TomoPoetry、よみがえりの歌。
シーツも枕も青い空間を漂う
試験菅のように
光が乱反射している
もがくように泳いでいるので
パジャマはビッショリ濡れ
二時間ごとに着替える
蛭をライターの炎で落としながら
ジャングルを通って仕事に行く夢
時に ドアの音でジャングルの緑は消えるが
暑さはとぎれない
身体が炎にある時
魂はベッドサイドにすわっていた
真赤に熱をおびている空 鳥は飛ばない
幼稚園の色紙細工のようにはがれおちる空
鳥になり
炎になる
魂は錆びた鉄球のように揺れ
夢も炎につつまれ
空と夢に穴をあけながら
鳥たちが飛びかう
時間はほそい赤錆の電話線
空間は埃におおわれた歩道
海が泡立つ音
それはもう一度始まる一日を知らせる
鳥たちは行き場をうしなっていた
わたしは鳥の色と夢の音を記憶しようとするが
誰かの声で
すべてを忘れる
忘れてはまた思いだそうとする
一日を
一年を
一生を そして
銀河系がくりかえす協奏曲を
どこへ到達するのか
鳥は知らない
ホルンの響きがほそくなり
オルガンの蓋が突然落ちる
その時 大きな手が空を支えた
鳥たちが飛び始め
音楽はもう一度始まる
今度は空をふるわせて
約束はない
予告はない
その手はそっとわたしに触れながら
ひとこと語った
生きよ
折れた緑の茎の先には黄色の花
花は一度揺れた
その身体では生き辛いだろう
しかし生きよ
大地の死を鳥たちが処理する
破壊され
腐敗している空
その空を大きい手が掬いあげる
青い空間に
痩せ細ったわたしたちの精神が
浮いている
歌が聞こえる
魂振動のような
かすかなメロディ
よみがえるミモザのメロディ
大地が生まれる色
磔刑にされた花
静かに香ってくる
白髪を過ぎる半世紀の風
今 ひとはの空と時間の破れを直している
鳥をとばし
眠りから囀りでさめるために
それはわたしの空
そこにわたしの夢がながれる夜
黒いフイルムの苦しみ
血の痕が残った治癒
願ったことはない
銀の眠り
その眠りのなかの夢はわたしたちには語れない
もうきみはきみの青い世界にはいない
あたらしい空をきみは纏っている
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