広告とジェンダー表現

JR東海が東海道新幹線の英語での車内放送で「レディース&ジェントルマン」の呼びかけをやめ、「オール・パッセンジャーズ」に変更したそうです。
同様にオリエンタルランドは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの場内アナウンスを「ハロー・エブリワン」に変更。
花王はすべての化粧品で肌の色による優劣を連想させる「美白」や「ホワイトニング」の表記を撤廃するということです。(2021年5月19日 日本経済新聞)

ジェンダー不平等が無意識にまかり通っているのが日本、とりわけ地方ではその傾向が強く残っています。
配慮のない発言や表現で炎上するということも日常的。
私自身も固定観念を何の違和感もなく受け入れているのが現状です。
例えばCMでよく見かける、女性タレントがキッチンに立ち、男性タレントがくつろいでいる姿。
これも若干古いかなと思いながら、違和感までは感じていませんでした。

でもよくよく考えてみると、こういう表現が広告で使用されていることで、ジェンダー不平等に対する社会の鈍感さを助長しているのかもしれません。
偏った固定観念を捨て、多様性を受け入れる社会に変わっていくよう促していく行動と責任が、広告や表現に携わる身には求められる。改めて襟を正す必要を感じたニュースでした。

ちなみに広告におけるジェンダー表現についてのガイドラインは、日本ではまだないようです。
近いもので
内閣府男女共同参画局が「男女共同参画の視点からの公的広報の手引」をつくり、自治体などが発信する公的広報のジェンダー表現への注意喚起はされているようです。

それによると、表現上の留意点として、
1.男女いずれかに偏った表現になっていないか
2.性別によってイメージを固定化した表現になっていないか
3.男女を対等な関係で描いているか
4.男女で異なった表現を使っていないか
5.女性をむやみに“アイキャッチャー”にしていないか
という5つがポイントとして示されています。

平成15年3月に作成されたものとのことで、かなり古いガイドラインです。
そしてLGBT、人種による外見の違い、容姿についての押し付けなどへの配慮は記載されていません。自分自身でアンテナを高く学んでいかなければいけないようです。

「ジェンダー表現に配慮をする」ではなくて「それが当然」な社会になるように、自分たちも変わる。
表現で違和感があればお客様にも働きかける。
小さな組織で影響力は微々たるものですが日々の仕事・生活の中で心がけていくようにしたいと思います。

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