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豊かな未来の風景 NOLL PROJECT


私たちはみんなそれぞれが健康で豊かになりたいと思っています。でも、なかなかそれが叶えられない。日本は国連の調べる幸福度ランキングではなんと61位。GDPはドイツに抜かれたとはいえ、世界4位。この経済の状況と幸福度のギャップはどうして生まれているのでしょうか。
多くの若者は日本の社会、特に政治に希望を見出せず、それこそ海外流出しかねません。人口減少や円安などの閉塞感もここに極まれりという感じです。

さて、私は1990年代、フランスで1年暮らしたことがあります。その頃のヨーロッパはフランスの革命200年を祝う国家事業が進んでいるものの、経済の停滞が起こっていて、閉塞感がありました。日本はバブル、暮らしも楽だったので、私たちも浮かれていたかもしれません。それから2000年代、2010年代と時代が下るにつれ、ヨーロッパは独自の発展を遂げ、色々な点で地域から豊かになっていっているように思います。

2014年、紫波町のオガールタウンの監修をまかされた時、清水さんや町の鎌田さんと一緒に、パッシブハウスジャパンのツアーに参加して、中部ヨーロッパに木造の高断熱高気密住宅や林業の取り組みを見に行きました。私は珍しいストーブや木造の建築を見てはしゃいでいましたが、清水さんが見ていたものはそこでの人の暮らしです。保育園や小学校、公園などで遊ぶ子どもたちを見て「なんて、豊かなんだ」と驚かれていたのが印象的でした。木材産業が価値を産んで、輸出産業になっている。人の暮らしのベースが豊かなんです。その地方はフォアアールベルグと言われるエリアです。建築ばかり見ていたことを反省しました。

また、2019年に清水さん、木下さん、グッチーさん、岡崎さんがフランスのブルゴーニュのワインセラーを見学に行くというのでついていきました。そこではブルゴーニュというあるエリアが規定され、そこでとったもの以外はブルゴーニュワインと言えない、ブランディングを見てきました。ワインは土壌(テロワール)に左右されるので、その土壌が含むミネラルが大変重要です。だから、線が引かれているこのエリア内のものだけが、ブルゴーニュワインなんだということです。これはその産物の希少性をうみ、価値になり、村に富をもたらします。具体的に「農」のある風景は多くの富を産むのです。風土と産業と暮らしが渾然一体とした風景を作っていて、幸せそうで羨ましいと思いました。



紫波町は農業な豊かな町です。では、それが表現されているかと問われるとそうでもありません。また、オガールタウンを中心とした中心部は人口が増えていますが、周辺部は人口減少で小学校を統廃合する必要が出てきました。7校ある小学校は2校に再編され、既存の学校は新しい用途にすべく、計画されています。そのうちの一つはこの「NOLL PROJECT」であり、農ある風景を作り出そうとしています。農を地域の財産として捉え、都市との結節点において風景を作り出すプロジェクトです。風景はもともとの校庭に、オガール同様にオンサイトの長谷川さんによって作り出されます。

都市との結節点の施設として、サウナが充実したホテルとレストランが用意されます。盛岡バスセンター、マザリウムの建築を手がけた西村浩さん率いるワークヴィジョンズがホテルを、紫波町のオガールタウンのノウハウを活かして、住居棟を私たちエネルギーまちづくり社が担当します。豊かな風景を見ながら暮らすショーケースになると思います。

4月22日にトークショーがありますので、ぜひご参加ください。


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