太い幹があるということ
赤く美しい実をつけるセンリョウという木がある。正月飾りも使われ、縁起物としても親しまれている。
1月のはじめに生けて、いまもなおツヤツヤした赤い実が部屋を彩ってくれている。しかし枝切りしたものは、瞬く間に枯れてしまった。
センリョウだけではない。他の植物だって同じだ。幹があるものは長生きし、枝だけになったものは短命だ。
枝を手でしならせる“ためる”という技法がある。ためることによって曲線ができ、躍動感や美しさが生まれる。だが、太く固い幹はためない方が良い。幹はたっぷりと水を吸い上げる。曲げてしまうと、うまく吸水できなくなってしまうからだ。
植物だけではなく、人間もそうなのかもしれない。太い幹がある人は強い。仕事や家庭、信念、経済。所属するコミュニティ、学び、趣味だって良いかもしれない。太客、太い実家、太いパイプとは、よく言ったものだ。何かひとつで良い。太い幹があれば、そこからいくらでも枝を伸ばすことができるし、折れてもまた伸びてくる。
私の太い幹はなんだろうか……。
枝だけになってしぼみ行くセンリョウを見ながら、そんなことを考えた。
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