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僕たちは来月お別れする

7月に向かうまでの三日間、対して大きな変化はなかった。よく行った公園へ、久しぶりに立ち寄ったくらい。

週末、お互い時間が空いていたから公園にでも行こうとなった。途中で見つけた紫陽花が綺麗だったからと、遠回りをして公園に向かった。なかなか大きい公園で、犬の散歩をしている人、子供、カップル、ランニングをする人...賑わっている。この光景はいつでも変わらない。

ベンチに腰掛ける。今にも雨が降り出しそうだったし、なんだか息が詰まりそうな気圧だった。天気のせいだけではなかったかもしれない。

目の前の池を亀が泳ぐ。

「楽しいのかな?」

「楽しいとかじゃないでしょ、ただ生きてるんだよ。」

「食べ物とか美味しいのかな?」

「美味しいとかじゃないでしょ。ただ食べてるんだよ。」

亀にツッコむこのくだり。いつもやっていた。先に仕掛けたのは向こうだった。

「毎回やってるよねこれ。」

「そうだね。」

ポツリポツリと雨が降り出した。この公園も、その光景も、帰り道も、思い出がありすぎた。ここ行きたいね、これ食べたいね、なんて未来の話は禁句で、話すことが思い出しかない。それでも話は尽きない。


あなたが詰まったこの街を、僕は来月からどうやって生きればいいんだろう。

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