某市のランナー 4

 S公園でのランニングにも慣れてきたが、季節が変わり、環境も変わってきた。
 変わってきたことは2つある。
 1つ目は、利用者である。
 S公園はそこそこ広い公園だからか、多目的な公園でもあるようだ。
 少し拓けた場所でスケボーの練習をしている少年たちが現れるようになった。彼らの近くを走ると、ガシャガシャという音が聞こえてくる。
 ・・・これは僕の経験上の話だが、スケボーとかをする少年にはあまり良い思い出がない。
 こういうスケボーをするような、「イケてることをしたい少年」は学校におけるヒエラルキーの上方に位置する人たちである。しかし、上方であっても最上ではなく、その下に位置する人たちである。
 そういった連中は、最上に位置する人たちに気に入られることを目標としたり、最上の人たちに並ぼうとして道を外れたことをする連中である。
 最上のヒエラルキーの人たちは、わざわざ道理を外れたり、誰かを意識した行動をしないから、まだ安全だ。しかし、その下の奴らは手段を選別することなく、何でもする。
 だから、最上の奴らよりも注意するべきであると思う。
 彼らは最上ではないから、少しスポーツをやっている人なら、喧嘩になってもボコボコにされないだろうし、返り討ちにすることすらできる(イキりオタク的なものでなく、真面目な話)
 だけど一度蹴り飛ばしたりすると、恨まれて、告げ口をされて、最上の人たちを含めて、大多数を敵に回すことになる。だから、関わらないのが一番。
 最上の人たちは、軽く取り入って仲良くなれば安全圏に入れるが、その下の連中は基本的に僕らのような人種を下に見ているから、関わらないように立ち回るのがベストだ。
 などと、学生時代の嫌な記憶が蘇る。だから、彼らのような人種は好きになれない。もちろん、そんな奴らではない可能性も十分あるが、嫌でも警戒してしまう。
 2つ目は虫である。やはり気温が高まってくると虫が出てくる。S公園は木が多いため、最近は虫が多くなっている。走っていると目や鼻や口にコバエが入ってくる。1回のランで1回の頻度で入ってくる。
 コバエ以外にも入ってくるものはある。それは蜂である。
 アシナガバチやスズメバチが、汗にまみれた体に寄って来るのだ。イヤホンをしていても、耳障りな羽音は聞こえてしまい、ランニングの邪魔となる。
 以上2つの闖入により、僕のランニングは脅かされている。
 そこで、僕はS公園の外周を走ることにした。
 外周は虫は少ないし、スケボ少年もいない。ただ、歩道を走る無灯火スマホ弄りタバコ自転車ライダーがいるが・・・。

 という訳で、僕はS公園外周を走ることにした。

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