菅義偉首相 第2回グループインタビューにおける日本学術会議をめぐる質疑応答文字起こし(2020年10月9日)

文字起こしの元とした映像:【ノーカット】菅首相 内閣記者会インタビュー 「任命見送りの候補6人 改めて任命はない」
https://www.youtube.com/watch?v=8BIT__ZlF9Q&feature=youtu.be

●記者(TBS映像 冒頭~)
よろしくお願いします。

●菅義偉首相
よろしくどうぞお願いします。

●記者
まず、最初に、日本学術会議の会員の任命の問題について、お伺いをいたします。
今日の河野大臣と井上大臣がそれぞれ学術会議を行革の対象として検証を行うと表明されました。
総理ご自身は先日のインタビューで、現会員による推薦について、事実上の後任指名が可能な仕組みだと問題視をされ、省庁再編時にあり方そのものが議論になったことにも触れておられました。
現状で今後、この会員の推薦制度について、見直すお考えはあるのでしょうか?また、学術会議そのもののあり方についても見直すお考えはあるのでしょうか。お聞かせください。

●菅義偉首相
まず、これまでも説明をしておりますように、日本学術会議については、法律に基づいて、内閣法制局にも確認の上で、学術会議の推薦者の中から総理大臣として指名、任命をしているものであると思っています。
この日本学術会議は、政府の機関であって、年間約10億円の予算を使って活動していること。また、任命される会員は、公務員の立場になること。また、会員の人選は、推薦委員会などの仕組みがあるものの、現状では、まあ事実上は、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組み、こうなっている。
こうしたことを考えて、推薦された方々が、そのまま任命されてきた前例を、踏襲をしていいのかどうか、そうしたことを考えてきたということであります。
それで、これ2001年の省庁再編の際に、この、相当の議論があったということです。その議論の中で、長期的、総合的、国際的観点からの提言が求められており、俯瞰的な視点を持って、社会的課題に向き合うことができる制度、まああの、できる人材が望ましいというふうに思ってます。
今回、日本学術会議の役割に関心が集まっています。これを機会に、日本学術会議のあり方、まあ、良い方向に進むようなら、そうしたことも歓迎はしたいと。このように思っています。

●記者(TBS映像3:07~)
はい、朝日新聞のホシノと申します。よろしくお願いします。
日本学術会議のですね、任命除外問題の経緯についてお伺いします。2016年から推薦決定前に官邸側が任命に難色を示す事例が複数確認されています。
政府としてはいつ、何をきっかけに、形式的任命を取らなくなったのでしょうか?
また、今年の6人の除外について、安倍前総理からこの案件の引き継ぎを受けたのはいつで、引き継ぎの時点で6人の任命除外は申し送りにあったのでしょうか? 
お願いします。

●菅義偉首相
あの……まず……この内閣府で、その……日本学術会議の会長の中で、この会議のあり方など、そうしたことのやりとりは、当然、行ってきているというふうに思っております
そして……え……今までの経緯の中でですね、総合科学技術会議の意見具申(※1)によれば、日本学術会議は科学者の知見を集約をして、長期的、総合的、国際的観点から行政や社会への提言を行うこと。総合的、俯瞰的な観点から活動すること、こうしたことが求められてきています。
さらに平成27年の内閣府の有識者会議(※2)においては、日本学術会員の会員は、自らの専門的分野の枠にとらわれない俯瞰的視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、こうしたことをされています。

(※1)総合科学技術会議「日本学術会議の在り方について」(平成25年2月26日)p.4  https://www8.cao.go.jp/cstp/output/iken030226_1.pdf

総合科学技術会議提言


(※2)日本学術会議の今後の展望を考える有識者会議「日本学術会議の今後の展望について」(平成27年3月20日)p.24
https://www8.cao.go.jp/scj/index.html

有識者会議


こうしたことを踏まえて、法律に基づく任命を行う際にはですね、総合的、俯瞰的な活動すなわち、広い視野に立ってバランスのとれる活動を行って、国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべき、まあ、こうしたことを念頭にですね、その……内閣府……等で、そうした議論をしていることは、事実じゃないでしょうか

●記者(TBS映像5:43~)
総理から、安倍前総理から、引き継ぎというのがあったのでしょうか。

●菅義偉首相
あの、ありません。

●記者
(マイクなし)では、ご自身でご決断されたと……

●菅義偉首相
あの、そうした一連の流れの中で、判断をしたということであります。

●記者(TBS映像5:58~)
時事通信のオオツカです。引き続き、学術会議について伺います。学術会議側は、6人の任命を見見送ったことについて、説明を求めています。総理自身が梶田会長とお会いし、直接説明される考えはありますでしょうか

●菅義偉首相
今、あの……申し上げましたけど、日本学術会議については、まあ、省庁再編の際にですね、そもそも必要性を含めてそのあり方について、相当のこれ、議論が行われた経緯があります。その結果として、総合的、俯瞰的な活動を求める、まあ、そういうことになった経緯です。
さらに、この総合的、俯瞰的活動を確保する観点から、日本学術会議にその役割を果たしていただくために、まあ、ふさわしいと判断をされる方を、まあ、任命を、してきました。
こうしたことを今後もですね、まずは丁寧に説明していきたいというふうに思います。
また、梶田会長とはですね、日頃から、これ、事務局との間でコミュニケーション、これ、とっているというふうに思いますが、会長がお会いになりたいということであれば、私はお会いをさせていただく用意というのは、もっております

●記者(TBS映像7:24~)
今おっしゃった、その総合的、俯瞰的な活動ということなんですけれども、どうしてもなかなか国民の方々にはわかりづらい部分だと思うんですが、総理としては具体的にどのような活動を求めているということなんでしょうか?
国民にもわかりやすいような判断材料をお示しいただければと思います。

●菅義偉首相
今、申し上げましたようにですね、この日本学術会議、ここをどうするかということの議論があったわけです。それで、科学者の知見を集約をして、長期的に、また総合的に、国際的観点から行政や社会への提言を行うこと。そして総合的、俯瞰的な観点から行動すること、このことが、議論の中で求められてきたわけです。
さらに、平成27年の内閣府の有識者会議においては、日本学術会議の会員は、自らの専門分野の枠にとらわれない、俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい。これ、有識者会議で、そういう方向、出されています。
これを踏まえて、法律に基づいて任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわちですね、広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべきこと、こうしたことを、やはり念頭に置きながら、これは判断を行う必要があるというふうに思います

●記者(TBS映像9:11~)
そういう意味では、6人の方というのは、そこに当たらなかったということでよろしいんですか

●菅義偉首相
今、私が申し上げた通りです
すなわち広い視野に立ってバランスのとれた行動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきこと、こうしたことを念頭に、これは在任判断をしていると、そういうことです。

●記者(TBS映像9:32~)
すいません、今の関係ですが、専門分野以外の業績が考慮されるということですけれども、具体的には、どのような業績が考慮されるということなんでしょうか?

●菅義偉首相
私、申し上げましたように、自らの専門分野の枠にとらわれない、俯瞰的な視点を持つ社会的、もって、社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい。こうしたことを平成27年の有識者会議において、こうした意見をいただいています。
ですから、これらを、こうしたことを踏まえてですね、法律に基づいてこれ、任命を行うわけでありますから、その際には、総合的、俯瞰的な活動、今、申し上げましたけど、この、総合的、俯瞰的な活動というのは、やはり、すなわちこの広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民の理解をいただく存在であるべきだと。まあ、こうしたことを念頭においてですね、判断をするということが自然なことじゃないでしょうか

●記者(TBS映像10:40~)
バランスのとれた活動ということの中にですね、例えば学者個人の思想信条が影響するということあるんでしょうか?

●菅義偉首相
それはありません。

●記者(TBS映像10:50~)
今回の会員の推薦、任命手続きについては、なかなかわかりづらいところもあるんですけれども、今後その、会議のあり方を見直して、法律の改正を考える可能性もあるんでしょうか

●菅義偉首相
まず、今申し上げましたけれど、かつて総合科学技術会議の意見具申には、日本学術会議、これ、総合科学技術会議の中で意見があったわけです。それについては科学者の知見を集約し、長期的、総合的、国際的観点から、行政や社会への提言を行う。こういうことが、これ、求められています。
そして、今、申し上げましたけれど、27年度の内閣府の有識者会議においては、この科学者会議の会員というのは、自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、こうしたことも報告をされています。
そして、こうした観点に立った上でですね、日本学術会議は、これ、政府の機関でありですね、年間約10億円の予算を使って行動していることやですね、任命されるこの会員の方はですね、公務員の立場にこれ、なるわけでありますから、国民の皆様から理解される活動をいただく必要があるというふうに思っています

●記者(TBS映像12:26~)
今回、すいません、1983年の中曽根元総理総理の国会答弁なんかもありますけれども、当時、内閣総理大臣官房参事官の答弁では、210人の推薦を、そのままその通り総理が形式的な発令行為を行うと解釈しているとおっしゃってる、という答弁があるんですけれども、それに関して解釈は変更していないと、政府側はずっとお答えになってますが、それで間違いないんでしょうか。
あと、●●、解釈を変更しないまま、全員任命するという前例を踏襲せずに、今回、いわゆる運用を変更したということなんでしょうか?

●菅義偉首相
これは毎日の官房長官の記者会見でも、これ、説明をしているというふうに思ってます。
国会答弁でも局長から説明させていただいてますが、憲法第15条の規定に明らかにされている通りですね、公務員の選定は、国民固有の権利であり、任命権者たる内閣総理大臣として、責任をしっかり果たしていく。
こういう一貫した考え方に立った上で、法律に基づいて任命を行ってきているものでありですね、解釈変更を行っているものではないというふうに思っています
また、その上で、推薦された人を、そのまま任命されてきたことについてはですね、これまで、そうした前例を通して踏襲をして良いのかという思いがあってですね、日本学術会議がこれまで言われてきたような総合的、俯瞰的活動、いわゆる、今、申し上げましたけれど、広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきという、まあ、こうしたことを念頭に、判断をさせていただいている、こういうことです

●記者(TBS映像14:32~)
すいません、関連しまして、83年の国会答弁についてですが、このときは国会で、表でオープンに議論されてます。今回18年にですね、内閣府と法制局の方で運用を変えたということですが、これは本来、国会の方でオープンに議論されるべきだったんじゃないでしょうか

(※)

●菅義偉首相
まず……今、申し上げましたように、変更しているということでありませんので、憲法第15条の規定に明らかにされているように、公務員の選定は、国民固有の権利であって、任命権者たる内閣総理大臣として、これ、責任をしっかり果たしていくというこの一貫している考え方でありですね、法律に基づいて任命を行ったものであり、解釈変更を行ったものではない、こういうふうに思ってます

●記者(TBS映像15:34~)
その重大な決断をする中において、やはり国会の方でオープンに議論されるべきではなかったのかという質問なんですが……。

●菅義偉首相
あの……解釈は、変更は行ってません

●記者(TBS映像15:43~)
話題、変わります。11月1日に住民投票が行われます大阪都構想なんですけれども、総理のお立場、見解をお聞かせください。(以下、略)

●菅義偉首相
まず、大阪府は……(以下、略)

●記者(TBS映像17:12~)
話題、また戻るんですけども、今回、日本学術会議に任命されなかった6人に関しては、今後のこの6人を任命することは、もうこの先ずっと、ないということなんでしょうか。
それとも、状況であったり、それぞれの活動内容であったり、変更があれば、改めて任命する可能性はあるんでしょうか?

●菅義偉首相
これ、官房長官も申し上げていますように、今回の10月1日に99名の方を、これ任命しておりですね、今般の任命手続きは終了した、と、こういうふうに考えてます。今回の任命について、変更するということは考えておりません。

●記者(TBS映像17:58~)
今後の任命の際に、この6人の方が、また3年後であったり、この6人の方が出てきた場合には、対応が変わる可能性もあるんでしょうか?

●菅義偉首相
まず、仮定の質問(笑)、でありますので、ここは控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしろ、法律に基づいて任命を行う際にはですね、日本学術会議がこれまで言われてきたように、総合的、俯瞰的な活動、いわゆる幅広い視野に立ってバランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべきである、こうしたことを念頭に、これやはり、判断をしていく、まあ、こういうことになるだろうと思います。

●記者(TBS映像18:41~)
すいません。日本学術会議のですね、軍事研究についてお伺いしますが、17年に会議はですね、軍事研究に協力しないという声明を出したことをですね、現在、総理はどのように評価されていますでしょうか?
また、日本の大学は軍事協力に門戸を開くべきだとお考えでしょうか。中国や米国の状況、国際状況を踏まえた上でお聞かせください。

●菅義偉首相
まず、今、先ほど来、申し上げていますけども、日本学術会議のあり方ということに、省庁再編の際にですね、これ相当の議論があって、その議論で、長期的、総合的、国際的観点からの提言、これ、求められてます。
そして、俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、こうしたことが、この2001年の省庁再編の際に話し合われました。
日本学術会議の役割に今、非常に関心が集まってます。これを機会にですね、学術会議のあり方というのが良い方向に進むようなら、そうしたことを、いろんなことは歓迎をしていきたいというふうに思います。

●記者(TBS映像20:00~)
具体的にその「総合的、俯瞰的」の中に、軍事研究というのが入る可能性があるのでしょうか。

●菅義偉首相
あの……先ほど申し上げましたように、幅広くですね、広い視野に立ってバランスのとれた、ということであります。そうしたことに対してですね、しっかり対応していくことが大事だというふうに思います。

●記者(TBS映像20:25~)
マイナンバーカードについてお伺いします。(以下、略)

●菅義偉首相
まず、役所に行かなくても、あらゆる手続きができる、そうした社会を実現するためにですね、マイナンバーカードというのは不可欠だと思っています。(以下、略)

●記者(TBS映像21:43~)
また学術会議なんですけれども、これを機会にあり方が良い方向に進むようなら歓迎したいということなんですけれども、総理が主体的に、あり方の見直しに関して、検討を指示されたりするお考えはあるんでしょうか。

●菅義偉首相
私からというよりも、今、党の方でも、こうした、政調会長のもとで、このあり方について、いろんな議論をしているようであります。そうしたことをしっかり見ながら、というふうになっていくというふうに、与党と連携をしていくという形に、なっていくんだろうと思います。

●記者(TBS映像22:34~)
今の段階で総理からすぐ、ご指示を出されるお考えというのは。

●菅義偉首相
私から、今で、そのあり方ということについて、私、指示することは考えてませんけれども、まあ、行政改革の観点から、河野大臣が、これ、全体の行政改革の中で取り上げるかどうか、ということじゃないでしょうか

●記者(TBS映像21:49~)
すいません、学術会議のあり方の論に引き続きお伺いしたいんですが、安倍政権時代の内閣府特命担当大臣のもとにですね、設けられた有識者会議が、2015年にまとめた報告書で、変える理由は見出しにくいというふうにしております。また、事務局体制の増強も指摘されています。
今日、河野大臣がですね、会議の見直しに言及されているのですが、その間に方針が変わったということなんでしょうか。

●菅義偉首相
方針が変わるよりも、現実的に、確か210人の大学術会議の中で、事務局員が確か50人ほどいると言われてます。国費がこれ、導入されてますんで、そうしたことも含めて、河野大臣が、全体のこれ、ここも一つの国の機関ですから、これ、独立すれば全く別ですけれども、そうしたことで、全体を河野大臣が、行革の視点で、これを行うということは、それは、行革担当大臣として、ある意味では当然のことじゃないかなというふうに思います

●記者(TBS映像24:16~)
GO TO トラベルについてお伺いします。(以下、略)

●菅義偉首相
まず、コロナ対策については、感染拡大防止と社会経済活動の両立を実現すべく、これ取り組んできてます。(以下、略)

●記者(TBS映像26:45~)
また学術会議なんですが、総理が、先ほど安倍総理からの引継ぎがなかったということなんですが、最初に案をご覧になったのは、いつ誰からの報告だったんでしょうか。
その時点では105人の名前が載っていたんでしょうか。

●菅義偉首相
あの……私が‥‥いつかということは、確か……9月……9月の20……ちょっとすいません、間違っちゃうと、あれですから。
(メモの差し入れを受け取る)
9月の……これ、内閣府が今まで説明しますけど、私が最終的に決裁を行ったのは、9月28日です。
で、会員候補のリストを拝見したのは、その直前だったと記憶しております。
その時点では、現在の最終的に会員となった方が、そのままリストになっていたというふうに思っています。

●記者(TBS映像27:54~)
総理がご覧になった段階では、もう99人だったという?

●菅義偉首相
あの……そういうことです。あの、任命するリストでありますから。

●記者(TBS映像28:02~)
任命する前、その前の推薦段階でのリストはご覧にはなっていない?

●菅義偉首相
いや、見てません。

●記者(TBS映像28:07~)
東日本大震災の復興についてお伺いいたします。震災や原発事故のですね、教訓を伝える目的で、福島県の双葉町に開館しました、東日本大震災原子力災害伝承館についてなんですけども……(以下、略)。

●菅義偉首相
まず、私、東日本大震災の原子力災害伝承館、訪問しましたけども、語り部の方の話は、私は伺っていません。(以下、略)

●記者(TBS映像29:55~)
首相公邸に入居するかどうかお伺いします。(以下、略)

●菅義偉首相
まず、入居については、現在、検討しているところです。(以下、略)

●記者(TBS映像30:37~)
●●を検討しているのか。入るか、入らないかを検討しているのか?

●菅義偉首相
入るか入らないかを検討しています。
(終)