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FTX社CEOのサム・バンクマン・フリード氏が暗号通貨市場全体の獲得を目指すと、同社創業時からの支援者が語る

この記事は2022年6月30日にBlockworksで掲載されたShalini Nagarajanの記事(https://bit.ly/3OKXJGa)の引用です。

【Blockworks社独占記事】:「サムが仮想通貨デリバティブ市場でまずまずに成功する可能性はあると思っていました。しかし、暗号通貨市場全体を獲得する可能性が出てくるとまでは思わなかったです」と、Race Capital社のパートナーChris McCann氏がBlockworks社に語る

・一部の競合他社とは異なり、FTX社は人材採用には細心の注意を払い黒字経営を維持することに重点を置いていた
・自ら介入し暗号通貨業界の今以上の損失を食い止めるような行動をとれる取引所や金融機関はFTX社しかないと、Chris McCann氏は語る

ベンチャーキャピタルのRace Capital社は、暗号通貨取引所のFTX社(以下「FTX」という)のアーリーステージに投資をした企業であり、2019年のシードラウンドでは800万ドルの投資を実施した。

多くの企業がレイオフ(一時解雇)やコスト削減を発表している中で、FTXは過去 2ヶ月間で野心的な取引を行ってきた。2021年に本社を香港から西インド諸島北部にあるバハマに移したFTXは最近、Bitvo社Embed Financial Technologies社の買収に合意し、BlockFi社には2億5千万ドルの与信枠を供与した。さらには、FTXのCEOサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)氏が設立したAlameda Research社は、Voyager社に5億ドルを融資した

FTXは証券取引アプリのRobinhood社の買収を目指しているとの報道もある。先月、バンクマン・フリード氏がRobinhood社の株式7.6%を個人の資産により取得したが、こうした買収に関する報道は否定している。

Race Capital社のパートナーChris McCann氏(以下「McCann」という)はBlockworks社とのインタビューの中で「サムの人間性は素晴らしいものです」と述べた。

さらにMcCannは「サムの行動がここまで大きなものになるとは考えていなかったが、これは良い意味でのサプライズです」と、Race Capital社がFTXのアーリーステージに投資を行ない成功したことを話題にしながら語った。

「サムが仮想通貨デリバティブ市場でまずまずに成功する可能性はあると思っていました。しかし、暗号通貨市場全体を獲得する、さらにはそれ以上のことを成し遂げる可能性が出てくるとまでは思わなかったです。なぜならサムは今、一般株式および金融市場さえも追い求めているからであり、それは実に素晴らしい事です」と、McCannは続けた。

Race Capital社がFTXに初めて投資をしたときに作成された取引メモをMcCannが公開した。このメモから、アーリーステージにあったFTXの今後のビジネス的可能性、さらには暗号通貨による先物・デリバティブ取引所を構築するというバンクマン・フリード氏の創業期における構想を垣間見ることができた。このメモは、FTXが2019年に1日の取引量を5000 万ドルから1億5000万ドルへ2週間足らずのうちに伸ばしたことも示す。現在の取扱量は1日平均20億ドルに達している。

McCannは以下の様にも述べる。「サムは昔から、とても挑戦的で歯に衣を着せない発言をし、自己主張の強いタイプです。彼は誰もやろうとしない中で、とても大胆な決断をすることを恐れません。弊社自身がFTXに投資をしているので、彼に対する意見に関しては非常に偏った見方をしていることは承知しています。しかし、この利益関係を差し置いても、今彼がやっていることと同じようなことができる立場にいる他の取引所や金融機関は思い当たりません」

McCannは、Coinbase社の大規模なレイオフ、Binance社の「油断ならない状況」、Huobi社やOKX社が企業進出先をアジアに集中させていることなどを、FTXのように思い切ったアクションを起こせない理由に挙げた。

さらにMcCannは「サムはこの厳しい競争における数少ない生き残りの一人であり、その恩恵をすべて受けることになるのだろう」と語る。

FTXが暗号通貨市場の暴落の連鎖を食い止める方法

暗号通貨取引プラットフォームであるFTXは「人材採用」という重要な側面においては用心深い態度をとっているように思える。経営が黒字化することを重視せずに急成長した他の暗号通貨取扱企業とは異なり、FTXはこの点に関して細心の注意を払っていた。

前述のCoinbase社やBinance社などの取引所が年初に4,000名を超える社員を抱えていたのに対し、FTXの社員数はそれよりもはるかに少なかった。今年の6月時点で、FTXの社員数はわずか300名であることをバンクマン・フリード氏は自身のツイートで明らかにした。

McCannは「FTXの会社経営は極めて効率的であり、そのやり方で人材採用もしているのです」と言う。FTX以外の企業は、高額な資金調達ラウンドを行なうことを正当化するためには、今までよりも採用する人数を増やす必要があると考えているとMcCannは見ている。さらには「これは悲しい現実ですが、人を雇えば雇うほど、経営における効率性は悪くなります」「一般的には、どんな企業でも人件費が最も大きな経費なのです」と続ける。

「事業開始初日からFTXは基本的に黒字であり、その額も多少ではなく大幅にです。こうした経営方針のおかげで、同社は市場において常に優位な立場をとることができるのです」

ベンチャーキャピタルが弱気市場から得られるメリット

ベンチャーキャピタルの多くは、市場の低迷期には様々な評価額が下落する傾向にあり、期待値がリセットされるために新規取引を求める。現在、投資企業が投資に関して不安感を抱いている。その理由は暗号通貨の価格が低いままなので、Celsius社やThree Arrows Capital社、または前述のBlockFi社などの企業が流動性危機に陥る恐怖心を引き起こしているからだ。しかし、「市場が最悪の時期こそベンチャー投資するには最善のタイミングなのがほとんどです」とMcCannは言う。

「今回の暗号通貨市場の低迷は初めてのことではなく、最悪なことでもない」と、McCannは指摘する。また、人々がブロックチェーンベースの技術を利用するかどうか、または分散型空間で行われるプロジェクトにはそれを構築する価値があるかどうかに関してまだ懸念が残っていた2018年に暗号通貨市場が暴落した事実をほのめかした。

「国も、政府も、金融機関も、企業も......誰も、そんなものには興味がなかったのです。今起きている状況と比べれば、当時は今よりもはるかに悲惨で殺伐とした状況でした」「今回の状況は、暗号通貨だけでなく全ての資産クラスの価格を引き下げているマクロ経済の状況です」と、McCannは説明する。

しかし、この暗号通貨業界で長く働いてきた多くの人にとって、現在の市場の低迷は驚くほどのことではないとMcCannは考えている。「正直なところ、5~6カ月前は少し暗号通貨市場が極端に評価されすぎていたので、過剰に評価されていた部分に関しては修正される必要がある」と言う。

「保証はできないがたいていこういう市場低迷期には、とりわけ興味深い企業が誕生するものです」とも、McCannは述べる。

FTXとは別件だが、Race Capital社は2018年にSolana(分散化を損なわずに高速な取引を実現する暗号資産コンピューティングプラットフォーム)を支援した初めての企業の一社でもあった。しかし、暗号通貨業界が目に見えて揺れ動き、多くの投資企業が直前になって資金調達活動から手を引いたことを鑑み、Solanaの開発会社Solana Labs社は自身のシードラウンドについて公式発表をしなかったのである。同社が調達しようとした額と実際に調達した額を比較すると、実際に投資をした企業(または個人)のコンティンジェンシー(不測の事態を想定して投資した金額)ははるかに小さかったことが分かる。

前回の低迷期ほど競争が厳しくなることはないと判断し、今回Race Capital社は利益をもたらしてくれる貴重なプロジェクトを発掘しようと考えている。

「今こそ、本腰を入れて取り組んでいる企業と、遊び半分で参入している企業とを見極める時です」「様々な懸念がある現在ですが、今この時に起業を決意した起業家たちこそが暗号通貨業界にビジネスチャンスがあると真剣に考えている方々です」とMcCannは言う。

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※この文章は下記からの引用です。
Sam Bankman-Fried Out to Win Whole Crypto Market, Early FTX-Backer says
Shalini Nagarajan (Blockworks)
https://bit.ly/3OKXJGa

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