傍聴メモ:第1回雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会 (2018年10月19日)

※以下は、上記の検討会を傍聴した際にパソコンに打ち込んだ内容を若干整理したもの。理解不足の点はメモを取れていない。また、正確性に欠ける点をあらかじめご了承いただきたい。正確な内容は、後日に公開される議事録をご確認いただきたい。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01931.html

【議事次第】第1回 雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会
【資料1】開催要綱
【資料2】検討会の公開の取扱いについて(案)
【資料3-1】雇用類似の働き方に関する検討会報告書 概要
【資料3-2】雇用類似の働き方に関する検討会報告書
【資料3-3】雇用類似の働き方に関する検討会報告書 参考資料集
【資料4 】労働政策審議会労働政策基本部会報告書(抜粋)
【資料5】規制改革実施計画(抄)
【資料6】今後の進め方
【資料7】関係者ヒアリング項目(案)

芦野訓和  東洋大学法学部教授
阿部正浩  中央大学経済学部教授
荒木尚志  東京大学大学院法学政治学研究科教授
安藤至大  日本大学経済学部教授(欠席)
小畑史子  京都大学大学院人間・環境学研究科教授
鹿野菜穂子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授(欠席)
鎌田耕一  東洋大学名誉教授
川田琢之  筑波大学ビジネスサイエンス系教授
桑村裕美子 東北大学大学院法学研究科准教授(欠席)
鈴木俊晴  茨城大学人文社会科学部法律経済学科准教授
土田和博  早稲田大学法学学術院教授
長谷川聡  専修大学法学部教授
水町勇一郎 東京大学社会科学研究所教授(途中退出)
村田弘美  リクルートワークス研究所グローバルセンター長
事務局:雇用環境・均等局 在宅労働課

小林雇用環境・均等局長(挨拶):具体的にどういう保護が考えられるか、論点を検討。来年の夏くらいをめどに一定の結論を得たい。事務局紹介。総務省情報流通局 のうとみ課長補佐。公正取引委員会 かさはらしんご室長。経済産業省からも出席予定。雇用環境・均等局。本田。堀井なつこ。吉田まこと。元木(課長)。永倉(課長補佐)。

事務局(永倉):資料説明。鎌田委員を座長に選出

鎌田座長:挨拶。座長代理を荒木委員に。各委員、自己紹介を。5分以内で。

水町  シェアリングエコノミー、プラットフォーム、疑似雇用労働者が増えている。最低賃金法、労災、社会保険の事業者負担がない労働者が急速に増えている。日本でも同じようにイノベーションとの関係で早い遅いはあるが、大きな流れとしてはシェアリングエコノミーが発展していく。運輸業、出版業などで既に発達。今後、他の業界でも広がっていく。今後、働き方改革の中で、コスト削減を求める動きの中でこの動きが加速していくことが予想される。その中でどう対応するか。実態にあった保護が大切である一方で、公正な競争条件を整えていくことも大切。経済政策として。つまり、労働者の保護+競争条件の整備、両方の観点が大切。制度設計として思っている方向性、2つある。労働者概念そのものをどう考えるか。指揮命令、人的従属性だけでよいか。
 指揮命令はしないが売り上げは上げてこい、という労働者が増えている。裁量労働者など。そのような実態としての労働者。指揮命令や人的従属性で見続けるのではなく、経済的従属性をどう組み入れていくか。労組法上の労働者はある。労働基準法などを、経済的従属性という面からどう見直していくか。法律を変えていくか、判例で変えていくか。方向性の示し方。
 もう一つ、労働者概念を大きくシフトさせていくことを見据えながらも、優先度の高いものについては個別の法で対応していく。契約条件の明示、契約の履行確保、安全衛生、各法を修正していく。そういうことを視野に入れながら。かなり大変。しかし社会の動き。対応しないと、競争条件が底を抜けてしまう。社会の動きを察知しながら、講じられる対策は早く講じていくことが必要。(水町委員、退出)

事務局(永倉):資料2。資料3。検討会の紹介。資料3-1.p.6。p.1。プラットフォームを介さないものも対象に検討した。p.2。p.3。p.4。p.5。資料4。労政審基本部会。(1)雇用類似の働き方、(2)テレワーク、(3)副業・兼業を検討。そのうち(1)について紹介。資料5.規制改革実施計画。放送制作現場に係る整理・分析・検討は平成31年上期(6月)まで。

鎌田:各委員から一人5分以内でご意見を。

芦野:民法・財産法。民法は商品交換の体系。サービスの契約関係について議論されるようになり、ここ15~20年は役務提供について検討が進んできた。雇用類似、似ているという点が、役務の提供になるのだろう。昨年の民法改正。契約に当てはまらない役務の提供。役務提供契約の法を作ろうという話はあったが作られなかった。類似して似ているところをくみ取る。報酬に関する規定など、修正されている。3つの契約類型は残っている。こぼれ落ちるものがある。不十分。まさにこの検討会の問題。古くから問題とされており、新しい働き方も出てきている。契約類型ごとに分けて法律を作るのも1つのアイデア。ドイツはそう。ただし、常にいたちごっこになる。労働者概念を広げたとしても、グレーゾーンは常に残る。民法の安全配慮義務、契約の終了。アイドルタレント、多大な損害賠償された。裁判所が損害賠償を認めた場合もあり、認めなかった場合もある。その際のキーワードが「雇用類似」。しかし、広くは信義則の問題。個々の契約に依拠せずとも安全配慮義務はある。人的従属性、場所的従属性は、古い考え方。人が目の前にいることが前提になっている。今日のプラットフォームを利用した働き方。安全配慮義務はないのか。環境的従属性も考慮してもよいだろうと思っている。働き方に入る環境、提出する環境、等。プラットフォーマーの責任。

阿部:経済学。労働経済学。労働力の定義。15歳以上を母集団として、労働力人口と非労働力人口。労働力人口は就業者と失業者。就業者は雇用と自営・家族従業員。そこにもう一つ、定義を置くのかどうか、という問題。労働力調査など雇用統計に跳ね返ってくる問題。なぜ大事か。法的に雇用類似ということが固まったとして、本当に労働者がどこの定義に当てはまるのか、わからないと、実際に保護しようとしても、できない。雇用類似をどう定義していくか、どのように曖昧さを排除できるか、考えたい。
 保護というと交渉力をどうつけさせるか。どれだけ交渉上の地位を高めてあげられるか。一番よいのは、独占力をつけること。労働者に置き換えれば、どれだけオリジナリティを持つか。世界に一人だと交渉力は強い。交渉力をつけていくための能力の向上。大事なのは教育訓練。それをどういう形で雇用類似の人々がやっていけるのか。経済学的には関心。

荒木:労働法。雇用類似の人々に対する保護は、世界的に大議論になっている。世界中で多様な現象と課題、取り組み。日本で議論する場合に考えるべき3つのこと。検討会報告書、大変よくできている。まず第1.どのような保護が必要なのか、その確定。実態に照らして。第2.その保護をどういう制度で提供するのか。労働法の保護を拡張すべきという議論は、1つのアプローチ。交渉力の格差を消費者保護法や独禁法などで対応する手もある。プラットフォーマーの発注。約款規制の対象にできる可能性もある。労働法で対応すべきか否かも考えるべき。法規制によらずとも市場のレピュテーションを使えば弱者の保護になることもある。クラウドワーカーの苦情を受け付ける。悪い発注者を避ける。市場機能を使った仕組み。三段階。労働法でどう保護するか。3つある。1つ、労働者概念の拡張アプロ―チ。もともとの労働者概念を拡張するのではなく、ドイツのワーカーのように別の概念を作るのが2つ目のアプローチ。3つ目は、新しい保護の対象を設ける。労災保険の特別加入など。制度対象アプローチ。こういう3つのアプローチがある。どの程度、どのような保護を及ぼすべきかで、取捨選択すべき。労働者概念が確定すれば、保護の体系が決まるか。労働法自身が多様化している。ホワイトカラーエグゼンプションもそう。労働者概念をどこに広げるかは、労働法自身がどれほど多様化・柔軟化しているかもあわせて考えなければならない。

小畑:3月までの検討会も委員だった。雇用類似は実に多様。経済産業省の資料。企業が求めるスキルと働き手が認識しているスキルのずれ。若い人ほどプラットフォームなどで仕事を獲得していく。教育訓練のシステムを整えてスキルを獲得していくことが重要。行政のガイドライン、広報、企業を通じて労働者を益する流れになっているが、今後、どのように情報を流してスキル形成していくのか、従来とは違った行政のアプローチが必要になっていく。今の荒木先生の指摘。労災の特別加入。私も関心。フリーランスで危険な仕事。特別加入が使えるとよいが、団体を作る必要がある。これからの働き手の意識、団体になるという意識が可能なのか、不安がある。3月までのヒアリング。そこから漏れている方も含めて、家内労働法を改正してカバーすべき人もいるのではないか。多様な仕事をネットで受ける。国境を超える。対価がポイント、チームで受注など。委託条件の明確化。工賃の全額払い。最低工賃。一つのモデル、示唆を与えてくれる存在。自治体がどう絡んでくるか。育児の時に収入が減って困る。労働者でなくても女性の育児について市町村が育児給付をする例が増えてくる。月に1~3万円ほどの収入が市町村から得られている。

川田:労働法。昨年度の検討会にも参加。雇用類似の働き方、実態が多様。保護の観点、労働者概念を拡張、または個別に対応。法的な規制。多様な実態がある中で具体的な状況にあわせた対応を考えていく。実態の把握。できれば一人の方の職業キャリアを積み重ねていく中で雇用類似という働き方がどのように表れるのか明らかにできるとよい。最初は典型的な雇用。そのあと雇用類似の働き方に転換。あるいは最初から雇用類似。他にもパターンがあるかも。雇用類似の働き方をされる方の職業能力開発にかかわってくる。出産育児がきっかけで働き方が変わるなら、典型的な労働者に適用される制度を雇用類似を視野に入れながら考えていく必要性。対象となる方の実態、保護の必要性。労働者性にかかわる点を中心に検討してきた。一番重要な点であることは確かだが、使用者性、働く人の相手を誰とみるべきか。プラットフォーム、三者間の関係。職業紹介、派遣。紛争解決。労働法の特徴を考えた制度が設けられている。雇用類似でも紛争解決が視野に入ってくる。大きく広がる問題。

鈴木:労働法。クラウドワークを研究。法政・浜村をプロジェクトリーダーとした科研の研究。検討会は2年目に入っている。その中で、フランスのクラウドワークについて、研究を担当。昨年、フランスのクラウドワークについて論文を書いた。フランスは、世界で最も早くクラウドワークについて法的なセットを作った。クラウドワーカー。プラットフォーム事業者からある一定の従属関係の中で働かされていて、一つのクラウドワーカーから、という場合、団体交渉の権利を認める。労災保険類似の保護も及ぼす。そういう立法を世界でいち早く作った。労働者と独立自営業者の間に、ある一定の従属関係をもったクラウドワーカーの類型を作った。フランスは、時の政権によって立法が大きく変わる。政権が揺れたところで新しい立法ができて、政権が変わるとできた法律がしぼむこともある。情報提供していきたい。フランスのクラウドワーカーに対する保護の状況、最低賃金保障については、保護を及ぼすことを見送っている。
 日本、クラウドワーカーの中に、隠れた形で現在のフレームワークでも労働者と言える方がいるだろうということは、再度検討しなければならない。クラウドワーク事業者、かなりの指揮命令をワーカーに及ぼしつつ委託就労させているケースが見られた。2つ目。労働者概念の在り方の再度の検討もできるとよい。フランス、ウーバーを狙い撃ちする形でクラウドワーカー保護がされている。それを踏まえた上で、ウーバーは法的責任を本当に負わなければいけないのか。法的保護の必要性。ウーバー以外のもの。実態を踏まえながら、本当に保護が必要なのはどこか。最後。経済的依存。それも大きく加味する視点がフランスにある。我々も考えていくべき。日本でも独立のスタードアップとしてクラウドを利用しているケースがある。最初、クラウドワークから入って、顧客を獲得するとクラウドワークを離れて委託就労する、そういう傾向が見える。クラウドワークは静的なものではなく、動的な一時点のもの。そこを保護する必要があるか。経済的にどれだけ依存することになるか。

土田:経済法。経済や産業に関する法。独占禁止法、下請け法。雇用類似検討会に参加。校正取引委員会の研究会にも参加。独占禁止法が適用できるという場合に、川上の市場、川下の市場、人材を獲得するためのカルテルがどういう影響を及ぼすか。優越的地位を乱用した場合の問題。通常の商品サービスとどう違うのか。検討は意義あるものだった。こういう観点からの検討会は独禁法、初めて。しかし、報告書が出ればよいかというとそうではない。公取委が取り上げる事件は限られている。優越的地位乱用、課徴金を課さなければならない。まもなく確約制度が施行される。違反認定されず是正を求めることができる。しかし件数はできない。差し止め請求。これも取引が継続している間に差し止め請求は非常に難しい。件数も認められた判決はとても少ない。非労働者、中間的な層が関係する取引、独禁法が適用できる場合があると言っても、絵に描いた餅になる可能性。そういう意味で、公取委の報告書は重要だがさらにこの検討会で検討する課題は残っている。

長谷川:労働法。雇用類似の実態がより知りたい。立法を構想しようとするときに足りる程度の詳細な実態を。報酬の支払い方、何をみて、どのタイミングで。時間は報酬にどう反映されるのか。調べた中身をどう類型化するかも。雇用類似で語るべき範囲を考えるべき。この概念を使わなければいけないものはなにか。労働者の概念をどう考えるか。従属関係、指揮命令を受けない。しかし裁量労働制など、労働基準法にも指揮命令を受けないものが既にある。現時点の法制度でできるものを考えた上で、雇用類似、どこまでの人がそこに入ってくるか。経済的従属性の中身も問題。組織的従属性が意味することも。労働組合法との関係も。労災が守っているのは身体の健康。報酬も就業者の生活を守る大事なもの。どういう人まで対象にするか。人に着目して適用範囲を考える。逆に、項目ごとに。例えばセクハラ。労働者に限らない問題。

村田:1999年にリクルートワークス研究所たちあげ。当初のテーマ、インディペンデントコントラクター。今年で3年目、就業実態パネル調査。阿部先生にも参加。本業フリーランサー、昨年時点で自営業主で雇人がいない、実店舗を持たない、農林漁業以外。定義が定まらないと。440万人のフリーランサーがいるだろう。本業フリーランサー。高卒が最も多く、続いて大卒。最初に想定しているフリーランサーと若干違う。法人化されている人は6.8%しかいない。クラウドソーシング利用していないが90%超。直接取引が非常に多い。週の就業時間、すくなめ。平均時給2421円。OJTの機会がない81%。自己啓発も行っていない。
 2週間前、アメリカのターフ。世界WEC。テンプ。雇用か自営か、二択で線を引くのではなく、第三の働き方、インディペントワーカー。一つ専属、依存性が高い場合と複数の場合、複数の立場がある。企業人事の観点。雇用ポートフォリオ。現在、正規・非正規・雇用類似・AI・RDA?

鎌田:私の思い。2点。1つ。この検討会は何をするのか。働き方改革、働き方が変化する中で、様々な改革、多様化に出会っている。その中で、様々な理論的課題は専門家の方にお話しいただく。私としては何よりも、新しい働き方を選ぶ方、キャリアとして選択しようとしている方が、広くその選択肢を選択できるようにしていくこと、そのことによって充実した職業生活を送っていただくようにすることが非常に大切。その意味で新しい働き方、あるいは昔からある雇用類似の働き方で働く方の目線に立って、その方たちが何を望んでいるのかを検討していきたい。理論的な課題、受け皿の問題ももちろんあるが、中心になっていくのは、そういう働き方を選ぶ方の思い、そして充実した働き方、そのための政策が問われている。
 もう1つ。この問題は諸外国においてもかなり以前から何度も繰り返し議論されていること。ヨーロッパ、先進国を中心に、工夫、法政策上の改定が行われてきた。それで十分ではないためさらに検討がされている。わが国はやや、そういう動きから見ると、伝統的な仕組みがずっときていた。今後、理論的な課題、根本的な重大な問題も含まれているので、どこまでこの検討会で議論できるかはわからないが、何らかのアウトプットを出していきたい。具体的なアウトプット、あるいは政策的な提言、それができるような検討会にしていきたい。よろしくお願いしたい。

事務局:資料6と資料7.今後の進め方。第2回で関係者ヒアリング。来年夏を目途に一定のとりまとめをしたい。中間か、最終か。資料7、関係者ヒアリング項目案。何を聞くか。どこを呼ぶかは、また検討して相談したい。ここではワーカーの団体を想定してヒアリング項目を設定した。

鎌田:ヒアリング項目について、ご意見を。

芦野:契約書やそのひな形が見られるとよい。

事務局:団体が用意しているのであれば、ということでよいか。

川田:増えている場合、どういう人が増えているのか。典型雇用の人が雇用類似の働き方をするようになっているのか、時間の経過を見るようなものがほしい。また、(9)のキャリアアップに関わるもの。時系列的な流れの中で見たとき、最初からそういう働き方だったのか、そうでないのか、さらに、雇用類似から別の働き方に移行するのか、その場合、どういう方向性なのか、雇用に戻るのか、事業者なのか。

村田:このあとインターネット調査をするのではないかと思うが、インターネットをあまり使わない方の声を拾うように対象を。ウーバーイーツのような新しいものも見られるとよい。また、保護の在り方ということなので、保険の実態も。

阿部:そもそも法律の知識をこういう方々はどのくらい持っているのか知りたい。下請け法、民法、取引形態に応じた法をわかってやっているのか、調べられるのなら調べてほしい。

鎌田:ほかにあれば、事務局にメールでもよいので。

事務局:第2回は12月上旬を予定。