あらゆる意味の芸術はもちろん現実などではないためそれに縋ることは当然信仰でしかなく
生も死も味付けした時点で欲求ではない
怒りも悲しみも憎しみも
恋慕も幸せも喜びも
端から端まで全て促進か抑制のホメオスタシス
裡から湧き出る魂の叫びのみが最も人間らしい忌々しき呪いなのだった

毛ほどもドラマなどないはずの不幸を劇的に脚色して消費しようとし続ける行為はもはや自傷であり自慰である

何かに重ねて自分が主人公であることを確認し続けないとやってられないほどの不幸を、重ねられる都合のいい芸術が溢れかえるこの劇場を、何にも縋れず確実なバッドエンドに押さえつけられてる日常を、最悪の平和と名付ける他ないのなら、傷は恐るるに足らず

我々の人生において不幸も幸福も劇的なストーリーなどないがそこに何か意味を見出そうとしてしまう人間のなんと哀れなことか
当然かのように無味乾燥であるそれらを受け入れられないこと自体もドラマチックに脚色しようとするあまりに哀れな生物
毛ほどもドラマなどないが明日をまたやり過ごしていこう

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