某市のランナー 2

 このご時世で昼間にランニングをすると周りに迷惑をかけてしまう。しかし、夜にランニングをすると危ないし、やっぱり邪魔になる。
 という経験をした僕は、自宅から歩いて数分のS公園にいくことにした。
 このS公園は1周2キロ弱のランニングコースを有していて、なかなか良さそうだと思った。
 色々と調べてみると、昼間は結構ランニングコースを利用している人が多いようだ。夕方から夜にかけても利用者はいるようで、ここでランニングをするサークルのようなものも存在するようだ。
 僕は人を避けてランニングをするべきと考えているから、そういった人たちと被らない時間帯を選ぶ必要がある。そこで、夜の9時以降ならば会うことはないと踏んだ。

 金曜日、仕事を終えて帰宅し、髪についたワックスを落としつつ軽くシャワーを浴びたあと、僕はS公園へ向かった。
 時間は22時。某市は治安が良くないので、S公園までの道のりでいくつかのガラの悪い車やバイクを見る。彼らはなぜマフラー等を改造したり、大音量で音楽を鳴らしたりして、とかく大きな音を立てたがるのだろうか。燃費を気にする必要がないほどに十分な収入を得ているのだろうか。だとしたら羨ましいな、僕は新卒としては並程度の収入しか得ておらず、一食あたりの費用を抑えられるように自炊をするにしても工夫をしたりしているというのに。
 などとつまらないことを考えながら目的のS公園に到着する。

 S公園は10時にもなればやはりランニングコースを利用する者はいないようだ。スマホにインストールしているナイキのランニングアプリを弄り、ランニングを開始する。このアプリはイヤホンをしていると何キロ走ったかとか、どのくらいのペースで走っているかを教えてくれる。しかし、ミュージックをシャッフル再生にしても、すぐに解除してしまうのが難点だ。とはいえ、無料アプリとしては十分な性能だろう。
 このランニングコースは、最初は砂利道だったが、少し走るとコンクリートの道になった。その境目には段差があるので、夜のランナーは気を付けないと転んでしまうだろう。
 その後、また少し走ると砂利道に変わった。1周走る間にコンクリート道と砂利道が3,4回入れ替わるようだ。やはりその境には段差があるため危ない。おそらくもともと公園内を移動するために設置された通路を繋げてランニングコースにしたのだろう。そうでなくては、ランニングコースとしてはあまりにも危険すぎる。最近では健康のために走るご老人もいるだろうし、そういった方は転んだだけでも大けがになりやすい。
 そんなクレームを頭の中で考えつつ、2周目に突入する。すると、前方に人影が現れる。犬の散歩をしている少年であった。僕もかつては犬を飼っていたため、様々な思い出を連想しつつ2週目を終える。
 結局その日は3周走った。合計時間は大体30分くらいだった。健康目的のランナーとしては上出来だろう。部活時代のように肉体と精神を疲弊しながら走る必要がないのは、なんとも自由でいいことだ。

 走ってみて感じたことは、まず、木が多いということだ。今は4月だから、チャドクガとか、毛虫が落ちてこないか心配だったがそんなことはなかった。しかし、これから暑くなってくると、どんな虫が出てくるかわからない。少なくとも蚊は出てくるだろう。虫よけの対策はしておく必要がある。 
 また、心配していたチンピラだが、特にその類の者はいなかった。まあ、今どきのチンピラはコンビニの前とかで集まっているから、公園などには来ないのかもしれない。
 
 というわけで、段差に気を付けることと虫よけには注意がいるくらいで、ランニングをする上では公道を走るよりもかなりいいと思った。しばらくはここを走ることにしよう。

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