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現代川柳

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2023年8月の記事一覧

川柳習作「復活」 8句

復活を求められてる三畳紀 七転び八起き目に出す白オーラ カチューシャの唄にも華の別れかな 捲土重来剛力招来 復活の兆しに生姜いやワサビ あの人も確か復活したってさ お湯入れてすぐに完全復活市 会えない刻のレコンキスタを まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「タイヤ」 8句

ミシュランの星の数だけ豆を食う 地面には相合い傘とタイヤ痕 校庭のタイヤの背中笑い声 アルミホイール履いたプードル この道にスタッドレスな不安感 空気圧測ってわかるこの気持ち 廃タイヤ使って作る慰霊塔 僕の心にチェーンを巻いて まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「蚊」 8句

刺されても刺されてもなお微笑んで 唾液にも名残が残る午前二時 高い熱の御用は御座いませんか 地図の上には虫の学校 血液型占い好きの女子会に チクチクと子供時代のアレルギー ヤンキーもみんなボウフラだった頃 刺された跡をじっと見つめて まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「田舎」 8句

ド田舎のドだけを今日は半額に 何もない探し続ける砂時計 しきたりが憲法に墨塗りたくる シュッとし過ぎた田舎侍 後を追うシリコンバレーの田舎道 田舎者時間が経てば発酵し ありものでノスタルジーの炒めもの 田舎臭いと訊く瞳にも まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「夏の終わり」 8句

カナカナをあと何度でも何度でも 気怠さと水母、海月と日焼けあと 日常の扉の前の虚脱感 敗れた夏がまたも過ぎゆく 逢うことの叶わぬ人を想う雲 宿題を徹夜でこなす神事かな 絵日記に描かれなかった階段を 夏を越したら少し遠くに まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「埃」 8句

本名を箒でさっと掃いておく フォアグラにハウスダストをふりかける 埃及の部屋の隅には砂埃 綿埃から出来た綿あめ 太陽と埃ときいて目を閉じる プライドをエアダスターで吹き飛ばす 雷神の横に粉塵宇宙人 埃まみれであったとしても まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「クエン酸」 8句

クエン酸入りのキャラメル置いていく 尿石と呼ばれた人と会いにゆく 梅干しとレモンの作る海嘯に 酸っぱい人のしょっぱい試合 エネルギー生産されたアゲハ蝶 大きめの池いっぱいのクエン酸 息をする回す回路とドキドキと 疲れがとれる君が言うなら まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「風車」 8句

全身に生えてきたのがかざぐるま ============3×+×+ 生きづらいこの感触を風車語で 胸のあたりにムーラン・ルージュ 青空と鳥を切り裂く白い羽 仕事しろ風車こっちはマニ車 原発を稼働風力発電で あなたでないと風車の理論 まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「古い」 8句

和歌山も名古屋名古屋と泣き叫ぶ 医務室が今日から古典なのですか 姉さんの中古の箸の欠けた先 古今東西バイオハザード 父さんと母さんたちの古戦場 古傷が痛むリサイクルショップ 完全に観光化した寒稽古 古着のシャツを今も羽織って まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「箱」 8句

とれたての百葉箱を売るお店 宝箱(税抜き)200円SALE パンドラの匣の奥には綿埃 筆箱という憲法違反 箱庭に時間の粉をふりかける 別フロア初めて気付く玉手箱 空き箱に仕舞っておいた磨崖仏 弁当箱をそっと渡して まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「ページ」 8句

卒業から 404 になった夏 地味ながらホームページのある臓器 PgUp,PgDnで見る命 ページ編集できない記憶 悪口のひとつひとつにノンブルを 正しさと人とバージェス頁岩と 余白無し国家のページレイアウト あなたのあとに改ページとは まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「缶」 8句

お祝いにスプレー缶に差した釘 暗闇で今日も缶切り探す母 アルミ缶だった時代の皺をみる 缶蹴りしても誹謗中傷 将門が見つけたというボトル缶 リレーする薬缶に入れた汚染水 プルタブを集めてはやし新世紀 ふたりで分けたももの缶詰 まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「みる」 8句

真横から箱の中身を見るカラス リアタイで最期に観たい深夜枠 痛い目をみてから独りギムレット 診ているうちに弱る国体 老犬を看る私たち看る仔犬 逆立ちで仰いでみれば氷柱人 国会で厳罰化したざまあみろ 通じたとみた 勘違いでも まつりぺきん 川柳 現代川柳

川柳習作「変更」 8句

欲求のルール変更させられる 手放しで車線変更するゲーム 生い立ちを多少変更してるから 次の秩序の予定変更 穏やかな投下作戦変更日 国家から価格変更通知アリ 新宿で機種変更をする蛍 変更案を理由に会える まつりぺきん 川柳 現代川柳