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障害者雇入れ計画作成命令発出基準

障害者雇用促進法に基づき、障害者の雇入れを進めている企業が増えている一方で、障害者雇用のスタートアップ段階とも言える従業員数300人以下の中小企業においては、およそ1/4の企業が障害者を一人も雇用できていません。障害者を一人も雇用していない企業を0人企業と言い、労働局も特に0人企業への指導には目を光らせています。

私は0人企業の担当者にヒアリングにも行かせていただいていますが、「納付金を納めているから、障害者を雇用しなくてもよい」という認識の企業もあります。しかしこれは誤解です。納付金を納めていても、雇用の義務は免れることはできません。これを放っておくとどうなるでしょうか。

障害者雇用率達成の流れを見て説明します。

雇用達成指導の流れ

まず、達成指導に向けては、毎年企業がハローワークに提出している6月1日の障害者雇用状況報告書(通称:ロクイチ)を元に今後のスケジュールが決まります。

つまり、6月1日の雇用の数値をモニタリングすることが重要です。納付金に関しては、毎月起算日の雇用状況を報告しますが、納付金の管轄は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の仕事で、同じ障害者雇用業務でも別物だと考えていただいた方がシンプルです。

では、6月1日の雇用の数値をどのように報告することが重要なのでしょうか。これには実は明確な基準が決まっています。

発出基準

(※1)障害者実雇用率とは、自社内で実際に何パーセントの障害者を雇用できているかの数値で、下記の計算式で求めることができます。

実雇用率計算式

(※2)全国平均実雇用率とは、日本を一つの企業とみなして算出された数値と捉えていただければ良いと思います。毎年、12月にロクイチの数値を取りまとめて、厚生労働省のホームページで「障害者雇用状況の集計結果」として公表されますが、令和2年分は公表が遅れているようです。ちなみに、令和元年の全国平均実雇用率は、2.11%でした。

(※3)0人企業の場合は、③に該当します。令和3年3月1日より法定雇用率が2.3%となりますので、障害者3~4人となる企業規模は、労働者数130.5人以上174人以下となります。

ちなみに、雇用率の計算上端数が出た場合は、小数点以下は切り捨てます。

業種によっては障害者の雇用を通常より少なくても認められている除外率制度が適用される場合もありますので、まずは管轄ハローワークに問い合わせるなどして、自社の雇用義務数を正しく把握することが肝心です。

当社のホームページでは、何人障害者を雇用する必要があるのか、簡易なシミュレーターを設置しているので、試してみてくださいね。⇒ https://jcplus.jp/

さて、再度、障害者雇用率達成の流れを見ていきますが、この図の2番にある「雇入れ計画」の作成命令へとステージを進めないことが企業によっては肝心です。

雇用達成指導の流れ

雇入れ計画の作成命令を受けている企業の事を、命令対象企業と言っていますが、命令対象となる可能性がある場合、夏~秋ごろにハローワークより、通知が届きます。12月までに○人雇い入れることで命令を回避することができるというものです。これが達成できず弁明も認められなければ、翌年4月に雇入れ計画の作成命令が発出されます。

これを甘くいてはいけません。雇入れ計画では、不足障害者の不足は認められず、充足を求められます。また、2ヶ月に一度、ハローワークに足を運び、進捗を報告しなければならなくなるので、企業活動を圧迫します。

ですから、まずはロクイチの数値をいかに命令発出基準とならないようにするかを管理することが、企業担当者にとっては重要な役割となりと言えるでしょう。

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