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clubhouseで「capoeirax何とか」という実験②:capoeira x manga (international)

clubhouseでカポエイラと、カポエイラとは全く関係ない何かを無理やりかけ合わせたら、カポエイラの何か興味深い一面に光があたったり、思わぬ共通点を楽しめるひとときになったり、ステキな出会いにつながったりするのではないかというTOSHIさんのアイデア💡より始まったcapoeira x 何かroom、第二弾はこれ。2月4日に開催しました。

manga?international?そうなのです。「漫画」一般というより「manga」、海外の作品云々というより「国境を超えるmangaという文化」、そんな感じのテーマです。今回お呼びしたのは、モントリオール在住、L'école de Manga Japonais de Montréalの代表取締役社長のAzusaさんです。Azusaさんは実は私のおともだち。モントリオールに住んでいた時に仲良くさせていただいていて、その後もSNSでつながっており…というかたです。美しく、大胆で、肝が座っている女性。なんでも楽しめる強さをもつ人。x TOSHIさん・Hirokoさん。楽しくないわけがない!

今回も前回同様、なにせroomにいた人たちのほとんどが、Onda building(TOSHIさん・Hirokoさんが経営する)にいるものだから、まあハウる、がちゃがちゃ騒音が入る、誰がしゃべってるかわからない、と、カオスなroomなままでしたが、Azusaさんとの対話、楽しく新鮮でした。

まず、room開始早々、Azusaさんから一言。
「capoeira、やってみましたー!」
これでもうみんな、「おーーー!!!」です。

「room一緒にやりませんか?」に即答で「はい、ぜひぜひ。」
そしてせっかくの機会だからとcapoeira調べて、即「やってみよう!」
この精神、Azusaさんらしい!
そして、「いやー、楽しかったです~!」との感想に、一同また「おーーーーー!!!」です。

正しいやりかた、はじめかた、そういうことじゃなくまずアクション。YouTubeで見つけてさっそくやってみる。だからこそ得られたこのroomのシンクロ感。MontrealとTokyo、朝と夜、世界のなかの点と点がつながり、mangaとcapoeiraがクロスします。

Azusaさんはカナダ・モントリオールをベースに、マンガ講座を始め日本のカルチャーを伝えることをビジネスとして展開しています。これに加えて、アフリカにおける識字率向上や公衆衛生など、ソーシャルな課題へのアプローチのひとつとしてmangaを活用した挑戦もしています。とはいえmangaを単なるツール扱いするのではなく、あくまでも中心に据え付けての活動をしている、という感じかな。ここで決定的に重要なのは、彼女がこれをビジネスとして展開しているということです。同好会でなく、非営利でなく、需要はあるのだから、そこにサービスを提供してビジネスとして持続、発展させていくというアプローチ。世界のあちこちでmangaは愛されている。なのに、日本からその愛に応えるようなビジネスがあまりない。需要はあるよ、すごくあるよ、どうするの? そんな状況にAzusaさんは、ご自身のアーティストとしての蓄積を活かしてビジネス展開するという答えを出した、そして現在「大・活・躍」中なわけです。

この話、実は「日本でcapoeira」と、とっても馴染む話です。capoeiraは、ブラジルで培われたアートですので、やはりブラジルでcapoeiraをする人たちにとって、大切な大切な文化でありアイデンティティです。それがようやく世界に公式に認められれ、UNESCOの無形文化遺産になった。で、それを世界中のいろんな人たちがやるっていうのは大変重要なことで、誇り高きことなのです。だから、世界中のあちこちで需要があり、それに応えるべくブラジルのカポエイリスタ(=capoeiraする人)が世界中のあちこちでcapoeiraを教えながら活躍している、つまり、Azusaさんの捉えたビジョンと同じところをきちんと受け止めているのですね。だけど、日本のmanga業界やファンはそういう世界市場にあまり目を向けていない気がする、機会はこんなにあるのにね、と、そんな話になりました。

まあ、でも、また一方では、capoeiraが世界で花開くことを喜びつつも、どこかで「本気でcapoeiraやるならブラジルでやるべき」「capoeiraのタマシイ的なものはやっぱりブラジルにあるよね、ブラジル人がやってこそのcapoeiraよね」的な意識がちらちら見え隠れすることもよくあります。これは、海外の空手の先生が「イッチー! ニー! サーン!」とカラテを教えているのを見ると何かまだ馴染めないものを感じることがある日本人(自分は空手ド素人でも)が結構いるのと似た感覚かなと思うし、本格的に学ぶならやはりその地で!という考え方に必然的になるのだろうとも思います。それに加えcapoeiraの場合は、虐げられてきた黒人奴隷の歴史をそっくり背負っているという特徴があるので、やはりそこは、アフロブラジリアンだからこそ、というアイデンティティが色濃く現れるところでもあります。

その、capoeira拡がれ!的な感覚と、本物のcapoeiraはアフロブラジリアンこそが担うというアイデンディディに基づく差別化の意識、この二つのせめぎあいの中にあるcapoeiraを、ブラジル国外で本気でやる、しかもブラジル人じゃない人が、となると、なにかしら「なぜcapoeiraやるのか」的なところを明確にする必要が出てきたりします。なんで他の格闘技や音楽ではなく、capoeiraなのか。capoeiraで何をしたいのか。もちろん、ただ「楽しいから」でもいいのですが、TOSHIさん・Hirokoさんたちの場合は、capoeiraでいろんな人たちとつながりたい、つながった人たちがやってよかったと思えるようにしたい、という動機を常に抱いている。だから、たとえば、子ども、ベビー&ママ、特別支援学校や少年院にいる子たちにcapoeiraを教えるセッションを大切にしていて継続していたりします。capoeiraをきっかけとして自己表現することを楽しんでくれるといいな、「またできるのはいつかな」と、次の機会の予感を楽しみにするという感覚を持ってほしいな、と、そういう気持ちのあらわれなんだと思います。これは、歴史を受け継ぎ、国際的に拡がってきたcapoeiraというアートの担い手の一人として、ブラジル人であろうがなかろうが、日本で広める意味は確かにあるよと示す行為と思うのです。それを、だけど、決して気負わずに、自分たちも楽しんで、出会いつながり、歌い動く。そういうことをしているのです。これって新しい歴史を創る、紡ぐということですよね。いわゆる「多様性」のメリットってこういうことですよね。そう思うと、再びAzusaさんのmanga事業とシンクロします。彼女もmangaの多様性を拡張し、これからを紡ぐ仕事をしているんだな。決して気負わず、楽しみながら……

なかなかステキな30分だったじゃないですか。ぜひまた続きをやりましょう!

clubhouseの「capoeira x 何とか」room、TOSHIさん(@capoeiratoshi)、Hirokoさん(@piyosawa)と共にコロナ禍で不定期開催しました。その記録です。




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