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リアルファイトクラブ⑦

クラブ活動

次の日の20時。レイモンドの店の駐車場には5人の男達が集まった。そう、あの大型トラックも入るデカい駐車場のど真ん中だ。集まった5人の男達は宇宙に打ち上げられる猿みたいだ。

「スペースモンキー」

遅かれ早かれ俺達はタイラーのお望み通りになっていった。

ここに集いし有能で賢いスペースモンキー達を紹介しよう。クソガキ3人組のボス格の出っ歯、あとはデブとメガネ、そしてレイモンドと俺。

すまないが登場人物にこだわりの名前なんて付ける余裕は俺にはない。この列車は何処にも停まらない暴走特急列車だからだ。物語はどん底までノンストップで向かっております。引続きお付き合い下さい。

「すべてを失った者だけが本当の自由を知る」

生きているとはどういうことか?価値のある人間とはなにか?その答えを見つける為、俺達はその日から毎晩レイモンドの店の駐車場でファイトした。

「ルールは簡単だ。ボクシンググローブを付けて殴り合うだけ。勝ち負けはなし。」

毎晩ファイトしていると、中には喧嘩をしていると勘違いして通報する輩が現れた。一様喧嘩だと思われないように8オンスのボクシンググローブを付けてファイトを行っているのはその為だ。

「愛しているから人を傷つけるというが、傷をつけたから愛せるとも言う」

警察が来ても俺達はボクシングの練習に明け暮れた。警察は無視だ。話し掛けてきても無視。それでも話し掛けて来るクソポリスにはこう告げた。

「ボクシングの練習を邪魔するなら容赦しない。ここはレイモンドの駐車場だ。分かったら帰れよ。」

パトランプが俺達を赤く染める。警察のせいで場がシラケたから解散を告げる。

「解散!!!」

合図と同時に俺とクソガキはバラバラになって走り出した。これで警察は追ってこれない。取り残されたレイモンドはいつも職質を受ける係。その時レイモンドはこう言うんだ。

「おい、ざまぁねぇぞ。みっともねぇんだ。女々しいぞ。くたばれ!!!」

ファッキンポリスだ。

ファイトを始めて1ヶ月、レイモンドは変わり始めた。ブヨブヨだったケツはどんどん引き締まっていった。店の従業員にも舐められなくなった。お陰でレイモンドが居なくても店が回るようになり、ファイトに集中出来るようになった。

フランチャイズ店のオーナーは完全なるスペースモンキーになった。人生の殻を自ら撃ち破り、そして進化を遂げた。本部からの威圧的な電話にも屈することはなくなった。こうしてレイモンドの店がファイトクラブのスポンサーになった。

「血まみれになることなんて恐くない」

その日、ファイトが終わってみんなを熊コーポに集めて俺は宿題を出した。

「リッチな奴等から盗んだ物を貧乏人に格安で売ってこい」

ファイトクラブの目的とは…

この世のクズだ。

(つづく)

私の格闘技活動と娘のミルクに使いたいです。