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アレンジクロノ

奥の部屋から魔族達がぞろぞろと出て来てカエル達を包囲した。

教会の周囲を定時巡回していたコウモリによる通報にてクロノ達は魔族らに包囲されていた。同じく伝令係のコウモリが王宮へ向かった。カエルが侵入したとの知らせを受けた親玉の大臣ヤクラは、その変身をガルディアの森で解いた。ヤクラは木を上り、森の上を駆け抜け教会へと向かった。
ヤクラが到着するまでに30体の魔族VSクロノ、ルッカ、カエル


魔族側は人間サイズの蛇女(ミアンヌ)。人間サイズの蛇(バイター)。悪魔の様なシルエットのディアブロス。見た目がゴツイ鎧を着た魔族(魔王のしもべ)。

ミアンヌは上半身が人型、下半身は蛇にてその長さが2mあった。ミアンヌの移動速度はさして早くなく、遭遇したとしても走れば逃げる事が可能である。しかしミアンヌは下半身をとぐろ状にしてバネ状運動にて背丈程跳べる。その瞬間の最高時速は40kmだせ、ナイフの様な鋭い爪と牙を合わせると油断できない存在である。丸腰の人間ではまず勝ち目がない。

バイターは全身蛇であり、胴体の長さが10mある。とぐろにしてバネを利用すると攻撃射程は5mを越え、その瞬間の最高時速は80kmにもなる。丸腰の人間では当然勝てず、武装して戦いを挑んだとしても厄介な相手である。スピードもそれなりにあり、子供が逃げ切るのはまず困難である。大人でも装備類を抱えた状態では逃げるのは難しく、4方を囲まれれば絶望的であるといえる。

鎧に身を包んだ魔王のしもべ(オーガー属)は、知能はともかく強靭な肉体によって重装備(50kg)の重さをものともせず動ける。特殊に訓練された兵士が最低3人以上いないとまず勝てない相手である。

ディアブロスは翼を持ち、高い位置から攻撃を加えられる。弓で武装しているディアブロスらは長いリーチをとり遠距離攻撃の構えをとっている。


普通のカエルは小型のサイズであれば身長の10倍以上の距離を跳べる。仮に1mのサイズなら10mジャンプでき、その瞬間の最高時速は200kmになるだろう。

人間サイズのカエルが靴を脱ぎ捨て、足裏と地面との接着面を増やすと10mを越えたジャンプができ、その瞬間の最高時速が200kmになるという意味だが、しかしこのカエルはあくまでも人間であり、靴は脱がないし、二足歩行のスタイルを貫いている。ジャンプもスピードも純粋なカエルと比べたら劣るものの、しかし、それを勘定しても魔族を越える化け物じみた速度で動けた。しかもその速度に適応する強靭な肉体も持っていた。

カエルの強さについては魔王のうっかり魔法のミスが原因とされ、カエル化呪いの思わぬ副作用であるとされた。

人間サイズのカエルが実在したとしても、二乗三乗の法則にて大きな身体能力はないだろうが、魔法特有の自然を超越した効果により、カエルはイレギュラーな存在(超カエル)になっていた。

超カエルは訓練をしてきた経緯もあり、そのイレギュラーの度合いは5倍程増していた。
最大ジャンプ力は50mあり、その瞬間の最大時速は音速にすら達していた。

【人間界のイレギュラーな存在カエル。もしカエルに出会ったら全力で逃げろ!】のルールが魔族にとっての常識になっていた。

あまりに早い速度については視認してから対応できるものでもない。敵の位置関係性を把握したカエルは、まず一体の魔族を倒した。それはカエルが跳躍してから1秒足らずの出来事だった。仲間の一人が殺られた事に魔族らが気付くまで1秒程かかるが、その1秒の間に更に一体の魔族が殺られた。 次々に倒れる魔族らはカエルのスピードに翻弄され、瞬く間に間に全滅していた。リーネを人質にして交渉する間もなく、教会は血の海に染まった。



ヤクラはゴキブリ科目の生物としてカエルよりも早く動け、表皮も鎧のように硬く防御力が高かった。
カエルが時速200kmで常時動けるとすればヤクラは時速500kmで動ける。その為ヤクラはカエルに負ける気はせず、大聖堂を縦横無尽に走り回ってカエルに突撃した。
激しい闘いであり、普通の人間であるクロノとルッカは巻き込まれないよう教会の奥へと避難した。奥部屋には捕えられたリーネと修道女がいる。

幸い大聖堂の奥部屋の入り口は細間っており、ヤクラは人間に変身しないと入れなかった。

人間に変身している間はステータスが極端に弱くなる仕組みがあった。それに気付いたカエルは奥部屋にてヤクラを待ち伏せする戦略を選んだ。

持久戦はヤクラにとって困る。 大臣に成り済まして王家と議会に潜入していたヤクラは新型兵器が配備される光景を目撃していた。ガルディアは魔族との戦争に備えて、より実用性の高いフリントロック式の銃(実用性の高い火縄銃)をフランスから輸入していた。 世界各国の魔族らはその銃の影響により領地を失いつつあり、ヤクラが属する魔界もその対応に迫られていた。


教会での戦いが長引けば周辺住民が異常に気付き王家に通報しかねない。 新型銃を持った軍隊がかけつければ、ヤクラにも勝敗はどうなるかわからなかった。 ヤクラはガルディアが気付く前に決着をつけたかった。

体内からドリル状のもの生み出して発射できるヤクラは奥の部屋に向けて発射した。ヤクラのドリルは避ける事ができない。 ヤクラの背から生み出されたドリルは空間を縦横無尽に動きつつターゲットを追尾できる。ヤクラはこのドリルを無意識に操れる。

その仕組みだが、ヤクラは触れた相手のDNAを覚え、その遺伝子にあるミトコンドリアが特有に発するエネルギーを感知して敵の居場所を知る。

直進するドリルが進行方向を変えられるのはミサイルが方向転換する仕組みに似ている。ミサイルの様に独立したエンジンや燃料機関の構造を持ち、遠隔で方向操作する仕組みをヤクラは細胞レベルで生み出している。

ヤクラの背中から5つのドリルが生み出された。カエルはヤクラのドリルを剣で全て弾いた。 限度がないのかの様にマシンガンのごとく、次々とドリルがカエルに襲いかかかる。

ヤクラのドリル生成力はとてつもなく高かった。まるで無尽蔵に尽きる事なく生成されるドリルのエネルギー。、実はその元は地中に眠るラヴォスからであり、ヤクラはラヴォスから無意識にエネルギーを調達している生き物だった。

カエルは観念して広間に出た。再びヤクラとの近接戦闘に。

カエルは盾を捨て、代わりに日本刀を持っていた。二刀流のカエルは一人でエックス斬りをし、二刀流の乱れ斬りをした。

カエルの剣は刃こぼれしていたが、クロノの刀は丈夫だった。現代のボッシュが魔力を込めて作った特殊な刀であり、ヤクラの高い防御力にも効果が絶大だった。

ヤクラは1000年生きられる長寿の生物として、自分を傷付ける剣は、未だかつてグランドリオンしか見たことなかった。グランドリオン程のパワーはないが、想定外のダメージがヤクラに蓄積されていく。

カエルもヤクラも戦い疲れ、疲労が貯まっていた。 ヤクラは諦めて教会を明け渡すべきか迷っていた。

そっくりに化ける魔法は既に完成していた。。化けたい人間の髪の毛(遺伝子)を採取し、決められた魔方陣の上に置き、決められたコードに沿って呪文を唱えるだけでいい。王族や従者らの髪の毛は集め終わり、魔法化には成功した。これにより、魔力の高い者はいつでも王族や従者に見た目から声色までそっくりに変身できる。王宮にはヤクラの配下の者が他にも潜入している。アジトは教会以外にまた作ればいい。カエルが保護したミアンヌは魔術の詳しい情報までは知らない。あえて口封じをするまでもなかった。


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