スマホ持ったクロノつづき(大臣ひとりで行動)


クロノ達がリーネ救助の見返り、褒美欲しさに山を降りようと思ったりもしたが、ゲートがいつまで存在してくれるか判らず、急いで元の世界へ帰った。

〜ゲート前〜

マール「あ!私!急いでてドレス持ってきちゃった。」

ルッカ「記念に貰っておけばいいじゃないの?」

クロノ達が元の世界に戻ると、強いライトに照らされ、視界が見えなくなる、

目を凝らすとヘリが目の前に。そしてガルディア軍人が大勢立っている。白ひげの大臣がその間から現れた。
「マール様、よくぞ無事に…

「ゲートから巨大なしゃべるゴ○ブリが出てきたときはワシャ生きた心地がせんかったですぞ。

「ささ、王宮へかえりましょうぞ」

大臣は諸事情から一人身にて家族がいなかった。その代わりに王族関係者を家族のようにも慕っていた。マールの母親が死んで以降はマールへの溺愛ぶりは実際の孫にむけるような眼差しさえあった。そんなマールが護衛をふりきり逃亡した。その逃亡は千年祭セレモニーの最中、王の演説中の最中だった。マールのいた来賓席には置き手紙が置かれていて、事実上の家出宣告だった。

『置き手紙の件なら心配する必要は在りませんぞ。お父上もマール様が帰って来られるのであれば他に何もいらぬと仰られておやれる。』

マールは極端な行動をしたと反省していた。16歳になればバイト等いくらでも生活の糧を得られると思っていたが世間知らずだった。キャンティー屋さんに当時面接を持ちかけて相手にされず他のブースにも行ってみたけど相手にされなかった。唯一ルッカのブースでサクラ役として盛り上げるテレポート試験役のバイトを受けたけれど、まさかそれがゲート発生事故+家出娘捕獲のキッカケになるとは思いもよらず。計画的な家出のつもりだったが詰めが甘かったことを恥ずかしく思ったマールは家出の事情等はクロノ達に話す事はせず

マール
 「クロノ!今日は楽しかった。色々とあったけど、ありがとう。
 ルッカも助けに来てくれてありがとう。
 またいつか会おうね…」

マールはクロノ達に別れを告げるとヘリで飛び去って行った。

ルッカ
「さすが王族…家出娘の出迎え方がパネェわ…

「クロノ、覚えておきなさい。あのヘリにいずれ貴方も乗る事になるのだから。」

「玉の輿のチャンスよ!
クロノ。まめに連絡ることよ!

「え? マールの連絡先を知らない? マールは携帯電話を持ってなかった?

ルッカ「ヘリは持てど携帯は持たない。王族は一般人とはとことんズレてるわね…

「さあ、私達も帰りましょうか。」

○ルッカのブース前には非常線が張られていいて、警察が警備をしていた。ゲートの周囲は異世界とを繋ぐ危険な場所として軍の管理下に置かれ監視された。

○ルッカの帰りを待っていたマスコミがどっと押し寄せた。

マスコミ
「次元の穴には何があったのデスか! 何処に通じていたのですか! やはり異世界に!」

ルッカは異世界についてもタイムトラベルについても答えなかった。

マスコミ各社は
『次元の穴に吸い込まれた二名男女、行方不明!! しかも吸い込まれた女性は王室のマールディア王女??! ルッカ博士、二人を助けに向かうも帰って来ない!』という記事を

『次元の穴に吸い込まれた二名男女、ルッカ博士により無事生還す! しかも吸い込まれた女性は王室のマールディア王女!?』という記事に差し替える準備で大忙しだった。

車内、クロノはガクガク震えていた。
魔族に襲われ、べびから硫酸を浴びたり、カエル剣士の事を思い出していた。

「それにしても魔族って何だったのかしらね…。マールが消えた事といい、400年前の時代と今に繋がり全くないって話てもないと思うのだけど…

ルッカはクロノを家まで届けた。ついでに土産話を聞かせてよとジナが家にあげた。

ジナ
「まあ、ルッカちゃん。今日は本当に凄い日だったわね〜。世界に中継された超次元転送マシンの実力! ルッカはちゃんはこれから先、世界中の企業や投資家からもてはやされる事になるわね。ルッカちゃんを手伝ってたクロノも一躍有名人よ。

ジナ
「ほら、クロノも今日のあれがテレビに写ってるわ。ほら! 次元の穴にキュイーンと吸い込まれる!

ルッカ
「あの時は流石に腰が抜けたわ。クロノがあんな命知らずな人間だとは思わなかったし」

ジナ
「ルッカちゃん、あのとき、顔面蒼白よね…。クロノが女の子に助けに行っちゃうんだもの。ジェラシー感じちゃうわよね〜。

ルッカ
「お、おばさん! 何へんな事を言ってるんですか! 私は単なる幼馴染です。

ジナ
「そういって、顔を赤くするところ。クロノと一緒で昔から嘘が下手よね〜

ルッカ
「ち、違いますって! おばさん、トンチンカンな見方しないでください! 私が顔面蒼白してるのは、単にクロノが死んだかもしれないと思っただけで。

ジナ
「そーなーのー?

ルッカ
「そうです! あの時は事故を受けれられなくてパニックしてて。平静を取り戻すのに精一杯だったんです。クロノもきっと訳判らなくて命知らずなことしたんだと思います。

ジナ
「そんなにパニックしてたの? あんまりそういうふうには見えなかったけど…

ルッカ
「清水の舞台から飛び降りるじゃないですけど、欄干にでも立ってる様な気分でしたね…。

ジナ
「いつも冷静沈着なルッカちゃんが、そこまで…(きっとルッカちゃん自殺しちゃうんじゃないかとクロノは思ったんじゃ…だから命をかけてクロノはゲートに飛び込んだんじゃ…。だったらクロノもルッカちゃんのことが!そしたら二人は結婚してルッカちゃんは正式な我娘に! )

ルッカ
「あの時は本当にやばかったです。まあ、でもクロノが落としたペンダントを見つけて、そのペンダントが事故の引き金ならそれを解明すればむしろ発明のブレイクスルーになると思って、その後は割りと平常心に戻ったというか。好奇心に突き動されてどうにかなったというか。

ジナ
「クロノのお陰で平常心を取り戻した訳か…

ルッカ
「おばさん…またそういう言い方を、

ジナ
「ルッカちゃんはクロノの最有力お嫁さん候補なんですからね。おばさんは期待しているわよ。ルッカちゃんにも選ぶ権利はあると思うけど、おばさんはクロノの嫁にはルッカちゃん一択しかないと思っているの

ルッカ
「はいはい、分かりましたよ。クロノを選択肢の一番下の方に置いときますんで。

ジナ
「ところで今日は泊まっていかないの?

ルッカ
「いえ、遠慮しときます。

ジナ
「えー。久しぶりにルッカちゃんと一緒に寝んねしたいよー

ルッカ
「おばさん、私もいい加減に大人なので、人様のお母様ともうそういう関係には…

ジナ
「えー。

○その頃、クロノは400年前のリーネの日誌を詳しく思い出していた。最も重要な内容を整理すると

1西側魔族の特殊能力、人に化ける能力を持ち、その力で近隣の国々が制圧された模様あり。表面的には人による独裁政権に見えるが、内情では人間を食べる為の家畜にした植民地政策をしている可能性

2西魔族はガルディア本土の各所に目撃され、官民一体となって対策し要警戒をすること。リーネには特殊能力があり、その力で人に擬態した魔族かどうかをチェックすることができる。カエルを魔族ではなく騎士として容認したのもリーネによるものでリーネが健在であれば王宮は西魔族に乗っ取られる事はないだろう

3南部魔族とは戦時体制中。もし南部の魔族が各地域の魔族と連合を組んで進行されると今のガルディアには勝機はない。兵人員を早急に増やす事が急務とされる。

大臣
「ところでマール様、次元の穴に吸い込まれた先は何処に繋がっておられたのですかな? じいはマール様が帰って来られてからというもの、その事ばかり考えてしまうのです。」

マール
「ルッカにはゲートの先を内緒にしろって言われたのだけど実はね、私達、異世界のようなそうでない世界…まるでタイムスリップで昔のような世界で。信じられないと思うけど魔族…クロノ達が魔族と戦って私を助け出してくれたの。

大臣
「た、タイムスリップ!? まさかその様なものが、過去の世界なんてことある訳が…

マール
「そうよね…。だからきっとあの世界はこの世界とは違う、パラレルワールドみたいなものだと思うの。でも凄くない? 異世界なんだよ? 魔族でファンタジーだよ。

大臣
「では、そのお召し物もその異世界から持って来たという…

大臣はその日、マールを邸宅に届けた後、ルッカにコンタクトをとった。過去を変える事ができるのであればと期待して

400年前、ガルディア及び世界の殆どの国々が、人に化ける西側魔族によって侵略され統治されたこと。魔族は人間を食料として継続的に確保する為に魔族の存在そのものを歴史及び世界から隠蔽し、表面的には人間にとって暮らしやすい社会を作ったこと。
西側魔族は人間を独占する為に各地の魔族の情報を人間側に売り渡し、人間と共にそれらの魔族を滅ぼしたのだとルッカに説明した。
この歴史は権力ある一部の人間しか知らず、もし、知るはずのない者が魔族の歴史を公に語るなら、その者の身に危険が及びかねず。決して語らない様に念を押した。

大臣「…であるからして、権力者やその周囲には人間に成りすました魔族が多くて、彼らは権力者やその親族を人質に取り、政治を裏で操っています。
彼らは国家権力を使い、人さらいをして、人間を食料としているのです。

ルッカ
「そんな馬鹿な! いくら国家権力が関わってても、そうそう人が居なくなったら、周りの人間は気付くでしょう?

大臣
「ですから、魔族達はターゲットを絞っているのです。友人や身内がいなかったり、失踪しても誰も気にも留めない者を選別しているのです。

ルッカは失踪届けの統計を調べた。
ガルディア国内だけで、年間の行方不明者の件数が5万件を超えている事に気付いた。(日本8万件)

ルッカ
「そ、そんな…。こんなにも人が居なくなってるのに、なんで誰も気にも留めないの…

大臣
「失踪した住人の居たアパートの管理人等が、便宜的に失踪届けの手続きを警察にするだけで、警察も深くは捜索しません。魔族は催眠術述を使ったり、記憶を消したり、魔法を使ったりもできるので、警察は事件があったことすら認知しません。

ルッカ
「なんで大臣はそんなにも詳しいの? 王家はこの事を知っているの?

大臣
「王家は一切関与していません。関与しているのは…」

大臣の先祖は400年前の時代から魔族に家族や王族を人質にとられ、人間誘拐の仕事をさせられてきた。その仕事は現代にまで続いていて大臣は人さらいの業の責任者をしていた。

ルッカ
「…未だに信じられない。

ルッカ
「要するに大臣は過去を変えたくて私を訪ねて来たわけね…。でもよく考えて。歴史を変えたらどれ程の影響が現代にまであるか判らない。最悪私達の存在性すら消えるがしれないのよ?」

そもそも歴史を変えられる算段はあるのかしら?
人に成り済ました魔族をどうやってあぶり出すのかしら?

大臣「こういった装置があります。これは魔族と人間を識別する為の装置で、間違って人間に擬態した魔族を誘拐してしまわないようにする為の道具です」

ルッカ
「…なるほど…。それを使ってまずはガルディアに潜伏する魔族をあぶり出す訳か…。けれど成功するのかしら? 大臣はさっき魔族は魔法等を使うと言っていたわね? なら魔法の力で大臣の行動を盗聴や監視されてたり、裏切りの感情を察知されている可能性はないかしら? 大臣の先祖が400年間もただ黙って魔族の言いなりになってきたとも思えないし、何かしら抗っての結果今に至るのではなくて?」

大臣「とすれば、私にはどうする事もできないのでしょうか…」

ルッカ「やるだけやってみるのも悪くないと思うわ。なんせ私は世紀の天才科学者よ。魔族にとっても私は希少な財産だろうし私が危ない目に合うことは事はないと思うのよ。」

「とはいえ、今は軍がゲートの周囲を封鎖しているわ。どうやってそこを越えていくのかしら…」

「なるほど、そこを私に協力して欲しいわけね…。ゲートの歪みについて調査研究する目的なら可能かもしれないわね」

数日後

ルッカ
「ゲートの調査申請が却下されたわ。無期限保留ですって。やるなら強行突破するしかないと思うけど一応代案もあるわ。千年祭と同じタイプの高出力テレポットを使ってペンダントと反応させてあの時と同じ状況を作るの。出口の座標は違うかもしれないけど同じ400年前に繋がれば実験成功よ。といってもペンダントの波長は分析済みだから無くてもいいし、千年祭のテレポットは既に我が家に移動させてるし、特別新しく何かをやる必要ないわね。」

スイッチを起動させ、ペンダント波長を疑似発生させゲートが開く

A行こうとした瞬間逮捕される

案の定大臣は監視されていて阻止される。ルッカも注意勧告を受け、家族等の人質にとられ監視されるように。

B邪魔が入らず400年前に行ける

大臣は信頼できそうなカエルにコンタクトとり、共に魔族をあぶり出し、世界の安全を守った。擬態できない魔族らが滅ぼされなかった世界が作られたというのもあり、歴史は大きく変わった。人々は魔族間とのいざこざが絶えず人口が増加しにくかった。400年後の文化レベルは石炭や石油で電子レンジや冷蔵庫はあるものの、原子力やスマホ等の家電は登場しておらず原作に近い文化レベルになった。その世界でクロノは死刑宣告されるのだった。

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