かわいくなくてもいいんじゃない?

ギフトピアのお話だよ! 飽きてないよ!

ざっくりさっくりと行きますが、ギフトピアの魅力は、何と言ってもその自由度の高さにあります。このゲームの基本的な構造は、「お金を貯めると楽しいことができるようになる」と「ネガイを叶えるとお金を貯めるのが楽になる」がうまく組み合わさったものです。例えば、ネガイを叶え続けてオトナになる直前まで行くと、1万マネを軽く超える値段で売れる魚をバンバン釣れるスポットが現れます。そうなればもう500万マネなんてあっという間なんです。ネガイのパートを軸として、好循環が生まれていくんです。前にも書きましたが、行動時間を長くするためにもネガイを叶えることが必要ですからね。ネガイが資本。お金はあとから勝手についてきます。

そしてこのゲームを語る上である意味もっとも重要な点は、キャラクターがかわいくないというところです。

イラストになっているポックルやキャッピーは割とかわいく描かれていますが、ゲーム本編で見る3DCGは、まあ、何と言いますか、ガチャガチャした見た目に、ガチャガチャした動きなんです。ちょっと不気味だったりします。喋りもそうですね。いちおう声が流れるのですが、言葉としては絶妙に聞き取れない、いわゆるハナモゲラ語というやつです。これは「この制作会社がよくやるやつ」ですから、ギフトピアだけのことじゃないですけどね。おそらく、この「ちょっと不気味」というのは、完全に狙って作られたものなのだと思います。そもそもオープニングなどで流れるメインテーマがちょっと不気味なんです。クセになるというかトラウマというか、そんな感じです。でも、この「ちょっと不気味」なキャラクターたちが、エンディングの頃にはとても愛しく思える、不思議なゲームでもあります。それぞれの人生があり、それぞれのドラマがあり。そしてポックルは、人のネガイを叶えることによって、その全ての人生、全てのドラマへと関わっていくことになるのです。

…犬やロボでも「人生」って言っていいんですかね? まあいいか。

もちろん、島民たちはドラマじゃないほうの人生も送っています。決まった時間まで仕事をして、決まった時間に食事をして、決まった時間に眠りに就く…と。ある程度ネガイを叶えてオトナに近づけば、島民それぞれの行動パターンをただただ観察することもできます。最初は午後5時に眠くなっちゃうので無理です。ある程度はオトナに近づきましょう。前にも書いた気がするぞこれ。

まあ、そんなガチャガチャした見た目でよくわからない言語を使うみなさんが出てくるちょっと不気味なゲームなので、とっつきやすいかと言ったら、決してそうではないと思います。私はどうして買ったんだか全然覚えていません。しかしこれがいまだに忘れられないくらいの名作だったわけです。終えてみると、かわいくないキャラが、かわいい。かわいくないのに、かわいい。それぞれの人生を感じる。人生。人生!

取り乱しました。つまり、全然かわいくないキャラクターたちに、ものすごく愛着が湧いてしまう、不思議なゲームだということなんですよ。わかってください。

ちなみに、キャラクターの見た目もさることながら、ストーリーの展開も、きわめて不気味であったりします。霊的なものや災害など、じわりじわりと迫る不気味さ、恐ろしさがあります。自殺未遂をする人物まで現れます。意外と重いテーマですね。


ちなみに宮本茂からの評価はあまりよくなかったらしいんですが、その点に関して私は「おい宮本何言ってんだよ宮本おい宮本」って思ってます。

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