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「愛という名のベール」綺麗な蜘蛛の巣みたいな曲だなって。

この前「ぼくがかんがえたさいきょうのすとーんず」っていう自分用のCD作って遊んだのですが、みんなSixTONESの曲で12曲選べるならなに選びますか?
そこに1曲はユニット曲入ってくると思うのですが、わたしは絶対に外せなかったです。
「愛という名のベール」を。

邦楽で育ち、日本的な文化が好きなわたしに刺さらないわけがないこのユニット曲。
音楽的な難しい言葉とか知らないですが、まずとにかく、メロディがドラマチックで素敵。
ドラマチックでキラキラしているのに、4分29秒の間、ずっと物悲しい気配と懐かしさ、そこに少しの苦しさが満ちていて、この曲の主人公として酔っていたくなるメロディ。
この音の「キラキラ感」はさながら、雨粒のきらめく蜘蛛の巣のよう。
あるいは細かく砕け散った硝子の破片が、月光にこまかく反射する時の神秘さと儚さ。
特にAメロ前とアウトロ、転調部分「何度も繰り返し呼ぶ」の「何度も」のところがお気に入りです。
メロディにノスタルジーを感じると思ったら、のちにジェシーさんがKinKi Kidsがお好きと知りました。
わたしも、アイドルとか全然わからなかった時に聴いた「硝子の少年」の破片が今でも胸へと突き刺さっていますし、先輩から
「愛という名のベール好きなの?これ聴いてみて」
と送られてきた「スワンソング」を聴いて、即落ち3秒。
じゃあ「愛という名のベール」も好きだよなあ。
なるほどね……昔のKinKi Kids感かあ……「愛という名のベール」のご先祖さま(?)に「スワンソング」がいるのですね。
ノスタルジックなものが好きですが、現代に作られし「あの時」を模したものの方が、最近は好きかも。
模したもの、言い方悪いですけど作られた「偽物」の方が、よりその時代のエッセンスが美化され、凝縮されて綺麗に結晶化している気がします。
そういうところに、偽物にしかないやさしさみたいなの感じてわたしは好きです。
この懐メロ調?歌謡曲調?このタイプの楽曲わかりやすく大好きなのですが、なんというジャンルなのだろう?これ……。

そんなノスタルジックでドラマチック、哀愁漂うメロディに歌声を乗せるのは、ふわふわ儚い聴くスフレことジェシーさんと、最高の透明度を誇る水晶の声帯ほくとちゃん。
薄雲に滲んだ朝の声と、澄んだ冬の夜の声と言い換えても良い……対照的なふたりの声が、離れていく「あなた」 から離れられない、切なくて苦しい心情を歌うのです。
ビジュアルも洋と和、陽と陰で対照的なふたりは声も対照的。
できすぎているな……設定が。
オタクは対照的なふたりが一緒のいるのを見るのが大好き。

そもそも、タイトルがすでに天才ではないですか。

ベール【veil】

女性の顔や頭を覆う薄い布やネット。面紗。
はっきりとわからないように覆い隠すもの。とばり。「神秘の—に覆われる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「(結婚式で)新郎がベールを上げることで、二人を隔てる壁を取り払うという意味」もあるそうで…。
「二人を隔てる壁」、こんな意味合いがあるものを「愛」に例えたセンスが素晴らしい。そういうセンスがほしいです、わたしも。
広く、肯定的な意味で語られがちであるはずの愛、あたたかなものと思われがちな愛……そんな「良いもの」であるはずの愛に隔てられ、すれ違い、恋人がわからなくなり、それでも離れられないなんて……。
そもそも「愛」…「愛」ってなんなのか……?

あんなに人によって違った形をしていて、良い悪いも見方によって変わって、正解はどこにもなく、目にも見えないから確かめることも出来ない何かなんて…………。
「愛」って言えばなんとなく聞こえはいいですが、結局よくわからない。
そりゃいつの間にか目の前をそっと覆うものに変貌していても仕方がないかも……。
でも……それでも「あなた」から離れたくないんですよね…。

恋愛って難しいな。
昨日の飲み会でも「なぜ恋人を作らないのか?」の問いに、これこれこういう理由で……を出来るだけ丁寧に気を遣ってお伝えしたら、
「……そこまで考える????」
と若干引かれたばかりです。考えすぎなのか、周りが考えなさすぎなのか……?
……よし!難しいことを考えるのはやめよう!
そう!これ!MVもいいですよね!!(急ハンドル)
ほくじぇふたり、全然目が合わなくて。あとずっとなんか禁欲的な色気あって初見でひっくり返ったのも良い思い出。
ライブの演出はそれぞれ白と黒の衣装で大量の羽根が舞って宗教画ですし。

愛も恋も難しくて無害にはよくわからないけど、自分が「愛という名のベール」好きだと言うのは、確かなので……、
もうそれだけで充分か。
聴いちゃお。
一度聴くと2回くらいリピートしがち。
囚われてます、この曲に。

無害

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