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彼女の宇宙で

誕生日、向かった先は熱海でした。
先日の災害の余韻がまだ残っていて、町には各地から来られた災害救助のトラックや人々がいました。
町は、観光客の方が沢山いて賑やかで久しぶりでしたが、新しいお店が増えているようにも感じた。

お友達のまよちゃんがやっているゲストハウス「ennova」
彼女は、恵比寿で「ククイカフェ」「エンククイ」とアートバーをやってきて、
今は熱海で1棟のビルで1Fがカフェ・バー、2、3Fでゲストハウスを運営しています。

私は、ククイカフェで写真を始めた当初、個展を何回かやらせてもらってからのご縁。もう、15年前くらいになる。彼女はお店で沢山の方を繋げてくれて、私も沢山のご縁を頂きました。彼女の作るお店はいつも、そこにいると誰か知り合いに会う感じになって、第2の家の様な雰囲気がありました。私もお店をやるときにこのまよちゃんの在り方に多大な影響を受けて、実践してきました。バーが何を提供するかというのは、勿論色々な考えがあると思うけど、私は安心する繋がりなんじゃないかと彼女の店で感じ、それを大事にしてきました。私がお店を続けられるのも、この点での大きな確信が私を動かしてくれていると感じている。だから、私にとってはまよちゃんは師匠みたいな気持ちもある。

誕生日になる日、彼女に何も言わずに夜突然バーに行くと、こちらが驚くほど喜んでくれてそれだけでも行って良かったなぁと思っていました。
しばらく、ここ最近の事など話してお酒が進むのに身を任せて、なんとなくここがどこなのか宙に浮いている様な気分がしてきた。
ククイカフェ、エンククイ、エンノバと彼女を見てきて、どこにいても彼女が出すお店の雰囲気が一致している。なので、この3つのどこにいるのかが解らなくなる様な気持ちがしたのだと思う。
時を超え、あの時見たような場の映像が重なっていく。
実際には現実なんだけど、あの日見た彼女と場所が繋がっていく。
お客様や場所が変わっても、彼女の宇宙はいつも安定の一致さだった。

始めは、なんだここ?と思って恐る恐る来て、まよちゃんも周りのお客様もフランクすぎてびっくりしてたけど、段々みんなに会うとほっとするようになっていった。こういうお店が近くにあって本当に良かった、とここ数年で東京から熱海に移り住み始めたという女性が話してくれた。
彼女には言わなかったけど、私もそうだったなぁと思って聞いていた。

二日目は、お店にお客様がたくさんいて、凄いね〜と私がまよちゃんに言ったら、コロナが始まって以来なんだよ〜とまよちゃんは言った。沢山のお客様に囲まれて、オーダーをこなしながらみんなとお話して、人を繋いでいく彼女が生き生きとしていて、見ていてとても嬉しかった。
大変な1年を超えて、まだまだ厳しい状況ではあるけれど、光を感じずにはいられなかった。いや、ずっと光り続けている。

夜に、お店のライトの光が見えるとほっとして一人じゃなかったんだと思う。
昼間は、みんなの顔が太陽の光で見えるけど、夜になるとひとりぼっちになった様な気持ちがして、その光を求める。初めて行ったのに、ずっと知ってた様なそんなお店の光。

お腹が空いて、ご飯を頼むとパスタなら今作ってるからどう?と聞かれて、じゃそれでと答え、数分後目の前に出てきたのは結構な量で色々な野菜の入ったトマトソースのパスタだった。
食べながらやっぱり、昔から変わらない彼女が作ったと絶対にわかる安定の味とボリュームさに、この一致さを味わいに人は誰かの宇宙に遊びに行くのかもしれないなぁとしみじみと思った。

カウントダウンをしてくれて、蝋燭が載っているのは急遽駆けつけたからだが、マスクメロンだった。その気持ちが嬉しくて、何度も乾杯をした。
初めて会ったお客様たちばかりだったけど、ずっと昔から知ってた様な気持ちがした。


ennova 
静岡県熱海市春日町15-40ボーダレスビル

https://www.ennova.earth/guesthouse​

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