーレンのリストの中でこいつだけ旧枠で仲間外れにされているのを見ると切なくなってしまう。こんなどうしようもないコモン、再録したところで損などしない(どころか、コレクターがFoilを求めてパックを剥くだろう)のだから、Secret Lairよろしく下環境パーツシリーズを一度計画してはどうかと思うのだ。


枠&テンプレート補完計画

だいぶ話が逸れたが、ミステリーブースターの問題点がご理解いただけたかと思う。そもそも1600種類も再録しておいて、話題になってるカードが《魔力の墓所》しか無いあたり(しかもプライズ的な側面で)どうかしている。せめて初の再録や、人気カードのアート違いの再録くらい仕掛けてほしかったものだ。対抗色フェッチランドがSecret Lairで再録されるらしいが、下環境向けのカードはもうこんな拝金みたいな形でしか手に入らなくなるのか、今後に注目しておきたい。(期待はしない)

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