ファンレターには書かないこと

髙塚大夢、これがわたしの推しである。

歴代ジャニーズから女子アイドル、男装アイドル、タイ人俳優（←これは今も）といろんな人のおたくをしてきたが、ここまで人の人生について考えることはなかった。これまでアイドルについて「物語性」という言葉で語られることが多かったが、今思うとそれは本当に残酷なことだと感じる。消費していることを否定しないが、物語という言葉で片付けていいものではないとここ数ヶ月思い続けた。

通称プデュというオーディション番組はひとつのコンテンツであり、観ているものは誰かしらの手が加えられた編集済みのものであるということを何度自分に言い聞かせても、他のことが手に着かないほどのめり込み感情的になってしまっていた。

そこまでわたしをさせたのは紛れもなく「髙塚大夢」という存在である。宣材写真で一目惚れし、オンタクト評価の歌、ダンスの一生懸命さに惹かれた。レミフラや初登場時の愛嬌やアイドル性にも驚かされて、インターネット上にある彼の動画をとにかく漁る日々が始まる。とにかく普通の大学生で、このまま優良企業に就職するんだろうなと思わせるような好青年がどうしてこのサバイバル番組に挑戦しようと思ったのか本当に不思議だった。

番組が進むと彼の圧倒的なパフォーマンスとは別のところで話題に上がることが増えた。一度や二度でなく何度も彼の言動、行動に対して様々な目が向けられることになった。一件については大半のファン同様わたしも彼を擁護するつもりはまったくなく、正しく問題点を理解し改めるべきだと思っている。このいわゆる「炎上」が彼のファンに火をつけたと言われるがそれはひとつの理由であって全てではないとわたしは信じている。

２pick投票になった頃から髙塚大夢のことだけしか見えなくなっていった。射手座で亥年のおたくは狂うとこうなるのだと自分が驚いた。１pick投票の頃からは「布教」というものにも参加し、寝れない日々を過ごした。彼のデビューしたいという気持ちをとにかく叶えたくて、そのためには投票しかなかった。「国民プロデューサー」という最悪な名前のもと投票という最悪な方法でしか彼のことを応援できないことが本当に辛かった。

ファイナルでの髙塚のパフォーマンスは様々な感情の渦を振り切っているような印象だった。全てを賭けるということは全てを捨てることでもあるような気がした。

順位が発表されたとき、驚きながらも素直に喜び謙遜はしないところが正にわたしの好きな髙塚大夢という人間だった。

彼は現在進行形で何かしらのヘイトを受けている。これを乗り越えるのも打ち消すのも本人次第であることが心苦しい。投票し続けたのはわたしだから。だからこそ守るなんて大それたことは言えないけどアイドルになった髙塚大夢を愛し、応援することが今の自分にできる唯一のことなのだ。

決意表明のようになってしまったが、全然知らない人ひとりの人生に加担したことについてとにかく考えてしまうから許して欲しい。物語のような虚構の存在を扱う言葉で片付けたくないものプデュというシステムの思うつぼなのかもしれない。

彼は夢を与えられるアイドルになりたいという。真っ直ぐで汚れのない髙塚大夢が本当に好きだ。まとまりなくグダグダ言ってきたけど、好きという感情はどうしようもない。

髙塚大夢の人生が楽しく駆け抜けていきますように、デビューおめでとう。

アイドルの道を選んでくれてありがとう。

ファンレターは「髙塚くん」とちゃんと書きます。