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ZIZOの歴史(社内向け) 【第3話】地蔵の会(略してZ会)

2007年4月、僕が名古屋から大阪に転勤になり川口さんと同じオフィスで働き始めると、二人でワインを飲む頻度はどんどん高くなっていった。名古屋では川口さんが出張してくる度に、栄にあるミュール(mûre)というワインバーに集合し「カベルネソーヴィニョンが好きだ」とか「やっぱりピノノワールが最高」などと特に何も生み出さない会話に明け暮れていたのだが(今でもたまに明け暮れるが)、大阪では北新地のキュニエット(Cugnette)に会場を移し「自然派ワインはSO2が微量しか入っていないので二日酔いになりにくい」とか「農薬どころか電気を一切使わず作られたワインがあるらしい(馬で畑を耕しポンプもないので桶でワインを汲んでいるらしい)、これは一度飲んでみる必要がある」などと、会話のレベルもどんどん進化していったのであった。あまりにもエスカレートした結果、ある時、職場のメンバー数人でワインを飲んでいた時に、同じ生産者の畑違いや年違いのワインの味について、大きなグラスを大量に並べて研究していたところ、それほどワインに興味を持っている訳でもないのに間違って参加してしまった上司が「お前ら理科の実験かー!!」と切れ始めるという出来事もあった。今から思えば大変申し訳ない限りである。実はこの頃、もう一人ワインを一緒に飲んでいた人物がいる。当時RMCのオフィスに常駐していたフリーランスのデザイナー市原さんである。しばしば我々3人は仕事が終わるとフロアの片隅に集合し、連れ立ってキュニエットに向かって行った。その様子を目撃した人々は、同じような丸顔の3人が並んで歩いていることから「地蔵が3体集まってどこ行くねん?」などと、毎回、軽口を叩いてくるのであった(ちなみに地蔵に一番似ているのは市原さんである)。そしていつしかこの集まりは、地蔵の会(略してZ会)と呼ばれるようになった。この頃、川口さんが(今から思えば)ZIZO創立の前兆となる行動を起こし始める。ある時、彼は自信に満ち溢れた顔で「僕、いいこと思いついたんですけど、飲んだワインの味とか感想を記録できて他の人と繋がれるWebサービスを作ろうと思ってるんですよね…」と語り始めたのだった。来月に続く。

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