【FF14暁月台詞集】Lv82 ガレマルド①【未記載あり】

本記事は、FinalFantasyXIV 暁月のフィナーレ のクエスト台詞集になります。
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◆『霜雪を踏みしめて』

・出立

ガーロンド社の飛空士 : お初にお目にかかります!
ガーロンド社より、派遣団の皆さんをお運びするべく、
中央山脈を越えられる飛空艇を集めて参りました!
ガーロンド社の飛空士 : 我が社には、シド会長をはじめ、
ガレマール帝国から亡命してきた者が多数在籍しております。
ガーロンド社の飛空士 : 今回、皆さんは、あくまで同志として、
帝国民の救援に向かってくださるとのこと。
その事実が、どれほど我々の胸を熱くしたか……!
ガーロンド社の飛空士 : シド会長は、全面協力を辞さないおつもりです。
自分も、亡命ガレアン人のひとりとして、
持てる技術を駆使して、皆さんを目的地へとお届けします!
ガーロンド社の飛空士 : ……それでは、出発のご準備がよろしければ、
このままこちらでお待ちください。
そろい次第、飛空艇へご案内いたします!

ルキア : 偵察隊を率いて先行している、
サンクレッド殿から連絡があった。
ルキア : この先に、武装した帝国兵の一団が陣を構えているそうだ。
アリゼー : 生き残りの人たちってこと……?
ルキア : ……そうだな。
ただ、無事というわけではないようだ。
ルキア : 偵察隊に同行しているマキシマ殿によると、
一団を率いているのは、第III軍団長ウェルギリア……。
ルキア : 従えている兵には、
第III軍団と第I軍団の者が混在しているらしい。
アルフィノ : 第III軍団といえば、
ヴァリス帝が崩御したあとに即位を宣言した、
皇族のネルウァ氏と繋がりがあるのでしたね。
アルフィノ : 一方で第I軍団は、ヴァリス帝の直属だ。
ネルウァ氏の即位を認めず、両者は対立していたはず。
ルキア : そのとおり。
帝都で起こっていた戦闘も、少なくとも当初のうちは、
「第III」対「第I」という図式だったと聞いている。
ルキア : それが不可解にもひとつにまとまり、
崩壊したはずの帝都を護っているということは……
アルフィノ : テロフォロイによって、
テンパードにされている可能性が高い……。
シカルド : で、どうするよ。
略奪に来てるなら正面からカチ込むが、そうじゃねぇだろ?
ルキア : ああ、テンパードになっていても、彼らは帝国の民。
我々が保護すべき対象だ。
ルキア : 戦闘そのものは避けられないだろうが、
できるだけ双方の被害を抑えつつ、
彼らを無力化させることを狙いたい。
ア・ルン・センナ : 兵器の破壊……
それから、気絶させたり、拘束したりだね。
ア・ルン・センナ : もちろん不可能ではないけど、
混戦になると、厳しいかもしれないな……。
ウリエンジェ : サンクレッドのことです、
何か作戦を提案してはいませんでしたか……?
ルキア : ご明察だ。
偵察隊はウェルギリア軍団長たちの背後にまわり、
彼らの補給地に侵入したそうだ。
ルキア : そこで、待機中の魔導兵器を一斉に破壊してもらう。
これが成功すれば、前衛への増援を断てるのみならず、
一部が引き返してくれる可能性もあるだろう。
ア・ルン・センナ : なるほど……
分散してくれれば対応できなくもない、か。
ルキア : では、偵察隊による破壊工作が済み次第、
我々はふたつの隊に分かれて進もう。
ルキア : 前衛を受け持つ「本隊」と、
後方で物資の輸送を受け持つ「輜重部隊」だ。
ルキア : 「暁」の皆にも、各隊への助力を願いたい。
ルキア : とくに貴公は随一の手練れだ。
輜重部隊のしんがりを護りつつ、
戦況次第では、前に上がってもらえるだろうか?
マキシマ : 作戦は提案どおりに決行だそうです。
健闘を祈る、玩具を壊すときは派手にお願い……と。


・サンクレッドパート

サンクレッド : ヤ・シュトラだな。
彼女の期待に沿うのは難しそうだが、まあ善処はするさ。
サンクレッド : 俺たちのやることを、もう一度確認しておこう。
サンクレッド : ひとつ目は、待機中の魔導兵器に爆薬を仕掛けること。
起爆は脱出したあとにするから、あくまで設置だけでいい。
サンクレッド : ふたつ目が、自律型魔導兵器の制御端末を停止させることだ。
これができれば、すでに前線に上がっている機体も含めて、
動きを止められるはず……。
サンクレッド : 以上2点、場所の分担はさっき伝えたとおりだ。
この吹雪が味方してくれている間に……頼むぞ。
マキシマ : 各人の状況は私がとりまとめ、通信でお伝えしましょう。
しかし……あなたは本当におひとりでいいのですか?
サンクレッド : ああ、その方がむしろ好都合だ。
勝手にやらせてくれれば、結果は保証する。
マキシマ : わかりました。
……どうかお気をつけて。

革新のマキシマ : 確認すべきことがあれば、今のうちに……。
問題なければ「作戦を開始」しましょう。


・サンクレッドIB

サンクレッド : それじゃあ、行動開始といくか……!
サンクレッド : 入口には、見張りが2人……
戦闘は避けたいところだな。
サンクレッド : 障壁の解除装置……前に1人か……
眠ってもらうとしよう。
サンクレッド : さて、爆薬を仕掛けていくか。
もちろん見つからないようにな……。
サンクレッド : 番犬か、姿を消しても見つかりそうだ……
嗅覚撹乱玉の出番だな。
サンクレッド : これでひととおりだな……身を隠して、連絡しよう。
サンクレッド : こちらサンクレッド、爆薬は仕掛け終えたぞ。
革新のマキシマ : こちらマキシマ、ほかの部隊も順調です。
革新のマキシマ : あなたは続けて、魔導兵器の端末へ。
北西の方向です。
サンクレッド : 了解だ、目的を達成した部隊は、
予定の位置で待機していてくれ。
サンクレッド : あったぞ、自律型魔導兵器の制御端末だ……!
マキシマ : おつかれさまでした。
皆さん、ご無事で何よりです。
サンクレッド : あっちの準備は大丈夫そうか?
マキシマ : ええ、本隊、輜重部隊ともに、いつでも発てるとのことです。
サンクレッド : 了解だ。
それじゃあ、出発の合図らしく派手にいくか……!


・ヒカセンパート

アリゼー : 吹雪、やんだわね。
アリゼー : そろそろ、前を行ってる本隊が、
相手の前衛とぶつかるころかしら。
アリゼー : ヤ・シュトラたちもあっちについてるし、
大丈夫だとは思うけれど……。
アリゼー : みんな、止まってッ!
何か来る……!
シカルド : チィッ、偵察隊を放ってたのはこっちだけじゃねぇってか……!
シカルド : 全員、担当のキャリッジを死守しろ!
応戦すんぞ……野郎どもッ!

ア・ルン・センナ : 落ち着いて、まず戦えない者を護るんだ!
ア・ルン・センナ : よし、敵が途切れた……今のうちに態勢を整えよう。
ア・ルン・センナ : 君は、前のキャリッジの援護に向かって!

風流のエマネラン : くぅぅ、さすがマブダチ! いいところに!
風流のエマネラン : みんな、竜詩戦争の英雄が来たぞ! 踏ん張れ!
風流のエマネラン : よっしゃー!
って、先頭のキャリッジが苦しそうだな。
風流のエマネラン : お前は行ってやれ。
こ、ここはオレが任された……!

断罪のシカルド : お前が上がってきたってことは、
手こずってるのはオレたちだけか。
断罪のシカルド : ハッ、上等だ!
海賊の意地ってモンを見せてやるよ!
断罪のシカルド : チッ、あの魔導兵器、キャリッジを狙ってやがる!
ここはオレたちが!
断罪のシカルド : うおりゃぁぁぁッ!
今のうちに、こいつを壊せッ!
断罪のシカルド : 敵の増援が途切れた、か?
おい、うしろはどうだ!

ア・ルン・センナ : 問題ないよ、あとは僕たちだけで護りきれる!
断罪のシカルド : ……だそうだ。
ならお前は、本隊の方に合流しろ。
断罪のシカルド : あっちも交戦中だ。
誰かが英雄を待ってるかも、だろ?

ヤ・シュトラ : やりすぎないようにね。
あなたの槍は、とびきり強烈なのだから。
エスティニアン : 言われなくても加減はしてるさ。
エスティニアン : だが……いかんせん、恐怖も躊躇も消されたテンパードだ。
動きだけを封じるってのは、想像以上に難儀だな。
ヤ・シュトラ : それが、あの子たちの……これからの世界が選んだ道よ。
難しいと知っていて、それでも槍を貸してくれると、
あなた言ったでしょう?
エスティニアン : ……違いない。

リセ : あれが、第III軍団長ウェルギリア!
シリナたちに加勢したいとこだけど……
ルキア : こちらもなかなか、隙がないな……!
リセ : 来てくれたの!?
リセ : ……気合入った!
もういっちょ、さあいくよ!

極光のルキア : 作戦は順調だ!
あとは我ら本隊が、ここを突破するのみ!
鋼心のピピン : 輜重部隊は、警戒しつつ待機!
潜入部隊は、敵の撹乱を続けられたし!
鋼心のピピン : 数が多い……ならば、まとめて削るのみ!
鋼心のピピン : これが猛牛流だ!
猛ろ、呪剣ティソーナよッ!
極光のルキア : 来た、第III軍団長ウェルギリアだ……!
極光のルキア : テンパードと化せど、実力は健在のはず。
皆、警戒を!

草風のシリナ : みなさん、先に魔導兵器を止めてください!
炎天のサドゥ : チッ、まだ増援を呼べるってか!
草風のシリナ : この数……!
さらに増えたら、押し負けそうです!
炎天のサドゥ : そんな退屈な死に方は御免だ!
オレが、一気に片づける!

草風のシリナ : また増援です!
サドゥさんを援護しましょう!
長兄マグナイ : ここで「いつものアレ」をすべきか。
察する余輩の聡明さが憎い……。
長兄マグナイ : 者どもの動きを封じる!
深謝し、片をつけよ!

炎天のサドゥ : 待たせたな!
殺しゃあしないが、全員派手にブッ飛ばす!
サドゥ : ハッ……そのまま伸びていやがれ……!
サドゥ : 再戦ならいつでも受けてやる。
ただし、テメェがもとに戻って、
全力で殺り合えるようになったらな。

シリナ : サドゥさん……!
ルキア : よかった……。
これで前衛はひととおり無力化できたようだ。
ルキア : ありがとう。
貴公が駆けつけてくれたおかげで、どうにか事なきを得た。
……輜重部隊の方も、無事だったか?
ルキア : 了解だ。
では、帝国兵の皆を保護しつつ、
偵察隊、輜重部隊と合流するとしよう。
ルキア : ガレマルドは、もうすぐそこだ……。


・到着

マキシマ : ……誰もいないようですね。
ルキア : 私が知るかぎり、
陸路でガレマルドに入る者はさほど多くなかったにせよ、
ここは玄関口として栄えていたはずだが。
マキシマ : ええ、私の知るかぎりでも。
検問所や簡易宿が置かれて、人が絶えず行き交う場所でした。
ルキア : 皆、テンパードにされてしまったのか……?
ア・ルン・センナ : 考えるのも大事だけど、
とにかく調査拠点を作るべきじゃないかな。
ア・ルン・センナ : こんなところで野ざらしにされてたら、長くはもたないよ……。
僕たちも、保護したテンパードたちもね。
ルキア : この場所を、我々の一時的な拠点とさせてもらおう。
すみやかに、すべての負傷者の手当を……
同時に、滞在と調査にむけた準備を整えてほしい。
シカルド : そいつは承るが……
今後ここを足掛かりにするってんなら、
ひとまずの呼び名くらいはつけねぇと不便だぞ。
ルキア : では、霜雪を踏みしめてきた我々らしく、
「キャンプ・ブロークングラス」としよう。
改めて、皆、よろしく頼む!

◆『帰らん、地平の彼方へ』

※近辺クエが混ざっているかもしれない


・臣の褒賞

若草色の服の少女 : ハァ……ハァ……。
無事に戻ってこられてよかった……。
若草色の服の少女 : あ、あなたは……!?
若草色の服の少女 : 近寄らないで……!
こ、この家には爆弾が仕掛けてあるわ。
言うことを聞かなきゃ、私ごと、あなたも木っ端微塵よ……!
アルフィノ : 待ってくれ……!
どうか、落ち着いて話を聞いてほしい……!
アルフィノ : 私は、アルフィノ。
妹のアリゼーと、友人のCilinaだ。
アルフィノ : 私たちは、ガレマルドが崩壊したとの報を受け、
エオルゼアや東方の諸国で募られた有志とともに、
帝国民の救援に来たんだ。
アルフィノ : 決して、君たちを傷つけるつもりはない。
無理やりに連れていったりもしない。
絶対にだ……!
若草色の服の少女 : 救援って……
あなたたち異民族が、何かの術で、
帝都を破滅させたんじゃないんですか……!?
アリゼー : 違うわ。
私たちも、帝都でいったい何が起きたのかを、
調査しているところよ。
アリゼー : ……その裏にいるはずのテロフォロイって連中は、
つい先日、世界に対して宣戦布告をした。
私たちにとっても敵なの。
アルフィノ : 帝都に入る前、
テロフォロイによって心を操られた帝国兵と衝突……
彼らをどうにか保護することができた。
アルフィノ : そして今、はじめて会話のできる帝国の民と……
君と会うことができたんだ。
アルフィノ : 頼む、ここで何が起きたのかを教えてくれ。
君はどうして無事なんだい?
ほかに生存者は……!?
リキニア : ……私は、リキニアです。
どうして無事だったのかは、自分でもよくわかりません。
リキニア : あの夜……帝都に終わりが訪れた、あの忌々しい夜のことは、
すべてがはっきりとしない悪夢のようなんです。
自分が悲鳴を上げたかどうかさえ……曖昧で……。
リキニア : 気がつくと、帝都が静まりかえっていました。
雪がうんと降っている夜だって、ああはならない……
動くもののない、やっぱり悪夢みたいな……静寂……。
リキニア : 第I軍団と第III軍団の戦いが終わったのかしらと思いました。
確かめようと外に出て……それで……
リキニア : …………語れません。
あの恐怖を言葉になんて、到底できない。
リキニア : ただ生き延びたかった……。
あちこちで空を仰いでいる亡骸の仲間には……
心を失った「何か」にも……なりたくなかったの。
リキニア : 戦い方なんて知りません。
私の家に軍人はいなかったから……。
だから、ひたすら逃げてきました。
アリゼー : ここは、あなたの家なの……?
リキニア : もともとは「臣(おみ)の褒賞」という、
功績を立てた退役軍人に贈られる別荘でした。
今は私と……
リキニア : ……すみません。
爆弾が仕掛けてあるだなんて、嘘です。
中には、同じように逃げ延びてきた仲間がいます。
リキニア : みんな、苦しい生活で弱り切っているんです。
どうか助けてはいただけないでしょうか。
アルフィノ : もちろんだとも!
できるかぎりのことをさせてもらうよ。
リキニア : ……ありがとうございます。
では、私が中に入って、仲間たちに事情を話してきます。
申し訳ありませんが、少しだけそのままお待ちください。

リキニア : お待たせしました。
ここに逃げてきているのは、これで全員です。
血色の悪い帝都市民 : 話はリキニアから聞きました。
遥々、我々を救援にきてくださったとのこと……
感謝いたします……。
血色の悪い帝都市民 : ……失礼ですが、何か燃料をお持ちではないですか。
青燐水の蓄えが少なく、ろくに暖房をつけられていません。
血色の悪い帝都市民 : お話をさせていただこうにも、
口も頭も凍りついたかのようで……。
アルフィノ : だったら、私が薪の代わりにできそうな枝を探してこよう。
アリゼーは魔法で火を頼めるかい?
アリゼー : すぐに焚火の支度をするわ。
そこの東屋を使わせてもらっていい?
血色の悪い帝都市民 : ……ええ、もちろんです。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
リキニア : ………………。
リキニア : あ……ああ、すみません。
助けが来て安心したのか、ぼうっとしちゃって。
リキニア : 私はさっき走りましたし、焚火にあたらなくても大丈夫です。
その分、彼らを火のそばに置いてあげてください。
リキニア : 彼らは本当に弱っていて……。
少し元気を取り戻さないと、雪道を歩くのも難しいでしょう。
あなたも向こうで、労ってやってはもらえませんか?
リキニア : こんなことになるまで、私は学生でしたし、
彼らは役人をしていたそうです。
同じ帝都に住んでいたけれど、ちっとも知らない仲……。
リキニア : けれど、瓦礫の中で出会い、
協力してここまで生き延びてきました。
それこそがガレアン人、私たちの性分なのです。

呆然とした帝都市民 : ………………。
アリゼー : 何か食べさせてあげたいけど……
それには、キャンプまで戻らないといけないわね。
痩せこけた帝都市民 : な、何もしてない……何もしてないぞ、俺は……。
血色の悪い帝都市民 : ああ……あたたかい…………。
アリゼー : 何か食べさせてあげたいけど……
それには、キャンプまで戻らないといけないわね。

アルフィノ : 君も手当てを手伝ってくれるのかい?
では、エマネラン殿からもらった防氷薬を、
全員に配ってもらえるだろうか。
アルフィノ : 逃げる際にできた傷や凍傷は、治癒魔法で癒せる……
けれど、寒さを和らげてあげることはできないからね。

血色の悪い帝都市民 : おかげさまで……
少しずつ、あたたまってきた気がします。
こうも芯から冷えてしまうと、すぐにとはいきませんが……。
血色の悪い帝都市民 : 氷属性の力を防ぐ……つまり寒さを和らげる薬ですか。
ありがたく頂戴しておきます……。
血色の悪い帝都市民 : ガレマルドは今や、都市ではありません。
氷原に置き去られた廃墟です。
血色の悪い帝都市民 : この場所のように、辛うじて形を留めている建物があっても、
風雪を凌げるというだけ……。
食料も、水も、もたらしてくれる仕組みは途絶えたままです。
血色の悪い帝都市民 : 私たちは青燐機関を扱えますが、
大セルレア湖の湖底から青燐水を汲み上げることはできない。
精製の方法も、知りはしないのです……。

痩せこけた帝都市民 : な、何か用か……!
俺は問題ない……何も……大丈夫だ……!
痩せこけた帝都市民 : く、薬……?
何が入ってるんだ、気味の悪い……。
さては俺たちを殺すための毒薬じゃ……
痩せこけた帝都市民 : あっ、ああ、うん、何でもない、何でもないんだ!
どうもタチの悪い冗談が飛び出しちまう……癖なんだ……
ここのところ最悪な事態ばっかりだったからかな……。
痩せこけた帝都市民 : 帝都のこの惨状は、内戦によるものじゃない。
あれも……今思えば愚かな……悲劇だったが、
本当に恐ろしかったのは、そのあとに起きたことだ。
痩せこけた帝都市民 : 内戦の最中のある夜、大きな音がした。
地鳴りのような、何かとてつもなく巨大な猛獣が、
グオオと唸りを上げたかのような音だ。
痩せこけた帝都市民 : 続けて、衝撃……大爆発が起きたのかと思った……。
それで帝都は破壊され、同胞たちは……
何か、声の届かないものになっちまったんだ。
痩せこけた帝都市民 : 奴らは建物の瓦礫を集めると、魔導城の方に運びはじめた。
意識がはっきりしてる生き残りが、それを止めようとしたら……
応答のひとつもなしに、瓦礫で滅多打ちときた。
痩せこけた帝都市民 : それが今のガレマルド……俺たちの暮らした都だ……。

アルフィノ : あの土壇場で、相手が寒いといけないと思えること……
それがエマネラン殿の慕われる理由なのだろうね。
アルフィノ : 「雪の家」で出された、あたたかい飲み物にも、
そんな気遣いがあったように思う。
……敵う気がしないな、フォルタン家の人々には。

呆然とした帝都市民 : …………はい、何でございましょう。
呆然とした帝都市民 : ああ、薬……。
お心遣いに、感謝いたします……。
呆然とした帝都市民 : ……珍しいですか?
無線電信、いわゆる「ラジオ」という装置ですよ。
離れたところで発された声や音を拾い、こうして流せるんです。
呆然とした帝都市民 : ラジオにはいろいろな形がありますが、
ロクス・アモエヌスで採れる鉱石を回路の一部に用いたこれは、
大変な人気があり、帝都で広く普及しています。
呆然とした帝都市民 : もっとも……放送局員ももう、
逃げ出したか、やられてしまったのでしょうね。
流れてくるのはこの曲だけ……ただ繰り返されている……。
呆然とした帝都市民 : 『帰らん、地平の彼方へ』……。
北の地で生きる悲哀と、豊かなるロクス・アモエヌスへの憧れ。
そこを奪還しに向かう兵士たちの決意を歌った名曲です。
呆然とした帝都市民 : 奪還の前は、願いを込めて。
それが成し遂げられたあとは、勝利のしるしとして……
人々は幾度となく、これを口ずさんできました。
呆然とした帝都市民 : 今も、これを聞いていると励まされます。
目の前の現実が苦難に満ちていても、
いつかは必ず、打ち勝てるのだと……。
呆然とした帝都市民 : 事実、ヴァリス陛下は、まだ屈してはおられない。
時折ラジオを通じて、私たちに呼びかけてくださるのです。
呆然とした帝都市民 : いっときは訃報が流布しましたが、
陛下はこのような国難の到来を察知して、
あえて公の場から退かれたに違いありません。
呆然とした帝都市民 : ええ、ええ……ヴァリス陛下はご健在ですとも……。
呆然とした帝都市民 : ああ……はやく陛下にお会いしたいものです……。
この苦境から、ガレアンを救い出してくださるはず……。

血色の悪い帝都市民 : 私たちガレアン人は、この厳しい土地を、
わずかな人数で生き抜いてきたのです……。
血色の悪い帝都市民 : そのためには、規則が必要でした。
仕事の振り分けや、付随する階級制度……
それらは血族への愛によって生まれ、営まれてきたのです。

痩せこけた帝都市民 : いけない、しゃべりすぎたな……うん、しゃべりすぎた……。
もう黙るよ、余計に腹が減るといけない……。

リキニア : えっ、薬ですか? 私にも……?
リキニア : ……ありがとうございます。
よそには、こんなものがあるんですね。
リキニア : あの、いくつか質問をしてもいいですか?
状況を、ちゃんと知っておきたくて……。
リキニア : では……。
あなたたちは、ラテルム村に拠点を構えているんですか?
拠点はそれひとつですか?
リキニア : 数日前に、ウェルギリア様が率いる一団が、
マグナ・グラキエス方面に出ていくのを見ました。
あなたたちが交戦したというのは、彼女たちのことですか?
リキニア : そうですか……。
拠点はひとつ、キャンプ・ブロークングラスと呼ばれている。
操られた兵士たちはみんな、保護された……。
リキニア : ちなみに、マグナ・グラキエスまでは何でお越しに?
徒歩で中央山脈を……?
リキニア : 飛空艇ですか……。
それは……私じゃ…………。
微かな声 : お姉ちゃん……?
みんな、どこにいるの……?
リキニア : …………どうかしましたか?
リキニア : 中から声がした……?
いえ、私には聞こえませんでした。
全員こうして庭に出ていますし、ありえないことです。
リキニア : ああ、もしかしたらアルマスティの幼獣が入り込んだのかも。
前にも一度あったんですよ。
リキニア : 巡回してくれる兵もいなくなってしまって、
このあたりは獣がのさばり放題……
いつ襲われるとも知れず、恐ろしいことです。
リキニア : そうだ、あなたたちは軍団長と渡り合えるほど強いんですよね?
だとしたら、ひとつお願いを聞いていただけないでしょうか。
リキニア : 実は、ここから南西に行った、大セルレア湖のほとりに、
青燐水の採水と精製に携わっていた人たちが暮らしてるんです。
リキニア : 彼らは、属州から働きにきた労働者たち。
私たちが青燐水をわけてほしいと頼むと、
たくさんの食料を要求してくるんです。
リキニア : おまけに、凍った湖上には獰猛な獣が徘徊していて、
私たちでは往復するのも命懸け……。
リキニア : どうか、行って彼らに事情を伝え、
あなたたちのキャンプに保護してもらうまでの間に使う分だけ、
青燐水をわけてもらえないか交渉してみてください……!
リキニア : 建物の中にアルマスティの幼獣がいないかは、
私がしっかり確認しておきます。
帰っていらっしゃったときに、結果を報告しますね。

リキニア : 向かっていただく彼らの隠れ家は、
「タッパーズデン」とも呼ばれる湖畔の洞窟です。
リキニア : 入口には、必ず見張り役が立っているはずなので、
まずはその人たちに声をかけてみてください。
リキニア : 「タッパーズデン」はここから南西、
大セルレア湖のほとりにあります。
あなたになら、彼らも青燐水を譲ってくれるかも……。


・タッパーズデン

武装した属州民 : 止まりな!
テメェ、どうやって俺たちのことを嗅ぎつけてきた。
武装した属州民 : ……「臣の褒賞」から?
っつーと、あの鼻持ちならないガレアン人たちの手先か。
武装した属州民 : あいつらめ、自分たちは青燐水わけてもらう側だってのに、
態度が横柄すぎるんだよ。
属州民には、何の対価も支払う必要がないと思ってやがる。
武装した属州民 : んで自分たちが相手にされなくなったら、
今度は手先を寄越してくるってか。
癪に障るぜ、悪いが追い返させてもらう!

???? : あっ、いた、Cilina!
アリゼー : リキニアから、あなたを追いかけてほしいって言われたのよ。
青燐水のタンクは重いし、
それを持ってるときに獣に襲われたら危ない……って。
アリゼー : ここが、タッパーズデンね。
とりあえず、入ってみましょうか。
ヤレック : ……ん?
なんだアンタらは、見張りはどうした?
ヤレック : な、なんだって!
よその国から、ガレマルドでの救援活動に……!?
ヤレック : なんてこった……こいつは奇跡か……?
俺たちはてっきり、ここで野垂れ死ぬしかないのかと……!
アリゼー : 間に合ってよかった。
あなたたちは、別の地域から来た人たちなのよね……?
ヤレック : ああ、ギラバニアにヤンサにボズヤ、ダルマスカ……
出身はいろいろだが、青燐水を供給する作業の担い手として、
属州から集められたんだ。
ヤレック : この国流に言うなら「アン」……
非市民階級の労働者ってわけだ。
ヤレック : どういうわけか、あの騒動の中でも無事でいられてな。
汲み上げた青燐水を燃やして暖を取りながら、
細々と生き延びてきたのさ。
アリゼー : 青燐水って、この洞窟の前にある湖の底から湧いてるのよね?
完全に凍りついてるように見えたけど、
汲み取る方法があるのね。
ヤレック : ま、そこらは、俺たちのみぞ知る秘密ってやつだ!
ヤレック : ……とはいえ、大型の施設を動かしてるわけでもなし、
手に入れられる量は微々たるもんさ。
加えて、青燐水じゃ、腹は壊せても膨れねぇ。
ヤレック : ってことで、おふたりさん。
そのイルサバード派遣団とやらに、
俺たちとも物資の取引をしないかって、頼んじゃくれないか?
アリゼー : それは構わないけど……
故郷へ送るとかじゃなくて、物資の取引でいいの?
ヤレック : いよいよ立ち行かなくなったら、それも考えるさ。
ヤレック : だが、いかんせん俺たちは、ここで長く働きすぎた。
故郷を恋しく思いはするが、待っててくれる奴はいないし、
この仕事で得た知識は、ほかの土地じゃあ使えない……。
ヤレック : だから、居座れるだけは居座るさ。
これから帝国が再建するにせよ、なくなるにせよ……
青燐水が湧くかぎり、技術は買ってもらえそうだからな。
アリゼー : 帝国が、なくなる……。
そっか……そういう可能性だって、もちろんあるのよね……。
ヤレック : お前を襲った見張りたちのこと、悪く思わないでやってくれ。
青燐水を必要としてる生き残り連中から、
何度もなじられたり、脅されたりしてきたんだよ。
ヤレック : 事情は、あとで俺から説明しておく。
派遣団との最初の取引は、傷薬になるかもしれないな。

アリヴァ : どうにかこうにか、軍の連中から隠れおおせたと思ったら、
あんたらは、いったい何なんだい?
まったく次から次に……!
アーラート : あんた、氷原から来たのか?
ここへ来るとき、おかしくなった帝国兵どもに、
尾けられちゃいないだろうな……。
アリゼー : ああ……ごめんなさい。
帝都がこんな状況だと、派遣団がどれほど手を貸しても、
ガレマール帝国がもとの形に戻ることはない……。
アリゼー : 当たり前の話よね。
属州の動向によっては、国の消滅だってあり得るって、
多分、私もわかってた……。
アリゼー : けど……なんでしょうね……
自分が今いる場所の名前が、地図から消えるかもってこと、
理解しきれてなかった気がする……。
アリゼー : ……って、今はとにかく、
リキニアたちに青燐水を持っていってあげるのが先ね。
改めて、ここの人たちに相談してみましょ!
アリゼー : あのまま東屋で焚火にあたっていてもらうわけにもいかないし、
青燐水、わけてもらえるといいわね。
ヤレック : うん? さっそく青燐水の取引をしたいのか?
ヤレック : 嘘だろ、「臣の褒賞」の奴らが、
そんなに簡単に派遣団を受け入れて、頼ってきたってのか!?
ヤレック : あの生粋のガレアン人たちが、なぁ……。
まあ、リキニアには病気の妹がいるそうだし、
背に腹は代えられなかったってことか。
アリゼー : 病気の妹……?
あそこにいたのは、リキニアと、
大人の男性が3人だったけど……。
ヤレック : とすると、ついに亡くなっちまったのかな……。
この環境じゃ、そうそう治療もできなかっただろうし……。
ヤレック : ひとまず、青燐水はわけてやるよ。
生憎、すぐに渡せるのはボトル1本分程度だが、
ひとまず暖房を動かすくらいはできるはずだ。
ヤレック : 派遣団への紹介料ってことで、お代も結構。
さ、持っていってやってくれ。
アリゼー : 秘密にされたままの妹……。
なんだか嫌な予感がするわ、急いで戻りましょう!

ヤレック : 前に聞いた話だと、リキニアの妹は、重い持病があったそうだ。
確か、リキニアの3歳下って言ってたかな……。


・臣の褒賞に戻る

アリゼー : Cilina……。
何か変よ、静かすぎる……。
アリゼー : 東屋にも、誰もいないわ。
アルフィノが残って、手当てを続けてたはずなのに……。
アリゼー : 私、建物の中を見てみる。
あなたは庭で、誰かいないか探してみて……!

血色の悪い帝都市民 : ハァ……ハァ……クソッ……!
アルフィノ : 戻ったのだね。
……裏手にある荷物を運んでほしいと頼まれて、
ここへ案内されたところで、強襲されたんだ。
アルフィノ : 大丈夫、私の怪我は大したことないよ。
彼らを、どうにか傷つけずに止めなければと思って……
自分の身をうまく護れなかっただけだ。
血色の悪い帝都市民 : クソ……クソッ……!
情けをかけたつもりか、蛮族め!
血色の悪い帝都市民 : 派遣団なんて名乗ったところで、所詮は野蛮な侵略者……。
混乱に乗じて、ガレマルドを占領しにきたのだろう……!
血色の悪い帝都市民 : お前のような子どもが「助けたい」と言えば、
私たちが本気で信じると思っていたのか?
……下衆どもめ!
血色の悪い帝都市民 : 異民族の考えなど、お見通しだ。
私たちを捕まえ、虐げ、貶めようとしている……
根絶やしにして、土地を奪おうと狙っているのだ!
アルフィノ : 違います、我々は決して、そんなことは望んでいない……!
アリゼー : ふたりとも……!
ちょっとマズいことになってるかもしれないわ!
アリゼー : 建物の中に、あったのよ……!
薬の空き瓶……それも、まだ使って間もない様子のものが。
アリゼー : さっきまで、ここに病気の子がいたんだわ。
私たちには隠してた……リキニアの妹が!
アリゼー : だけど、ふたりの姿が、どこにも見当たらないの。
建物の中は、もぬけの殻よ……。
アリゼー : ねえ、あの子たちはどこに行ったの……!?
血色の悪い帝都市民 : ハッ、尋問でもなんでもするがいい!
私は絶対に、同胞を売ったりはしないぞ……!
アリゼー : そんな話をしてるんじゃないわよッ!
アリゼー : あれだけたくさん空き瓶が転がってればわかるわ。
こんな状況の中でも、大量の薬を持ち出した……
持ち出さなきゃならない症状だったんだって。
アリゼー : そんな子と一緒に、まさか、
敷地の外に出したんじゃないでしょうね!?
アリゼー : 外には、猛獣だって徘徊してる。
襲われたら、ひとたまりもないわ……!
血色の悪い帝都市民 : それでもお前たちに捕まるよりはマシだッ!
血色の悪い帝都市民 : 蛮族の魔法を……
同胞を葬ってきた忌まわしい術を、身に使われる恐怖……
まだ若い彼女たちには、耐えがたいだろう。
血色の悪い帝都市民 : 私たちは護らねばならない……。
お前たちの暴虐から、若き同胞を……血の誇りを……!
血色の悪い帝都市民 : そのために、時間を稼いだ!
お前たちに手出しされることを、甘んじて受け入れたのだ!
アルフィノ : …………Cilina、アリゼー。
リキニアたち姉妹を探そう。
アルフィノ : もう一度会って、何をしてあげられるかはわからない。
それでも、氷原を逃げ回っているのだとしたら、
あまりに危険だ……。
アルフィノ : ……私は、彼らにしばしの眠りを。
そのあとに、君たちを追いかける。
アリゼー : アルフィノ……。
アリゼー : ……わかったわ、先に探してる。

アリゼー : 行きましょう。
「臣の褒賞」の出入口は1箇所だけ……
そこに何か手掛かりが残っているかもしれないわ。
アルフィノ : 先にリキニアたちを探していてくれ。
私は、彼らに眠りの魔法をかけて、屋内に……
アルフィノ : ……そんな方法しかとれなくて、すまない。
血色の悪い帝都市民 : 派遣団に捕まって、蛮族に跪かせられるなら、
高潔なガレアンとして死ぬ方がマシだ……!
血色の悪い帝都市民 : お前たちは彼女たちに追いつけない……
そうでないのなら……ああ……
大地よ、ひと思いに終わらせてやってくれ……!

アリゼー : 見て、まだ真新しい足跡があるわ。
ふたり分……敷地の外に向かってる……!
アリゼー : 小さめの足跡だし、きっとリキニアたちのものよ!
とにかく辿ってみるのがよさそうね。

アリゼー : 足跡が、湖に続いてる……。
きっと彼女たちも気づいて、跡が残りにくいように、
氷の上を行くことにしたんだわ。
アリゼー : けど……やっぱり獣が徘徊してる……
ただでさえも歩きにくいのに、
病気の子を連れて通り抜けるのは無謀よ……!
アリゼー : じきアルフィノも合流するでしょうけど、一秒だって惜しいわ。
手分けして、ふたりの足取りの手掛かりがないか、
探しはじめましょう!

アリゼー : 見つけた……!
あっちに血痕があったの、
その子たち、多分獣に襲われ……て……
アリゼー : うそ……。
アリゼー : ……どうして…………。
アルフィノ : 私たちは、化け物よりも……。
アルフィノ : すまない、君を…………怖がらせた。
アルフィノ : ……手を貸してくれるだろうか。
彼女たちを、隠れ家へ連れて帰りたいんだ。
アリゼー : 私たちが弔っても、いいの?
アルフィノ : わからない。
……でも、ここは風が冷たすぎるよ。

アルフィノ : この装置については、私も聞いたよ。
ヴァリス帝の声が、ここから聞こえることがあるとか……。
アルフィノ : ありえるはずがない。
けれど事実、リキニアたちはこれを持ち出そうとしていた。
……何か、考えがあったのだと思う。
アルフィノ : だから、少しの間だけ、これを貸してほしい。
アルフィノ : 私たちが君たちにとって何であるのか、決して忘れない。
忘れないからこそ、探し続けていきたいんだ。
アルフィノ : 君たちの大事な同胞や友達が、
これから先、雪原のただ中で凍えずに済む方法を……。
アルフィノ : …………。

アリゼー : 私たちは……どうすればよかったのかしら……。
アリゼー : 手当てをしなければよかったの……?
それとも、彼らを助けに来たこと自体が……。
アリゼー : 誰かが答えてくれたとしても、
それは、リキニアたちの答えじゃない……。
彼女たちは、もう……。


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