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読んだ本の話/トラペジウム

トラペジウム
(英語表記)trapezium

1 不等辺四辺形。どの二つの辺も平行でない四角形。
2 オリオン星雲の中にある四つの重星。非常に高温で強い紫外線を放ち、星雲全体を光らせる。
(コトバンク参照)

たぶん、2だろうな。

(例によってネタバレあり〼)

乃木坂46、1期生、我らが“かずみん“こと高山一実さんの著書。
実はかずみんは乃木坂の中でも早々に顔と名前が一致したひとりでもある。
お顔の造形がすごく好きだったのと、山口百恵ちゃんに憧れているところが要因。
私も母の影響で子供の頃から百恵ちゃんが大好きだったので、どことなく親近感を覚えたし、
昭和アイドルが好きが影響してるであろう独特の歌声は印象に残った。(秋元真夏ちゃんとのユニット曲「忘却と美学」は個人的にその魅力が爆発してる!と思う)
そんな彼女がダヴィンチで連載してると知って驚いた。

4人の女子高生がアイドルを目指す物語。
特に主人公のゆうは策略的計画的で、淡々とけどひたすらに周囲を巻き込みながらアイドルを目指し突き進んでゆく。

ゆうがあまりに強く真っ直ぐにアイドルを目指すのは、幼い頃からアイドルに憧れ続けてきたかずみん自身が投影されているのかもしれない。

本書を読んで思ったこと。
かずみんの経験してきたことと、経験してこなかったことが情景描写の差に如実に表れてる、んじゃないか。

例えば、高校の文化祭のシーンは一瞬ラノベを彷彿させるほどにリアリティが欠けていた。
一方で、夢を叶えアイドルとなったものの、変化についていけず潰れていく様は生々しくてリアルだった。4人のうちの1人、くるみが「自分が自分でなくなる、おかしくなりそう」と叫ぶシーンは読んでいて鳥肌が立った。

かずみんが見てきたもの肌で感じてきたものなんだよなあ、きっと。
そう思うと、物語とは全然関係ないところで胸がきゅ、と締め付けられるような思いでした。

所詮アイドルが書いた、とは思わないけど、専業のプロと比べるとやっぱり気になる表現や冗長になる部分もあって、手放しに大絶賛はできないかもしれない。
それでもあの明るいかずみんがどこか影のあるこの物語を描いたこと、かずみんの見ている世界を少しだけ覗き見できるような描写があったことを思うと、かずみんというバックグラウンド含めて面白い作品だったなあと思う。

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