日本は中国にキャラクターでも負けるかもしれない

初めまして、クオン中国支社代表の佐藤です。上海に住んでいますが出張も多く、1年間のうち6割中国、3割日本、0.5割韓国、0.5割その他の国にいます。

中国で日本や韓国のキャラクターを展開したり、逆に中国のキャラクターを日本や韓国に展開したりしています。中国に住み始めたのは2017年8月からなので、もう2年以上が経ちました。

日本人が中国で勝てる分野はかなり限られていると思っていて、キャラクターをはじめとするIP事業はその数少ない1分野だと思っていました。

画像1

Googleで”中国 キャラクター”で検索するとこんな画像ばかり出てくるし、日本人からすると中国のキャラクター業界はまだ海賊版が横行しているイメージがあると思います。

しかし、中国のキャラクターはここ数年で急激に進化しました。もしかしたら日本はキャラクター・IPの分野でも中国に負けるかもしれないという話をします。

フォロワー数は驚異の1300万人超え、TikTok発の3Dアニメキャラクター

TikTokは中国ByteDance社により2016年9月にサービスが開始されましたが、TikTokにいち早く参入し、今では1300万人のフォロワーを超える2つの中国キャラクターを紹介します。どちらもかなりクオリティの高い3Dアニメーションを配信しています。

①TikTok上でフォロワーに直接グッズを販売する萌芽熊

画像2

萌芽熊(英語名:Dooro Bear)は2017年9月からTikTokでアニメが配信開始されたキャラクターです。
Twitterでもバズったことがあるので、見たことがある人もいるかもしれません。

見た目のかわいさとキャラクターの超優しい性格がうけていて、2020年1月現在1700万フォロワーを抱えています。
日本からでもDooro Bear公式Twitterで一部の動画を見ることができます。

中国のTikTokはECサイト(TaobaoやJDなど)に遷移できるようになっていますが、Dooro Bearはその機能を使いこなしてオンラインでグッズを売りまくっています。


②実写の映像とキャラクターを合成させている猪小屁

画像3

猪小屁は2017年11月に配信開始され、現在では1300万フォロワーです。動画はYoutubeで見ることができます。

猪小屁の最大の特徴は、実写の映像にキャラクターを合成させているところです。実写の映像との合成によるメリットは、広告の案件で商品をそのまま紹介できる点です。

アニメにプロダクトプレイスメントをする際は、商品を一度2Dまたは3Dに落とし込まないといけませんが、猪小屁の動画では商品をそのまま実写で紹介することができます。

キャラクターグッズの販売ももちろんですが、広告案件でもかなりの収益を上げており、中国最大手家電販売業者”苏宁”のプロモーションなども行なっています。

(おそらく)中国No.1キャラクター企業の十二棟

画像4

十二棟は100種類以上のキャラクターを抱える、おそらく現時点で中国No.1のキャラクター企業です。保有するIPのSNS総フォロワー数は4800万、スタンプの総送信回数は250億回に達しています。
日本展開も進めており、2019年11月にはGUでコラボレーション商品の販売を開始しました。日本語版HPも開設しています。


画像5

十二棟は、自社でクレーンゲームのオフライン店舗も運営しています。これまでのキャラクター業界の常識では、キャラクターを保有する企業とクレーンゲームを運営する企業は分かれており、キャラクター企業がクレーンゲーム運営企業にライセンスする形で協業していましたが、十二棟2017年12月に北京に一号店を開店してから順調に店舗数を伸ばしています。

クレーンゲームの景品は十二棟が保有するキャラクターももちろんありますが、他社のキャラクターもライセンスして設置しています。

累計約1.7億元(26億円)調達しており、社員数は200人超え。自社IPの展開もしつつ、他社IPも巻き込みながら成長しています。

ゆるキャラならぬガチキャラの西子猫猫

画像6

中国では地方活性化を目的としたキャラクター活用も進んでいます。その中でも注目すべきは杭州のキャラクターの西子猫猫です。

画像7

画像8

西子猫猫自体はシンプルなデザインのキャラクターですが、豊富なアートワークを制作、オンライン&オフライン店舗の運営、コラボレーション商品を続々販売するなど、展開の仕方がガチすぎます。

地方活性化のためにキャラクターを活用すること自体は日本からだいぶ遅れて中国で開始されましたが、ただキャラクターを作って終わりにせず、しっかりIPとして展開をしています。

キャラクター会社同士は仲間、その中でのクオンの強み

日本は中国にキャラクターでも負けるかもしれないとタイトルを付けましたが、本質的にはキャラクター会社同士はライバル関係ではないと思っています。

名称未設定 2

我々はキャラクター市場のパイを取り合っているわけではなく、他の市場を奪いにいっています。例えばキャラクターがプリントされたTシャツを販売すればアパレル市場を取れますし、ノートを販売すれば文房具市場を取れます

優秀なキャラクターが生まれれば生まれるほどキャラクターの市場規模はどんどん大きくなっていくと思いますし、そのためにはキャラクター会社同士が協力して優秀なキャラクターを次々生み出せる環境を作ることが大事だと思っています。

その中でクオン社の強みは、アジアでのSNSマーケティングに強いことと、日本・中国・タイに支社があり現地で直接ビジネスしていることです。

中国支社の設立当初(2017年8月)の役割は、クオン日本本社が開発したキャラクターの中国展開をすることでしたが、最近は自社キャラクターに限らず、日本や韓国で生まれた他社キャラクターの中国展開や、中国で生まれた他社キャラクターの日本・韓国展開も行なっています。

名称未設定 3

2019年6月から中国展開を始めた、韓国クリエイターが生み出したキャラクター”MongMong”は、すでに30種類以上のグッズが販売されており、中でも顔型バッグ(単価2,000円)の販売個数は1万個を超えました。

海外展開を加速させるために、中国タイ以外にも海外支社をどんどん設立する予定です。

採用も強化中ですので、興味のある方はこちらより!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?