傍聴メモ:第3回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会 (2018年12月7日)

傍聴メモ:第3回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会 (2018年12月7日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211189_00008.html

【はじめに】
 以下は、12月7日の第3回検討会の傍聴メモである。傍聴者としてその場でパソコンに記録した限りのものであり、聞き漏らしがあること、また聞き違えがありうることをご了承いただきたい。

※ 傍聴メモに関する筆者のコメントの中で、労働条件課課長補佐が口頭で読み上げた欠席委員(小倉委員および川口委員)の調査項目の削減提案と、座長の求めに応じて欠席委員のコメントとして文書配布した中に記載されていた削減提案の項目が違うのではないかと書いていたが、他の傍聴者の指摘を踏まえれば、課長補佐は文書の内容と同じ削減提案を口頭でも読み上げていたようであり、筆者の聞き取りミスであったようだ。従って、その点について、筆者のコメントを修正した。また議事メモに記した欠席委員の削減提案について、転記した文書をもとに修正した(12月20日追記)。

 この第3回の検討会では、調査票案が提示され、その調査項目案のうち、どの項目を削ることができるかが主な議題であった。
 当日の議事進行には大きく4つの問題や疑問があった。
 第1に、調査の実施要領(資料2)は事務局から説明されたものの、検討議題として扱われなかったこと。事務局の説明が終わった後で、座長からは、事業場票(資料3-1、3-2)と労働者票(資料3-3、3-4)について同じ程度の時間をかけて検討したい旨が伝えられ、資料2を飛ばして資料3の検討が始まった。資料2については、途中で樋田委員が言及して初めて検討されたが、正面から議題には上げられなかった。この実施要領では、労働者票は事業所を通じて回収することが提案されていた。労働者票をどのように回収するかは、前回も意見が分かれていたところであるにもかかわらず、検討議題に挙げられなかった。
 第2に、欠席の小倉委員と川口委員の意見が、事務局(労働基準課課長補佐)より早口で読み上げられるのみで、配布資料として共有されず、座長の手元にもその内容が文書で伝えられていなかったこと。これらの欠席者の意見は、調査回答者の負担軽減(による回収率の向上)を目的として、具体的な調査項目の削減の提案を行ったものであり、その提案内容は今回の検討内容に深くかかわるものであるにもかかわらず、座長の手元にさえその内容が文書で伝えられていなかったことは極めて疑問がある。課長補佐が早口で読み上げた内容について、西郷座長が、聞き取れなかったので文書はないのか、と問うたことによって、後ろに控えていた事務局職員が課長補佐に確認の上、パソコンを持参して出ていき、その提案内容を文書にしたものを委員に配布することによってその内容が委員に共有されることになった。傍聴の筆者もその文書の配布を求めたが、総務課長が認めなかったようで配布されなかった。会議終了後にその文書の確認をさせてもらえるよう求め、記されていた調査項目の削減提案事項についてメモを取った。
 第3に、その欠席者が提案した削減提案、特に川口委員による削減提案が、調査されるべき重要事項であったこと。裁量労働制の労働者がみずからの「みなし労働時間」をどのように把握しているか、また自らの労働時間をどのように時間管理されているかは、削除されるべき質問項目ではない。議論の中で、削除されるべきではないという意見が小島委員によって出され、削除はこの会議の場ではまぬかれたが、上記の第2に記した事情を勘案したとき、もし事務局がその提案を早口で読み上げたのみで委員がその内容を把握できず、議論もなかった場合、異論がなかったものとして削減の方向が決まった可能性は排除できない。欠席者が提案した調査項目の削減西郷座長が文書を要求しなかった場合、その扱いがどうなったか。そう考えると、提案内容を事務局が文書で座長に伝えておらず、その場で早口で読み上げるのみで済ませようとした対応に強い疑問が生じる。実態調査を行うとしても、そもそも大事なポイントを聞かないのであれば、実態調査としての意味が大きく損なわれる。実態をとらえると都合の悪い項目は最初から聞かない、という姿勢であってはならない。
 第4に、裁量労働制の制度廃止を事業場調査の設問の選択肢に盛り込むことを小島委員が提案したことに対し、座長や樋田委員、鈴木委員から異論が出たこと。この検討会はそこまで踏み込むことが役割ではない、といった反応だった。しかしこの検討会が裁量労働制の拡大ありきではなく、そのような政治の思惑とは離れて実態をとらえるというものであったはずだ。にもかかわらず、事業場調査で裁量労働制の廃止という声を拾うことさえやるべきではない、という姿勢には疑問を持つ。
 なお、下記の資料のうち、参考資料については、事務局からの言及はなかった。
 そのほか、下記の議事メモの中で適宜、補足説明を挟んだ。
 また、この第3回検討会について、連合通信が下記の記事を配信している。
政府に都合悪い設問を削除?/裁量労働制実態調査の検討会(連合通信)https://www.rengo-news-agency.com/%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AB%E9%83%BD%E5%90%88%E6%82%AA%E3%81%84%E8%A8%AD%E5%95%8F%E3%82%92%E5%89%8A%E9%99%A4-%E8%A3%81%E9%87%8F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%B6%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E4%BC%9A/

<会議情報>
2018年12月7日(金)
13:00-15:00
厚生労働省共用第8会議室

<参集者名簿>(第1回資料1)
小倉一哉  早稲田大学商学学術院教授 → 欠席
小島茂 公益財団法人連合総合生活開発研究所客員研究員
川口大司 東京大学大学院経済学研究科教授 → 欠席
黒田祥子 早稲田大学教育・総合化学学術院教授
西郷浩(座長) 早稲田大学政治経済学術院教授
鈴木重也 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹
樋田勉 獨協大学経済学部教授
※宮内竜也 総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 (※オブザーバー)

<参考人>
齋藤参考人 日本マーケティング・リサーチ協会
土屋参考人 日本マーケティング・リサーチ協会

<事務局>(反時計回り)
審査解析室長
統計企画調整室長
政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当付参事官)
総務課長
審議官(労働条件政策、賃金担当)
労働基準局長
労働条件政策課長
労働条件政策課調査官
労働条件政策課課長補佐

<配布資料>
議事次第(PDF:92KB)
資料1 裁量労働制実態調査のイメージ(案)に対する意見(一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会公的統計基盤整備委員会)(PDF:428KB)
資料2 裁量労働制実態調査の概要(案)(PDF:428KB)
資料3-1 裁量労働制適用事業場票(案)(PDF:1.16MB)
資料3-2 裁量労働制非適用事業場票(案)(PDF:924KB)
資料3-3 裁量労働制適用労働者票(案)(PDF:0.98MB)
資料3-4 裁量労働制非適用労働者票(案)(PDF:916KB)
資料4 裁量労働制実態調査の統計表(案)(PDF:272KB)
参考資料1 開催要項(PDF:128KB)
参考資料2 検討会におけるこれまでの主なご指摘(PDF:436KB)
参考資料3 これまでの経緯について (第1回資料2)(PDF:792KB)
参考資料4 裁量労働制に関するこれまでの調査について (第1回資料3)(PDF:176MB)
参考資料5 裁量労働制に関する法令等(PDF:1.93MB)
参考資料6 裁量労働制の適用可能性に関する調査研究報告書(財団法人連合総合生活開発研究所 平成12年3月)(PDF:3.62MB)

***以下が傍聴メモ***

●事務局 定刻より4分早く開始。小倉委員と川口委員が欠席。本日、ヒアリングを予定。日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)公的統計基盤整備委員会より、齋藤さだひこ参考人、および土屋かおる参考人に来ていただいた。

●西郷 議題が多い。結構なボリューム。15:30以降ご予定がある場合は15:30で退席いただいて構わない。まず、一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)の方々からご意見を伺いたい。議題1 前回の資料(調査案)に対するご意見を伺いたい。

●齋藤 JMRAの斉藤。全体として、第2回検討会の資料をもとに意見をださせていただいている。既に検討されているところは聞き流していただきたい。
 まず調査対象について。既に検討していただいているようだ。(以下、資料に沿った説明。省略)
 
●西郷 実査の経験からご意見をいただいた。調査に関連するところでご質問は。

●小島 質問項目について、JILPT調査では多すぎるという指摘。多すぎだと回収率に影響する。ではどのくらいの項目だと回収率に影響するのか、なにか目安はあるのか。

●土屋 最小限がのぞましい。ご自身が渡されたときにどのくらいの負担感か。30分もかかるならいやになる。5分、10分でさらっと答えられるレベルなら回収率は上がるだろう。

●西郷 質問項目の数は大きな議論になるだろう。斎藤さん、土屋さん、ありがとうございました。(お二人、後ろの席に移動)

●西郷 案を作成した。資料2から資料4をまずまとめて説明いただいてその後、それぞれについてご議論いただきたい。まず事務局、説明を。

●事務局(労働条件政策課課長補佐) 今後、一般統計として総務大臣承認を受けたのちに、早急に実施する。資料2、調査概要の説明(略)。どのくらいの事業場に調査票を配れれば、統計的に適切であるか、検討中。年内にできるか。また、総務省との調整の上で決定していく。最終的には後日、確定。
 事業場調査票案(略)。平成30年度以降、調査時点で裁量労働制を廃止しているときにはその旨を書いて返送してもらう。人事担当に回答いただく。そこで回答できないものは他の部門に協力いただく。統計法にもとづき実施。労働基準監督など統計以外の目的では利用しない。
 裁量労働制は短時間労働者があまりいないと考える。また、労働時間の把握をしていく上で、短時間の方が入ると集計上、ばらつきが出る。そのため、短時間労働者は除いて調査していく。
 問5の(2)、企画業務型の要件にあてはまるかを問う設問。
 問9 実働労働者数。これをかけて全体を把握していく。
 資料4、統計表案、「・」で並んでいるものが表側。そのあとが、表頭。調査票で書いた事項については、すべての項目を表頭に並べる。表側にはフェイス。基本クロスですべて出していく。ご相談。第8表。1日の労働時間の状況の平均。派遣の表(具体例として、当日配布)の「平均賃金」のように、1日の労働時間の状況の平均を出す。その平均の出し方について、適用と非適用を比較するということがあるので、そこをご相談させていただきたい。資料4の別紙。裁量労働制適用の規模間と合わせたほうをとりたい(8.1時間の計算方法の方を取りたい)。

●西郷 いま13:50.事業場票(資料3-1、3-2)と個人票(資料3-3、3-4)で同じくらいの時間をかけたい。まず資料3-1.裁量労働制の適用事業場の票に関して。欠席の川口先生と小倉先生のご意見をまず事務局から

●事務局(労働条件政策課課長補佐) 小倉先生より。非適用の事業所について、適用労働者と比較可能なだけの事業場数をむだなく。分量を減らす必要がある場合は、適用労働者票問13、非適用労働者票問12が候補。
 川口先生より、2つ意見。1つ。調査負担を軽減するため削除してはどうか。適用事業場票の問14、問15の(2)、非適用事業場票の問13、適用労働者票の問4、問5、問7、問14、非適用労働者票の問4、問6。また、裁量労働制のフレキシブルな働き方は賃金水準との関係で把握すべき。適用事業所の労働者の賃金水準の把握。適用事業者の賃金水準の昨年からの変化。非適用事業場の賃金水準の把握。

【補足】
この箇所について、事務局が文書を配布せずに早口で説明したが、下記にあるように座長が文書を求め、事務局が追加で文書を配布した。傍聴者である筆者らには、筆者が要求したものの、配布されなかった。筆者は、会議終了後に事務局にその文書の閲覧を求めてポイントを書き写した。上記の傍聴メモは、その転写によって補ったものである。
 小倉委員の提案にある削減候補のうち、適用労働者票(資料3-3)の問13と非適用労働者(資料3-4)の問12は、いずれも、仕事があなたに与える影響・メンタルヘルスを問う項目である。
 川口委員の事業場票に関する削減提案は、適用事業場票(資料3-1)の問14(適用者に適用されている評価制度)と問15(2)(適用対象者に適用される特別休暇)、さらに非適用事業場票(資料3-2)の問13(専門業務型類似の労働者と企画業務型類似の労働者に適用されている評価制度)である。
 また、川口委員からの労働者票に関する削減提案は、適用労働者票(資料3-3)については問4(自身に適用されている「みなし労働時間」の時間数の把握の有無と時間数)、問5(労働時間の把握方法)、問7(休暇の取得状況)、問14(裁量労働制が適用されることになった理由)であり、非適用労働者票(資料3-4)については、問4(労働時間の把握方法)、問6(休暇の取得状況)である。(補足おわり)

●西郷 こちらはメモがない・・?

●事務局(労働条件政策課課長補佐) すいません、口頭で。

●西郷 メモが取り切れなかったんですが・・・。(注:その後、傍聴席にいた事務局員がパソコンをもって室外へ。文書を持って戻ってきて、課長補佐の確認を経て委員に文書を配布。傍聴者には配布されず)
 質問の数に関しては構成員それぞれで相場観が違うだろう。
 では調査票1種類ずつ。資料3-1(適用事業場票)から。これは試験調査(予備調査)をやるようなタイミングはないか?

●事務局(労働条件政策課課長補佐) 一般統計ではそういったことをやることはない。JILPTの調査をベースに作っているということを踏まえた上でご議論いただければ。

●小島 問16健康確保措置について。聞き方がなじまない。Bの設問に「実施(利用した)」のような聞き方が必要ではないか。相談窓口の設置については、利用を聞けるように。
問18(4)(同意の撤回の理由)、30年度なのか、30年度以前も含めてなのか。「これまで」とあるので、30年度以前も含めているはず。
問20の(1)(現在の裁量労働制に関する意見)、「特に意見はない」ではなく「わからない」とすべき。
問20(2)(裁量労働制の制度を見直すべきと答えた事業場に、具体的にどのような見直しが必要と考えるか、複数選択)、JILPT調査の自由記述意見を見ると、廃止すべきという意見があるので、そういう選択肢もあったほうがよい。
問20は4つの調査共通の項目となっている。他についても同じような手直しが必要。

【補足】
ここで小島委員がJILPT調査の自由記述意見といっているものは、JILPT調査シリーズ調査シリーズ No.124(裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果事業場調査結果)およびNo.125(裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果労働者調査結果)の冊子に収録されていなかった自由記述欄の記載のこと。立憲民主党の長妻昭議員らの求めにより、2018年4月16日にJILPTのホームページで公開された。
●『裁量労働制等の労働時間制度に関する調査 (労働者調査及び事業場調査)平成25年11月中旬~12月中旬実施)』の自由記述項目二次集計結果)(2018年4月16日)
https://www.jil.go.jp/johokokai/research/index.html

●事務局(労働条件政策課調査官) 構成員の皆様の意見も踏まえて工夫をしたい。
問20(1)、考え方としては、意見があるのかどうかを聞く。1(今のままでよい)と2(制度を見直すべき)が、意見のある方のための選択肢。廃止すべきという選択肢をいれるべきという意見については、参議院の付帯決議(を踏まえる必要がある、といった趣旨の説明)。現行の裁量労働制の制度の適正化を、という意見。それに資するような選択肢という考え方。健康確保措置など様々な制度構成要素について選択肢をならべて提案をしている。事務局としての考え方。

【補足】
参議院の附帯決議(http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/196/f069_062801.pdf)には、次のような記載がある。
***
十八、裁量労働制については、今回発覚した平成二十五年度労働時間等総合実態調査の公的統計としての有意性・信頼性に関わる問題を真摯に反省し、改めて、現行の専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態を正確に把握し得る調査手法の設計を労使関係者の意見を聴きながら検討し、包括的な再調査を実施すること。その上で、現行の裁量労働制の制度の適正化を図るための制度改革案について検討を実施し、労働政策審議会における議論を行った上で早期に適正化策の実行を図ること。
***
事務局の説明は、今回の実態調査は「現行の専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態を正確に把握」することを超える内容を含むべきではない判断のように聞こえた。しかし、この検討会の第1回でも、この実態調査が政策誘導的な調査になるべきでないとの発言は小島委員や小倉委員から表明されており、これまで野党の指摘に対して厚生労働省は裁量労働制の拡大ありきの実態調査を行うのではない旨も繰り返し表明している。
であるならば、事業場調査において、「廃止すべき」との選択肢を設問の複数回答の選択肢の1つとして設けるだけのことを排除する理由はないと筆者は考えるが、この検討会では座長・事務局を含め、そのような選択肢は設けるべきではないとの意見が大勢を占めた。(補足終わり)

●鈴木 制度の廃止の選択肢について。この実態調査は、裁量労働制をよりよくしていくという趣旨。国会の付帯決議もある。制度の存続と発展を前提とした項目と理解している。調査項目は政策に反映可能なものするべき。制度廃止という項目を入れることには反対。
13ページ。問18(3)裁量労働制の同意についての項目。制度適用を求めた場合。新規に対象にならない方。適用者がいない場合には、同意を求める対象者がいなかったというところをおさえておく必要があるのではないか。

●西郷 ほかに何か。

●樋田 本調査の調査票は分量が多い。調査対象への負担がかなり大きいことが懸念される。今回の裁量労働の制度に関し、どうしても聞きたいという項目以外はできるだけはずし、回収率の向上をめざすべき。川口委員の指摘。問14.裁量労働と評価制度とのむすびつき、今回ここまで聞くのは、分量を増やす必要はないのでは。資料2についてはまたあとで?

●西郷 そうですね。あとで。

●黒田 樋田委員あるいは川口委員の意見に賛成。できるだけ少なくする。問14(評価制度)と問15の(2)(特別休暇)は検討の余地がある。また、削除とは関係ないが、労働時間の最終的な平均値を出すとき。事業場票問9(2)の休憩時間。これを聞いているとうことは、問9(1)の労働時間の状況から休憩時間が含まれているとときは差し引いで平均値を算出するという理解でよいか。

●事務局(労働条件政策課課長補佐) そうできるように設計している。

●黒田 ここをしっかり決めておくのがよい。また、西暦表記はできないか。

●総務 西暦にしてはいけないということはない。

●西郷 ただ、政府として足並みがそろっての対応ではない
裁量労働制の廃止ということは、検討会のアジェンダに乗るようなものなのか。

●事務局(労働条件政策課課長補佐) 私共がおはかりした考え方、国会での議論ですとか、付帯決議を踏まえて、今回の検討会をお願いしている。大きくは参議院の付帯決議の文言、大きくは制度をよりよくしているという観点から、制度を構成する要素、業務がどうか、みなし時間がどうか、健康確保措置もあり、法令レベルで制度を形作る要素について、その実施状況やご意見をこの調査を通じて把握して、それを今後の検討に生かしていくという考え。設問設計や選択肢についても、そういう考えでやったもの。私共はそういう趣旨。事務局としてはそういう考えでおはかりをしている。

●西郷 小島先生、御不満かもしれませんが・・

●小島 現行の裁量労働制の見直しを前提にしか調査しない、そういうことだということか。私は、ゼロベースからの実態把握ということで、制度の在り方も含めて見直すという認識を持っている。若干、齟齬がある。しかし先生方の意見もあるので、そこは最後までこだわるということではない。
問20(今後の裁量労働制に対する意見)のところ、「わからない」という選択肢を入れたほうがよいというところ。非適用の労働者については、わからないというほうがたぶん、多く出る。「意見がない」と「わからない」は別。実態としては、わからないの方が出る。

●西郷 川口委員の提案、事業場票の問14と問15(2)について、削除が必要なら削除をしてもという意見が樋田先生と黒田先生からご指摘があったが、よろしいでしょうか。まだ決定ということではないが。

●西郷 次に、非適用事業場票(資料3-2)については。

●小島 問12について。問2の・・・という表現では、もう一度戻らなくてはいけない。

●西郷 調査票を行ったり来たりしないほうがよい、というのはその通り。川口先生から、問の13(評価制度)は削除してもよいのではという意見があった。

●樋田 適用事業所について問14(評価制度)を削除するというのであれば、非適用について問13(評価制度)を削除するのも一緒に考えてよいだろう。

●西郷 事業場票について、全体の調査の規模間、どう思われるか。樋田先生は多すぎるのでなるべく縮減する方向でというご意見をいただいたが。全体の量に関して、いかがか。
よろしいですかね。私はあえて自分の意見を言うのは差し控えておこうと思いますが。誘導する形になるのはどうかと思いますので。
では労働者票の方へ。資料3-3。

●黒田 属性の「Ⅰ」について。かなりプライベートな内容。いきなり年収を聞かれると躊躇する。できるだけ最後の方に聞く形にできないか。

●樋田 一般的なフォーマットはこのような流れが多い。しかし確かにプライベートな個人属性についてまず聞くことになるので、最初からこれを聞くのは回答意欲をそぐ恐れがある。政府統計ではこの流れだと思うが、回収率の低下が懸念されることと分量の問題がある。できれば試験調査やヒアリングなどで意見が得られるとよい。それができないのであれば、調査の順番を逆転するというやり方もある。しかし聞き取りやヒアリングなどで事前の対応はあるべきだろう。

●西郷 小島先生は。

●小島 私も、連合総研の調査ではフェイス(属性)は最後に聞いている。

●西郷 公的統計はこうだろうが、JRMAなどにもヒアリングして、パーソナルな項目はどういう順番で聞くのがよいか、聞いていただくとよいだろう。法的なうしろだてがない一般統計なので、そういう形で対応を。
では労働時間について。JRMAから、1年前の労働時間は正確に測れるのか、という意見があった。

●樋田 問3の(3)(1週間の実労働時間)。40時間未満も、もう少し下からとったほうがよいだろう。30時間未満、30~35など。

●西郷 調査票のスペースが許せば。
問4(自分に適用されている「みなし労働時間」)、問5(労働時間の把握の方法)、問7(休暇制度)は、削除の必要があれば削除できるのではないかとご意見をいただいている。

●小島 問4、問5。問4はみなし労働時間を知っているか、きわめてポイントとなる質問。必要だ。問5の労働時間の把握の方法。労働者が実際、どういう時間把握をしているか、労働者側からの質問であり、重要。はずすべきではない。

●鈴木 私も問4と問5は、はずせないと思う。

●西郷 問4と問5ははずせないという意見。問7はどうですか。これだけではあまり削減の効果はないような気もしますが。
これ、集計上、お二人のご意見だと、事業場でやっていることと労働者の回答が食い違っている可能性がある。集計の際に、この人はどこで働いているかということを意識した集計はできるのか。IDの振り方。

●事務局(労働条件課課長補佐) そこも含めてご意見をいただきたい。一連の番号で、どこの事業場で働いているか、統一コードを振ることは可能。ただ、一次集計でやるかどうかは検討。

●黒田 問7について、川口委員から削除の提案があったが、事務局のお考えをお聞きしたい。どのくらい休めているかを把握したいのか、日数を把握したいのか。裁量労働で働いている人は休暇中もメールで返信したり、実際に働いている人が多い。日数を把握することで何を把握することになるのか。それがないなら問7は廃止の方向性を考えてもよい。

●事務局(労働条件課課長補佐) JILPTの調査をベースに作った。問6でも聞いているので、減らさなければいけないというご意見があれば減らすこともありうると考えている。

●鈴木 問7いついて。実労働時間ということでは比較が容易だが、休日の場合は労働日の日数によってそもそも幅をもったものになると考えると、優先順位は低い。なくてもよい。

●西郷 ではⅢ(健康状態などについて)を。よろしいですか。Ⅳ(仕事・職場などについて)は。

●樋田 問13仕事があなたに与える影響(メンタルヘルス関連など)。裁量労働制と直接に関係があるのか、やや不明確。この項目を調べて何がわかるのか。学術的には調べると意味があるのかもしれないが、項目を減らしたいということなので、全部減らすのか、いくつか減らすのか、議論の対象となるが、削減の方向で検討していただいてよいのでは。

●小島 問13.この設問だけを見たとき、これが裁量労働制の特有の影響かはわからないが、非適用との対照で違いがでるのか、比較をしたときに意味を持つだろう。両方に聞けば意味があると思う。

●西郷 片方を削るなら両方を削る。残すなら両方を残すということか。

●黒田 何を聞いているかわからないという樋田委員があった。私もその部分には賛成。そもそもこれが何を測る尺度か、議論の余地がある。一方で、健康にどういう影響を与えるかは非常に重要な問題。健康状態に関するものは、これを除外すると問9(現在の健康状態)と問10(1年前と比べた健康状態)のざっくりした問しかない。特にメンタルヘルスを聞く項目がなくなる。本来であれば学術的にこれでよいと認められた尺度を使うべきだが、メンタルヘルスや健康に関する尺度にはお金がかかるものが多い。さらにお金がかかることも問題なので、そういう意味では、若干ぼんやりしているかもしれないが、問13も残していくことが重要と考える。

●西郷 まあ、全部残すかどうかは議論の余地がある。ただ、全部なくすと、健康状態は、いいか悪いかを聞くだけになってしまう。働き方が精神状態にどう影響するかは重要という考え方もある。
Ⅳ(仕事・職場などについて)は。

●小島 問14の適用の理由と、期待された効果。C以下のところは期待した効果だ。そこで、理由または期待された効果、と2つのことを聞いているということを言う必要がある。C以下は理由ではない。
問16 健康・福祉確保措置。事業所が実施している措置の認知度も聞いたほうがよいか。これらすべてがあるとは限らない。個別に認知度を聞くのも難しいだろう。下から2つ目、「知らない」、これだと全て知らないという形になってしまう。しかしそういう形でしかないのかな、とも。
問18の前、問18と問19は、企画業務型の適用の方になっているが、問18に、企画業務型裁量労働制適用にあたっての、と入れておいた方がよいのでは。
問21の(1)(現在の裁量労働制についての意見)に、「わからないと」付け加えたほうがよい。問21(2)の3(「制度の運用に当たって、労働者の意向がより尊重されるようにすべき」)について、説明を補足したほうがよい。本人同意や撤回の手続きなどを含め、労働者の意向を、といった形に。

●西郷 問14(あなたに裁量労働制が適用されることになった理由)の削除について

●小島 問14は残しておいた方がよい。必要。

●西郷 次に資料3-4(非適用労働者票)

●黒田 非適用の労働者について、残業代の支給対象かどうか、聞いておくことが必要では。

●事務局(労働条件課課長補佐) 質問のご趣旨を。

●黒田 残業代が得られるかどうかで働き方も違うだろう。裁量労働制の方はパッケージで決まっている。非適用の方には、残業代が支払われる人と支払われない人がいるだろう。後ほど差別化することを考えると残業代の支給対象となっているか把握する必要があるだろう。

●事務局(労働条件課課長補佐) 役職を聞いている。●●(どの範囲まで言及したか不明)、部長は、通常であれば管理監督者。適用されている労働時間制、事業場外みなしも聞いている。

●西郷 ほかに。あるいは事務局からぜひ今、聞いておきたいことがあれば。

●事務局(課長補佐) もう少し数を減らす・・・。それぞれ非常に大事な項目だとは思いながら、今後、ご示唆をいただける点があれば。

●西郷 たぶん研究者に聞いてもいい答えは返ってこないような意見聴取だと思いますが・・・。
次回が二週間後でしたっけ? 次回にはかなり、詰めたものを図らなければいけないということですので。
では、次回、もしかしたら質問の項目が少なっているかもしれない、ということを了解事項として。
樋田先生、資料2について。

●樋田 調査対象の選び方。事業場について層別に無作為抽出。労働者は規模に応じて無作為抽出。大規模な事業場ほど調査対象者が多いという解釈でよいのか。そうすると大きな事業場ほど調査負担が多くなりうるということか。このような形でご提案があるのは、一人一人の労働者が選ばれる確率を等しくするということだろう。であれば事業場を選ぶときに・・・としておいて(メモをとれず)、選ばれた事業場での労働者の数は一定にすることでも同じことができるだろう。
また、母集団の名簿がまだないので言えないが、トータルで同じ事業場数を調べるときに、・・・(メモを取れず)
選ぶ事業場の数は減らしておいて、1つ1つの事業場で選ぶ労働者の数を増やすのか、今後名簿ができてから丁寧に検討が必要。
今回、一段目も二段目も無作為抽出ができそうなので、層別の精度をきちんと評価して、何がどこまで言えるのかを明確にしておくのがよい。

●西郷 樋田先生の得意分野なので。
非適用事業場をどう選ぶかが難しいだろう。
では資料4(統計表(案)を。平均値の出し方、ウェイトをどうすべきか。

●樋田 適用と非適用で企業規模がかわってくる。事務局案の加重平均が妥当な案と考えている。

●西郷 どれくらいまでウェイトをコントロールすべきか、ご意見は。男女別とかも考えられるが。ウエイトの取り方自体。あるいは、ウエイトをどこまで細かくとるか。

●樋田 現段階では母集団名簿ができていない段階なので、今後の検討課題。

●西郷 平均の取り方について、反対意見があれば。
厚生労働省は死亡率の高さなどでいろんなテクニックを持っているだろう。公表したときにわかりやすい見せ方がよい。ウエイトのかけ方、厚労省は長い蓄積がある。
どういう表を出すか、についてご意見を。出すもの全部出す、ということになっているが、これだけ細かく出すと、ゼロばっかりになることも心配される。やってみないとわからない。
席上配布の派遣に関する統計表。基本的に割合なんですね?今回、表象するのは。
おそらく、これより細かいものを出すというのは、もっとゼロが増えることなので、事務局案に反対というのはないと思うが・・。
私の方は逆の心配をしていて、ゼロや1だと表象そのものができなくなるケースもある。このままで公表ができるのかが心配。ただ、やってみないとわからない。
予定していた時間にはまだ20分ほどある。ご意見は。

●鈴木 川口先生のコメント。どこを削除するか。裁量労働制の適用労働者資料3-3の、問14(あなたに裁量労働制が適用されることになった理由)は削除してはどうかとの指摘。改めて問14と問20(裁量労働制が適用されていることへの満足度)、ここは問20で代替するというこもあるかなと。先ほど事務局からも削除の方向で、という意見があった。改めて川口先生の問14を削るという案を支持したい。

●西郷 もしないようでしたら、今日の議題はすべて検討いただいたので、本日の議論はここまでとさせていただきたい。いろいろな意見が出て、熱心にご議論いただいた。年内をめどに検討会の議論をまとめるということになっていた。事務局は今回の意見も踏まえて。
次回の日程を。

●事務局 調整の上、改めてご連絡。