妻の葬送記を小説化しました。死んで20年になります。私も老いました。気がついたら87歳になっていました。コロナもやって来ました。先に何が来るか分かりません。だから疎開を体験した貧…
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芙美湖葬送-芙美子は死んで芙美湖に帰った②
みな貧しかった
過ぎてしまえばただの哀妻物語だ。
想い出が時間と共に浄化されるから。しかし現実はもっと生々しく厳しく切ないものだ。妻が亡くなって既に十七年経った。最近になって、時に彼女の一生って何だったろうと思うことがある。
幼い頃空襲で逃げ惑い、東京で家族全員死んでしまうより、一人でも生き残った方が良いからと父親に背負われて疎開したが、その疎開先で親戚から苛められ、