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ハンドドリップでコーヒーを入れるとき、上手に豆を膨らませるコツはなんですか?

(Quoraより、回答を転記。)

はじめまして。
珈琲屋をやってます。

豆を膨らませるコツですね。
やっぱり豆は膨らんだ方が美味しそうですし、
周りで見てる人がいたら、ちょっと嬉しいですよね^^

豆が膨らむ理由と、豆を膨らませる方法をお伝えします。

【コーヒー豆が膨らむ理由】
ドリップするときに豆が膨らむ理由ですが、コーヒー豆は珈琲の種なんですが、植物として細胞壁の構造が見られます。

この隙間に入っている成分を取り出すのが抽出です。

ではなぜ豆が膨らむのか?というところなんですが、
データ上というよりも焙煎屋としての実体験としてなんですが、
以下の条件が整うほど、良く膨らみます。

①細胞壁がきっちり空間ができている
 ⇒焙煎がある程度進み、浅焼きすぎたり生焼けでないこと
②細胞壁の空間に、お客さんがいない
 ⇒湿気で水分や重い焙煎や酸化で油分が先に含まれてしまっていないこと
③入り込むお湯の粘度が低いこと
 ⇒湯温が高く、硬度が低いほど粘性が少なく、お湯が早く移動します
④粉の大きさが粉間を自由に移動でき、閉塞しないサイズであること
 ⇒大きすぎると水が途切れ、小さすぎると移動の抵抗が生まれます
⑤お湯と粉の総量のバランスがとれていること
 ⇒お湯が多すぎると粉間の移動が必要なくなり、
  粉が多いと空間に水が利用され切らないところが出てきます

結論として、なぜ豆が膨らむのか?を要約すると
粉の中にある空間を水分が移動しながら空間中の空気や
或いは水分・油分同士を押しのけながら伝わり、広がっていくため。
と解釈していただければと思います。

【コーヒー豆を膨らませる方法】
先ほどの条件を整えていただければ、豆は確実に膨らみます。
具体的な例として条件をそろえてみましょう。

ハイロースト以降フルシティロースト付近までの生焼け、芯残りがない十分に内外が焙煎された焙煎豆を使用しましょう。
②焙煎後、早ければ早い方がよいので、①の条件をそろえた、焼き立ての豆を用意しましょう。古くなったものは、反則技的に電子レンジでチンしたり、フライパンで炒めるとまた膨らむようになりますが、香りの繊細なところは飛びます。
③お湯の温度はお好みになりますが、膨らみだけで言うとお湯の温度が高い方がよく膨らみます。基本的にハイからフルシティくらいですと、90℃(ハイ)から80℃(フルシティ)が向いていると思います。
一般的に言う中細挽き位に豆のサイズを整えます。グラニュー糖より一回りか二回り大きいくらいのサイズです。
粉全体にいきわたるようにお湯を注ぎましょう。ある程度遊びはありますが、多すぎても少なすぎてもふくらみが鈍くなります。この時、ある程度まとめて注いだ方が膨らみが良いです。あまり小刻みすぎると膨らみが鈍くなります。

以上です。


ただ膨らんだからといって美味しいとも限らないのが珈琲の面白いところです^^でも膨らむと周りはワクワクするのも、珈琲のお味の一つかとも思います。

それではよい珈琲を。

引用:
旦部幸博著、コーヒーの科学P221より引用(珈琲・食品加工学習メモ (https://wakayama.hateblo.jp/)より引用)

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