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パーツを失い存在を失ったこと

突然電車から投げ出され、次の瞬間意識だけになっていた。耳が鳴る。頭がふわふわする。眼前が真っ白にひたすら眩しい。
そして次のシーンにいきなり飛んだ。マンガの展開様式が現実になったよう。次のコマに目を向けたマンガのよう。状況が飲み込めない。視覚が与える情報が脳でプロセスされず宙に浮く。不意に気づくーー身体のパーツが、夜道に散らばっている。四肢のいずれかだろう。どこだろう、まだ分からない。意識のある「わたし」という認識とつながっていないモノになったパーツが散らばっている。たぐり寄せることができない元わたし。

その瞬間自分はゴミになったと気づいた。なぜゴミかというと、それは自身で決める定義ではなく、世の中がゴミのひとつとみなしたからだ。ゴミ認定された自分はゴミでしかない。たった一ピース、いやほんの数パーツを失っだけなのに。まるでその小さなピースが私の全てであったかのように!事実、私はまた全体としては体をなしていた。側から見ればそれとわかる容姿を保っていた。なのに!

誰が私をゴミとみなすのか。何が私を存在とするのか。それは神さまなのでしょうか。そういう存在がいる前提で世の中は動いているのでしょうか。


私はゴミから、存在になった。いきなりのことで何が起こったか理解しなかった。でもそれは起きた。

私は子どもに握られていた。その子は、その子のみは、この世の中で、その子のみは、私を存在と認識したのだった。その子が私の神だと知った。

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