祈りの幕が下りる時(2018)

加賀恭一郎(阿部寛)は生き別れになった母の消息をずっと追い求めていたが、16年も前に遠く離れた岩手の地で亡くなっていたことを知る。

だが、その遠方の地で母は綿部俊一という男性と恋仲にあった。

加賀は母のことを知るためにその綿部の行方を追い続けたが、一向にその足取りがつかめないままいたずらに時は過ぎていった。

そこへ、40代女性の腐乱死体がとあるアパートで発見されるという事件が発生する。

アパートの住人は死体女性とは別の男だったが、この助成との接点は見い出せず事件は迷宮入りの様相を呈していた。

そんなとき、死体女性が死ぬ前に会っていた人物として演出家の浅居博美の存在が浮上する。

しかし浅居博美には完全なアリバイがあり、また事件解決の道は振り出しに戻った。

複雑な人間関係や時代背景を元に、加賀は解決の糸口を見出そうと整理したとき、ある仮説が頭をよぎる。

その仮説が事件を解決に導く一筋の光となった。

息を凝らして見ていないと、話が複雑すぎてついていけなくなりそうになるが、すべてがつながったときの爽快感は格別だ。

だが一方でこんなに悲しいストーリーをよく思いつくなと東野圭吾には毎度感心させられる。

結局この物語を通して誰が幸せなのだろうと首を傾げずにはいられないほど後味がいい内容ではないが、非常に見応えのある作品だった。

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