IT組織の機能分類とCIOの関係について

最近、「IT組織の機能・能力の分類と経営への貢献」という分析結果を、長年調査部会の委員を務めているJUAS様より公開しました。
https://juas.or.jp/library_plaza/it_column/column008/

16の組織機能について因子分析を行い、3つの因子を抽出しました。因子にはこちらで名前を付けましたが、IT組織の3つの能力としてあらわされます。
結果的には、IT組織のマネジメントにかかわる方には小さな気づきレベルの話ではないかと思います。

第1因子:IT組織の企画・マネジメント力
因子負荷量0.5以上について、大きい順に、
 「新たなビジネスモデルの検討」
 「経営・事業部門との関係」
 「外部の企業との連携」
 「組織内の風土醸成」
 「新技術の探索・評価」
 「ITコスト低減」
の6つの機能・能力が抽出されました。
因子負荷量0.3以上では、
 「IT人材の採用・育成」
 「ベンダーマネジメント」
 「データマネジメント」
 「既存業務の改善」
 「プロジェクト管理」
となります。
IT組織で新たなことに取り組もうとする際の組織の機能、またそれを支える組織文化や人材などがグルーピングされました。

第2因子:IT組織のシステム運用力
因子負荷量(>0.5)の大きい順に、
 「システム運用管理」
 「情報セキュリティ対応」
また、因子負荷量(>0.3)では、
 「ベンダーマネジメント」
 「既存業務の改善」
 「ITコスト低減」
 「基盤整備」
の6つの機能・能力が抽出されました。
IT組織には、以前からシステムを安定的に運用することが求められています。そのために必要よなるIT組織の機能がグルーピングされました。

第3因子:IT組織のシステム開発力
因子負荷量(>0.5)の大きい順に、
 「アジャイル型開発」
 「ウォーターフォール型開発」
 「基盤整備」
の3つの機能・能力が抽出されました。
IT組織の開発力として、統計的には、「アジャイル型開発」と「ウォーターフォール型開発」がグルーピングされています。最近は、「アジャイル型開発」にてシステムを開発するケースが増えてきたためと考えられます。

その他の変数との関係については、レポートを確認いただければと思いますが、IT組織のマネジメントのかかわってきた方、またIT組織のコンサルタントの方には、再確認レベルの話ではないのではないかと思います。また、本レポートで示した因子については様々な解釈が可能かと思います。

なお、本レポートにどこまで書こうか迷ったこととして、CIOが設置されると、どの機能群が強化されるかです。
詳細の数字は、レポートを見ていただければと思いますが、第1因子「IT組織の企画・マネジメント力」と第3因子「IT組織のシステム開発力」が強化されていることがわかりました。
見方を変えると、第2因子の「IT組織のシステム運用力」は機能的組織であるIT組織に求められる機能で、CIOを設置に関係して能力が高まるわけではないようです。一方で、第1因子「IT組織の企画・マネジメント力」が全社的に求められる機能と考えることもできます。また、実行力としての第3因子「IT組織のシステム開発力」も同時に強化されるのではないかと思われます。

補足:データとして示しておりませんが、CDOの場合も傾向は同じです。ただし、CDO設置の回答数はそれほど多くはないので、CIOほど顕著な結果としては現れておりません。

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