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外苑再開発問題

世界は脱炭素社会へ向かって持続可能な開発をしている。一方、日本ではただの建物の容積をとる近代的なビルを建てるだけの再開発が進んでいる。
これはとても大きな問題だと思う。

ニューヨークやパリがどうなっているか見てみよう。

ニューヨークではニューヨーク市は気候動員法を制定し、2030年までに温室効果ガス排出量を30%削減することを公約している。そして、環境的なビルを建てるべく、さまざまな工夫や新しいピロジェクトができている。また、都市のあちこちで、ウォーカブル化が進み、自動車が人々の集まる場所から排除されている。

パリは市長が環境派のアンヌ・イタルゴに変わってから、15分都市という概念を推し進め、パリ市内から自動車を追い出し、すべての場所に15分でいくことを目標にするポスト=コロナの政策に踏み切っている。
オリンピックに向けて大きく変わろうとしている。

シャンゼリゼは森みたいに。


15分でいろんなところに行ければ、クルマはいらなくなる。

それこそパリ市内からはグリーンプロジェクトが進められている。このパースのようにシャンゼリゼも緑で埋め尽くすつもりだ。

さて、そこから考えると、「今回の神宮外苑の森の伐採をしてから、再開発」というのはあまりに時代遅れだ。



【神宮外苑の歴史】
神宮外苑は、明治天皇の崩御をきっかけに、日本初の林学博士本多静六らの考案により作られた国費で造られた広大な森林の苑地内苑と対比的に、外苑は国民の献金によって造成され,聖徳(せいとく)記念絵画館を中心とする明るい公園的性格をもつ。

一方で、太平洋戦争において、学徒出陣の場所でもある。
そういった数々の歴史を重ねてきた場所であるにもかかわらず、ただの再開発が行われて良いはずがない。

東京にあって、自然豊かな公園であることはとても大事なことだ。

【風致地区にありながらルールを黙って変えた新宿区】

樹木の伐採に関する許可を新宿区が出している。それまでは風致地区だったにもかかわらず、そのルールが、議会の承認もなく変更され、許可が出ているのだ。その点に関して、伐採許可の取り消しを求めていきたい。公園や森林などの景観はそこに住む住民にあるという考え方が基本だ。

【ダブルスタンダード】

さて、この再開発には多くの団体が関わっているが、そのどれもが、環境に対する積極的な取り組みを表明している。一方で、環境に逆行するこのメチャクチャな再開発をする。これがとても気持ちが悪い。

東京都の場合
2030年にカーボンハーフを目標にして、住宅などの太陽光発電義務化を条例化しているが、この再開発でのカーボンハーフに関して、全体像が見えてこない。
こういう大型の取り組みから率先してすべきである。

三井不動産の場合
なんとRE100に加盟している。RE100は事業活動する電力を2050年には100%再生可能エネルギーにすると宣言しているのである。

どう見ても、2036年に完成するこの建物は、ゼロにならない。2050年までには、などと言わないでほしい。建築のある部分を根本的に変えなければ不可能である。2036年の時点で、ゼロに近づける努力をしていない時点で、ただ、「やる」といっているだけのダブルスタンダードである。

現在の環境アセスメントは工事期間中のCO2排出に関しては、計算しなくていいことになっているが、それとこのRE100などの民間での目標は、その考え方自体の整合性は自らが律するものであるべきで、それができないのであれば、グリーンウォッシュと責められるはずだ。


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