ムカデの飼育における適切な温度・湿度の調べ方の一例
はじめまして。
百足本舗マッサンの代表をしているマッサンと申します。
noteは初投稿ですので、まずは自己紹介をします。
私は主にScolopendra属(オオムカデ)の飼育と繁殖をしています。
Twitter(X)と即売会を中心に自家繁殖のムカデを販売しています。
Twitterユーザー名 @mukachan_honpo
2024年3月時点での繁殖実績の一部
CB(飼育下での交接から繁殖に成功)
ベトナムオレンジレッグセンチピード
マレーシアンチェリーレッドセンチピード
タイチェリーレッドセンチピード
トラジャオオムカデ
スラウェシブラックセンチピード
等
CH(野外交接から繁殖に成功)
ホワイトビアードセンチピード
パープルジャイアントセンチピード
ジャワダークナイトセンチピード
等
現時点では東南アジアの種を中心に繁殖に成功しています。
最近ではありがたい事にお客様から飼育相談をして頂く機会も増えてきましたので、不定期に飼育情報の発信を行いたいと思います。
今回は実際にお客様に紹介している、飼育環境の組み立て方について公開します。
ムカデの飼育における適切な温度・湿度の調べ方の一例
※あくまで一例です。正解とは限りません。
以下の手順で適切な環境を考えてみましょう。
①飼育するムカデの生息地を調べる
②生息地の環境を調べる
③飼育環境をセッティングする
トラジャオオムカデを例として、詳しく手順を解説します。
①飼育するムカデの生息地を調べる
基本的には生息地の温度と湿度を真似することで、殆どのムカデが健康に成長し、繁殖します。
多くの海外産ムカデは地名+体や脚色の流通名が付いています。
また、産地情報が明記されている個体に関しては、この手順は必要ありません。
詳しい生息地がわからない場合は、販売者や輸入者、マニアに聞いてみると良いでしょう。そのほか、DMで私に聞いて頂ければ分かる範囲でお答えします。(論文のほか、ある程度信頼のおける輸入者や現地の方から情報を収集し、精査しています)
トラジャオオムカデの場合は、名前にも地名が付いていますが、輸入者にお話を聞き、インドネシアのスラウェシ島中央部〜南部に生息しているムカデであることがわかりました。
生息地の調べ方については、また別の機会に詳しく記事にしたいと思います。
②生息地の環境を調べる
私はこちらのサイトを使用しています。
気象情報サイト
このサイトを使い、実際にトラジャオオムカデの生息地の情報を集めてみましょう。
データで生息地の情報を見てみます。
サイトにアクセスし、国名はインドネシアを選択します。
平均最高気温は29℃付近、平均最低気温は21℃付近ですね。日本と比べると一年を通してあまり変化はないようです。
湿度に関係する情報も見てみましょう。
雨の多い月は1か月のうち20日ほど雨が降っていますね。
湿度は殆どの月で80%近くあり、非常にジメジメとした環境ということがわかります。
③飼育環境をセッティングする
集めたデータを整理し、飼育環境を考えてみましょう。
・平均最高気温は29℃付近、平均最低気温は21℃付近
・湿度は殆どの月で80%近くあり、非常にジメジメとした環境
基本的にムカデという生物は夜行性で、陽の光を避ける負の走光性を持ちます。
また、森林など薄暗くて涼しい環境を好むため、最低気温の方にフォーカスします。
私の場合は、平均最低気温から2〜3℃+した温度を狙って飼育温度を決めています。
・23〜24℃に設定すれば、暑すぎたり寒すぎたりすることはないと予想できます。
・降雨量は雨季と乾季によって差がありますが、湿度は一年を通して高く、乾燥に弱いことが予想できます。
→空気中の湿度を下げすぎないよう、通気性の良いケースを使う場合は加湿器を使用した方が良さそうです。
→床材は湿っても不潔にならない工夫が必要そうです。こまめな掃除とトビムシやバクテリア入りの床材を敷き詰めることとします。
後はムカデ飼育のセオリーに沿って、シェルターを用意すれば飼育環境の完成です。
実際にこの方法で飼育環境を整えて2023年には繁殖に成功しました。
以上、飼育環境の考え方のご紹介でした。
この種はこういう環境で飼えばOK!という情報を人から聞いたりするのではなく、自力で調べて・考えることが出来るようになれば、きっと飼育の上達に繋がります。色々な種類に応用も可能です。
そしてなにより、自分で理由が説明できる方法でムカデを上手く飼育出来た時の喜びは格別です。
わかりやすくするため基本的な部分に絞って紹介したので、もっと詳しく聞きたい!という方はDMかイベントで直接聞いて頂ければお答えします。
それではこの辺で失礼します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?