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入園料値上げと回収問題 ウォルト・ディズニーはカンカンに怒っている

  タイトルの入園料値上げと粉末調味料の回収問題は、関係なさそうで実は深い関係があります。お分かりになりますか?
 
 その関係は、東京ディズニーリゾート(TDR)を運営する㈱オリエンタルランドの経営姿勢と運営姿勢が、東京ディズニーランド開園前の姿勢と大きく変わったことに起因します。
 
 変わったことを一言で表現すると「ファミリー・エンターテインメントから商業主義への転換」です。
 
 言い換えると、「家族の娯楽第一」から「売上げ第一」へと大きく変わったということです。そのことにウォルト・ディズニーはカンカンに怒っているというのが私の見方です。
 
 東京ディズニーランド入園料(大人)の値上げを以下のようにまとめましたのでご覧ください。
 
開園時3900円 → 現在10900円
 
1983~20年間 1,600円値上げ 141%
2003~20年間 5,400円値上げ 198%
40年間 7,000円値上げ 279%
 
 最初の20年間で1,4倍の値上げに抑えられていた入園料が、後の20年間で開園時の2倍に、40年間トータルで約3倍に値上げされたことが分かります。
 
 その理由の推測は、東京ディズニーシーへの過剰投資であると私は思っていますが、経済エコノミストの分析を目にしたらその内容をお伝えします。
 
東京ディズニーランドが開園した際のパーク運営の基本的考え方、哲学は以下の通りです。
 
・私達のビジネスは、いわばリピート・ビジネスである。ファミリー・エンターテイメント・ビジネスである。
 
・お金はつぎ込むが、投資の見返りは長い目で見なければいけない、このことがテーマパーク・ビジネスの成功のために、最も大切な事だ。
 
・適正な価格で提供し、それによって多くの人々の利用とリピートを増やせばいいのだ。これが私達のビジネスの正しい進め方であり、正しい収益への道程である。
出典:上澤昇元オリエンタルランド副社長著 『ディズニー・テーマパークの魅力-「魔法の王国」設立・運営の30年-』 JP番号(全国書籍誌号) 20506083
 
 上澤昇元オリエンタルランド副社長は、東京ディズニーランド誘致に関わり、パーク運営の基盤を築いたオリジナル・ナインの一人であり、TDSができるまでの約20年間最高運営責任者として活躍された方です。
 
 前会長も含め、現在の経営陣(取締役)にオリジナル・ナインと共にパーク運営の基本的考え方を学び、実践してきた方はいない、さらに言えば、オリジナル・ナインの名前すら知らない人がほとんどでしょう。
 
 オリジナル・ナインはウォルト・ディズニーと共にディズニー・テーマパークを創り、運営してきたアメリカのナイン・オールドメンからも学んだ人たちです。つまり、ウォルト・ディズニーの基本的考え方を引き継いでいたのです。
 
 開園から40年の現在、このオリジナル・ナインから学んでいない人たちが経営陣であることこそが、タイトルの度重なる値上げと回収問題の背景にあることは間違いないでしょう。
 
 ウォルト・ディズニーは自らが創ったテーマパークとは別物になっていることにカンカンに怒っている、私はそのように考えます。
 
 両パークで販売した粉末調味料の回収問題も同じです。いつからパーク内レストランで商品販売を始めたのかは分かりませんが、高額になった入園料を支払ったゲストに、さらにレストランで高額な飲食関連の商品(税込み4000円)を買っていただくことは、前述のパーク運営哲学に反します。
 
 まさに、現在のオリエンタルランドは「売上げ第一」の「商業主義」であるということ、これが値上げと回収問題の深い関係になっているというのが本noteの結論です。
 
 東京ディズニーランド運営の基盤を築いたオリジナル・ナインについては、そう遠くない日にこのnoteでお伝えしますのでお待ちください。
 

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