72年間の人類の夢の核融合炉がついに実現か/慣性閉じ込め核融合でエネルギー危機や地球温暖化を解決か

【投稿者コメント】

【キーワード】

[慣性閉じ込め核融合]、[ネットエネルギゲイン]、[クリーン人工太陽誕生]

【件名】

「72年間の人類の夢の人工太陽=核融合炉がついに実現か/米国ローレンス・リバモア国立研究所が微小な水素プラズマのペレットを世界最大のレーザ装置で照射する「慣性閉じ込め核融合」実験により、ネット・エネルギー・ゲインを達成/カップ1杯の水素燃料で家庭の電力を何百年も賄える/エネルギー危機や地球温暖化を解決するか/2.1メガジュールのレーザの入力エネルギーの約120%のエネルギーを発生」

【投稿本文】

 下記の【以下転載1】の報告は、医療革命である、臨床応用が間近な、「DNA/RNA医療技術」と共に、喫緊の課題のエネルギー危機と地球温暖化を解決する、クリーンな人工太陽の「慣性閉じ込め核融合」が実現するかも知れないと云う「世紀の偉業達成」か?と、米国のローレンス・リバモア国立研究所から発表されると云う報告だ。

 これが事実なら、現在は「世紀の大転換点」と云う訳だが? はたして?

 これまで、何度も、「ネット・エネルギー・ゲインを達成した!」と云う実験報告はあっても、その都度、「誤差でした! 算定誤りでした!」で、ガッカリ!が多かったのだが?

 偉業達成なら、「ノーベル物理賞」どころか、「地球・人類貢献栄誉賞」が妥当だろう?!

 下記の【以下転載2】に、「核融合」や「慣性閉じ込め核融合」の解説を記載する。

 「レーザー核融合発電」を短く説明すると、

 『添付図4の如く、レーザー核融合発電では、まず炉(熱エネルギーを取り出す為の容器)の中心に直径5mmの球状燃料ペレットを打ち込み、これを数百万ジュールの高出力レーザーパルスで一様に照射する。レーザー照射を受けた燃料の外側は高温となり数千万気圧の圧力が発生するので、球状の燃料はその中心に向かって圧縮される(爆縮)。こうして瞬間的に核融合反応を起こさせる。これを1秒間に数回の割合で繰り返す事で、連続的にエネルギーが発生するので、これを外部へ導いて数百万キロワットの発電を行う事が出来る』となる。

 もちろん、投入したレーザー入力エネルギーよりも、発生させた核融合反応エネルギーが大きくないと発電にはならない。

 「反応エネルギー」/「投入エネルギー」の割合を「ネット・エネルギー・ゲイン」と云い、今回の実験では、1.0を超えたのでは?と視られている。

【以下転載1】

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB122I10S2A211C2000000/
「[FT]米国研究所、核融合技術で「画期的進歩」を達成か」
             日経コム Financial Timesより 2022年12月12日 15:22

 米国政府機関の研究チームが核融合反応で初めてネット・エネルギー・ゲイン(正味のエネルギー利得)を達成し、温暖化ガスを排出しない無限のエネルギー源についての突破口を開いたようだ。最近行われた実験の中間結果について知る3人の関係者が明らかにした。

添付図1_米国のローレンス・リバモア国立研究所(米核安全保障局提供)=ロイター

 物理学者は1950年代から、太陽のエネルギー源である核融合反応の実現に取り組んできたが、投入した量を超えるエネルギーを生み出せずにいた。その分かれ目であるネット・エネルギー・ゲイン(ターゲット・ゲインとも呼ばれる)を達成できれば、化石燃料や従来型の原子力に代わるエネルギーを安定的かつ豊富に生み出せるプロセスの実証につながる。

■レーザーを使った「慣性閉じ込め核融合」

 関係者3人によると、米エネルギー省のローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)は、微小な水素プラズマのペレットを世界最大のレーザー装置で照射する「慣性閉じ込め核融合」により、過去2週間の実験でネット・エネルギー・ゲインを達成したという。

 多くの科学者が核融合発電の実用化はまだ数十年先と考えているが、この技術が秘める可能性は無視しがたい。核融合反応は温暖化ガスをまったく排出せず、放射能レベルが下がるまで長い時間がかかる放射性廃棄物も出さない。理論の上では、小さなカップ1杯分の水素燃料で家庭の電力を何百年も賄える。

 世界がエネルギー価格高騰への対応に苦慮し、地球の平均気温が危険なレベルに上昇するのを食い止めるうえで、化石燃料の使用から速やかに転換する必要が生じるさなかに、米国で突破口が開かれたともいえる。バイデン米政権は、温暖化ガス排出量を大幅に減らすとともに世界的な次世代クリーンエネルギー開発競争を制するべく、インフレ抑制法を通じてほぼ3700億ドル(約51兆円)を低炭素エネルギーへの新たな助成に充てる。

 ローレンス・リバモア研究所での核融合は、約2.5メガジュールのエネルギーを生み出したという。2.1メガジュールだったレーザーのエネルギーの約120%にあたる。この結果について知る関係者らは、データはまだ分析中だと付け加えた。

■実験は成功、分析はまだ進行中

 米エネルギー省は、同研究所で達成された「大きな科学的進歩」について、13日に同省のグランホルム長官とジル・フルビー次官(核セキュリティー担当)が発表するとしている。同省はそれ以上のコメントは控えた。

 同研究所は、研究所の国立点火施設(NIF)で最近、実験が成功したことを認める一方、結果の分析はまだ続いているとした。

 「初期の測定データはNIFでの実験が成功したことを示している。しかしながら、正確なエネルギー発生量はまだ算出中であり、今回、閾値(いきち)を超えたとの確認はできない」とエネルギー省は回答した。「その分析は進行中で、プロセスが完了する前に情報を公表することは不正確となる」

 実験結果について知る関係者のうち2人によると、エネルギーの発生量は想定以上で、そのために一部の測定機器が損傷し、分析が複雑になっている。研究者の間ではすでに、新たな進展について議論の輪が広がっているという。

■1950年代から続いてきた取り組み

 「これが確認されれば、私たちは歴史的瞬間を立ち会うことになる」と話すのは、著書「The Star Builders(星をつくろうとする人たち)」で核融合実現への取り組みを描き出したプラズマ物理学者のアーサー・タレル博士だ。「科学者は1950年代から、核融合は投入量を超えるエネルギーを放出しうるということを示すのに苦労してきた。ローレンス・リバモアの研究者たちはついに、そして完全に、この数十年来の目標を達成したようだ」

 建設に35億ドルが投じられたNIFは、もともと爆発のシミュレーションによる核兵器の試験を目的としていたが、その後は核融合エネルギーの研究に使われている。NIFは2021年、核融合反応で照射したレーザーのエネルギーの約70%に相当する1.37メガジュールを生成し、世界で最もネット・エネルギー・ゲインに近づいていた。

 22年に米ホワイトハウスが新たな核融合エネルギー戦略を打ち出した際、核融合研究の推進を図る超党派議員団のトップを務めるドン・ベイヤー下院議員は、この技術をクリーンエネルギーの「聖杯」と表現し、「核融合はこの世界において、火の利用以後の何よりも多くの人を貧困から救い出す可能性を秘めている」とした。

 大半の核融合研究は、もう1つの方式の「磁場閉じ込め核融合」に焦点を合わせている。強力な磁石で水素燃料を固定し、原子核同士の融合が起こる超高温に加熱するやり方だ。

■「ゲームチェンジング」となる可能性

 核融合の研究は歴史的に、英オックスフォード近郊にある欧州トーラス共同研究施設(JET)など公的な研究所で行われてきたが、近年は30年代までに核融合エネルギーを実用化するとうたう民間企業にも投資が流れ込んでいる。

 米核融合産業協会(FIA)によると、核融合を手掛ける企業は6月までの1年間で合計28億3000万ドルの資金を調達した。現時点で民間部門への投資はほぼ49億ドルに膨らんでいる。

 オックスフォードに本拠を置くスタートアップ企業でNIFと類似の方式の開発に取り組むファースト・ライト・フュージョンのニコラス・ホーカー最高経営責任者(CEO)は、この画期的な進歩が導く可能性について「ゲームチェンジング(状況を一変させる)」と評する。

「核融合エネルギーにとって、これほど『核心をついた』ものはない」

By Tom Wilson

(2022年12月12日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/ )

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. 日本経済新聞社は、この翻訳コンテンツの提供について単独で責任を負っており、The Financial Times Limitedは、翻訳の正確さや品質についていかなる責任も負いません。

【以下転載2】

https://www.ilt.or.jp/forum/laser
「レーザー核融合について」
                         レーザー核融合技術振興会

■核融合エネルギー

■新しいエネルギー開発の必要性

 世界の人口は、産業革命以降、生活の利便性や医学の進歩に伴い急激に増加し、現在は60億人を超えています。さらに、生活水準の向上や、より便利な社会が実現され、1人当たりのエネルギー消費量も急速に増大しています。現在、我々人類は、この地球が何億年もかけて蓄えてきた石油・石炭・天然ガスなどの貴重な資源を「One match in the long night」、すなわち1本のマッチが長い夜を一瞬だけ輝らす様な急激な勢いで消費しており、これから新しい埋蔵資源が発見されたとしても、近い将来にこの貯蓄が無くなることは間違いない事実です。また、我々は化石燃料の大量消費に伴う地球温暖化問題にも直面しています。

 これらの問題を同時に解決するために、燃料が無尽蔵にあり、CO2の発生がない核融合エネルギーの実現が期待されています。

■核融合とは

添付図2_核融合とは

 核融合とは、重水素と三重水素の原子核をクーロン力を超えて融合させることでヘリウムと中性子を作り出すものです。このとき、ごくわずかな質量が失われます。この失われた質量はすべてエネルギーとして放出されます。放出されるエネルギーは失われたエネルギーと光速の2乗の積に比例することから、莫大なエネルギーとなります。

 核融合反応によって発生するエネルギーと反応を維持するために必要なエネルギーが釣り合うための条件をローソン条件といい、レーザー方式の核融合の場合、

1.プラズマ温度が100万度以上

2.プラズマ密度と閉じ込め時間の積が10の14乗/cc秒以上

 になります。

■2つの方式

添付図3_慣性閉じ込め核融合(レーザー核融合)

 太陽は生命の源であるエネルギーを水素の核融合反応により発生し、地上に送り続けています。この太陽活動を地上に実現しようというのが核融合です。

 核融合エネルギーには慣性閉じ込め核融合エネルギー(IFE*)と磁場閉じ込め核融合エネルギー(MFE*)があります。慣性核融合は核融合燃料を瞬間的に高温高密度に圧縮し、燃料自身の重さ(慣性力)で燃焼を維持させる方式で、レーザー核融合がその代表です。

 これに対し、磁場核融合は低密度の燃料を磁場容器に長時間閉じ込めて核融合反応を起こさせる方式で、トカマク型がその代表です。両者は互いに異なる技術を基盤としており、我が国を始めとして世界各国で研究が進められています。

■レーザー核融合

■レーザー核融合発電

添付図4_レーザー核融合発電所の概念設計

 レーザー核融合発電では、まず炉(熱エネルギーを取り出すための容器)の中心に直径5mmの球状燃料ペレットを打ち込み、これを数百万ジュール**の高出力レーザーパルスで一様に照射します。レーザー照射を受けた燃料の外側は高温となり数千万気圧もの圧力が発生するので、球状の燃料はその中心に向かって圧縮されます(爆縮)。こうして瞬間的に核融合反応を起こさせます。これを1秒間に数回の割合で繰り返すことにより、連続的にエネルギーが発生するので、これを外部へ導くことにより数百万キロワットの発電を行うことができます。

 レーザー核融合発電におけるエネルギー収支は次のようになります。爆縮し、核融合反応が起こった燃料ペレットからは投入されたレーザーエネルギーのQ倍のエネルギーが放出されます。Q=1は投入したレーザーエネルギーと発生した核融合エネルギーが均衡する点に相当するのでブレークイーブンと呼ばれます。発生した熱エネルギーは効率ηgの発電システムで電力に変換され、外部に送電されますが、その一部(ε)は発電所の所内電力やレーザー光を発生させる循環電力として用いられます。この電力からレーザー光を発生させる効率をηdとすると、外部からエネルギーを供給することなく自立運転するには、これら4つの要素の積Q×ηg×ηd×εが1を上回る必要があり、現実的な効率を考慮すると、Q=100を達成することが一つの目標となります。

■レーザー核融合発電の特徴

添付図5_レーザー核融合発電の特徴

・炉に関する設計の自由度が高く、現存する材料で概ね設計可能である。

・発電に必要な主要機能は独立性が高く、短期間に開発できる可能性が有る。

・同じ規模の磁場核融合発電所で比べた場合、取り扱う放射性物質であるトリチウムの量が少ない。(約1/10)

・プラントの出力、運転モードの自由度が高く、消費電力ピークに柔軟に対応できる。

■爆縮と点火方式

添付図6_爆縮と点火方式

 高温高密度に圧縮された核融合燃料はプラズマ状態になります。プラズマは電気を帯びた粒子なので、その静電気力にうち勝ち、強制的に核を衝突させて融合反応を起こさせる必要があります。このためには1億度以上の温度、200g/ccの密度(液体水素の1000倍の密度)、10億分の1秒以上の保持時間の3つの条件が満足される必要があります。これらの条件は図に示すような燃料の爆縮で実現します。レーザー照射を受け、球対称に圧縮された燃料の中心でまず燃焼条件が満たされ、自己点火します。核融合の火は周りの燃料に燃え広がり、爆発的にエネルギーが放出されます。この方式を「中心点火」と呼びます。このほか、燃料が最大に圧縮された瞬間、別のレーザーで外部から燃料を追加熱する「高速点火」と呼ばれる新方式の研究も開始されました。

■現況展望

■研究の現状

 大阪大学レーザー核融合研究センターの出力10キロジュールのガラスレーザー「激光XII号」により、燃料温度1億度、燃料密度120g/cc(液体水素の600倍の密度)の圧縮が世界に先駆け実現されました。これを受け、米国やフランスでは出力1.8メガジュール*のレーザー装置を建設して、核融合点火・燃焼を実証しようとする計画(米:国立点火施設(NIF)、仏:レーザーメガジュール(LMJ))が進められています。将来のレーザー核融合動力炉には現在開発中の高効率・高繰り返しのダイオード励起固体レーザーが用いられることでしょう。

(*メガジュール:百万ジュール)

■日本、アメリカ、EUの核融合炉

■LIFT(日本)、LIFE(USA)、HiPER(EU)

添付図7_日本、アメリカ、EUの核融合炉

■応用

 レーザー核融合研究は高出力レーザーや高精度燃料ペレットの製作、高空間・時間分解の爆縮計測、そして高度な計算機シミュレーションなどに支えられています。これらの技術や研究からはレーザー核融合はもとより先進のレーザー技術、新光学デバイス、高速度写真技術、X線光学、レーザープラズマ応用など幅広い研究成果が生み出され、常に時代の先導役となっています。

■適用の進むレーザー技術

添付図8_適用の進むレーザー技術(レーザー加工、レーザー誘雷)

 レーザーの発明以来、加工への応用は様々な分野へ広がり、いまやレーザーなしでは携帯電話も作れない時代となりました。微細加工、医療応用はもとより、レーザーにより大気中に電導路を生成すると雷の誘導(誘雷)も可能です。

■レーザープラズマX線

添付図9_レーザープラズマX線(半導体微細加工、スペクトル、染色体のレーザープラズマX線写真)

 高輝度X線応用は新しい分野として急速な広がりを見せています。高出力レーザーを用いることにより発生したレーザープラズマX線やX線レーザーはリソグラフ光源や物質解析などへの応用が期待されています。

■宇宙応用

添付図10_宇宙応用(レーザー推進ロケット、デブリ除去)

 高輝度X線応用は新しい分野として急速な広がりを見せています。高出力レーザーを用いることにより発生したレーザープラズマX線やX線レーザーはリソグラフ光源や物質解析などへの応用が期待されています。

■基礎科学

添付図11_基礎科学(宇宙ジェット、レーザー爆縮と超新星爆発、超新星1987A/リング衝突模擬実験)

 高出力レーザーが生成する高エネルギー密度プラズマ研究はX線放射や流体運動などと密接に関連しており、天文学における様々な問題の解決の糸口をあたえると期待されています。また、こうした研究はレーザー核融合のような複雑流体現象を記述するための統合コード開発にも不可欠です。

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