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あいつなんかただの通り雨

堀江淳さんの「メモリーグラス」(1981)の大サビ、最後のワンフレーズです。

陳腐な表現だと思われますか?

吉本新喜劇の島田珠代さんのギャグに「男なんてシャボン玉」というのがあります。また、かつて、有吉弘行さんも「沢山の男が私を通り過ぎていった」なんてフレーズをよく使われていましたね。

こういった男女間の表現は昭和歌謡(というか、当時のドラマなども含めた昭和文化)の中にふんだんに散りばめられており、それがあって初めて成立する、(その後の時代である)平成のメタ的な笑いだったのだと思います。

しかし、一周回って、素直な気持ちであらためてこういう言葉を味わってみると、ドライで、タンパクで、草食な感じの対極にある、何とも湿度の高い、男と女の裏腹な関係が表現されており、とても趣を感じます。

たったこれだけの表現ですが、何よりわかりやすく(伝わりやすく)、そこには土着的だったり、情念的だったりする香りもあり、噛めば噛むほど味が出るような、実に奥深い表現だと思いませんか?

好き嫌いはさておき、こんなフレーズも、たまにはいいんじゃないでしょうか?

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