TomoPoetry、魂のはばたく音。
魂が冷えると行き場をなくした熱が空に集まる
鳥は木蔭にはいり
人はそろってカーテンを閉じる
上昇する音がひびく
魂の輪郭がふるえる音
暑さのなかで
飢え
砲撃
暴行
殺人が行われる
列をなし
肩を組んで
人はみんなで納得できる旗を掲げる
きみは誰も知らないきみの歌をうたえ
誰も聞かない隠れ伝わってきた新しい歌をうたえ
超音速の紙飛行機が飛ぶ
ざわざわと雲とカーテンがゆれる
暑い記憶と侵入してきた冷気が撹拌される
鳥は飛ばない
鳴き声は聞こえない
ザーサイ
素麺
白湯
御粥を食べる
冷たい言葉で大地が白く凍る
思いも声になるまえに凍る
言葉が砕け音が街に反響し
よこたわり聞いている
きみは声にならない歌をうたえ
夢を写した窓ガラスが落下する音を聞け
冷気がながれこみ
動いていた思いが氷像になっていく
ならんだ氷像を見ながら
欠けているものがないか確認する
言葉になる前の
叫び
悲鳴
嗚咽
呻き
絶叫が水晶のように立っている
横になったわたしに連絡が届く
熱にうなされた肉体の振動
あるいは魂に共鳴するだれかの音
魂の音をきく
静かな昼
無音の夜
時にわたしの空をかきまわす風の音
時にわたしの木々を凍らせ裂く音が
魂の音を聞こえなくする
軋み
裂け
燃え
誰かがはばたく音を聴きながら
流れるような波の音を聴く
祈りのような
命の音
誠実な
生の音
そして静かな
死の音
静かで確実な生命の音になる
その音にあわせて鳥たちが羽ばたきを始める
さあ わたしも
歌う時がきたようだ
喉から
凍った刃と
赤い音がまっすぐにのぼる
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