「とりあえずスペッキオを指差してサンダーって叫んてみ。」

クロノ達はサンダーと叫んだ。
クロノの指先が光り、小さな稲妻がスペッキオに落ちた。

「君が使える魔法は天属性だね。今カミナリ出した君は、そういう魔法を覚えやすい体質だからね。じゃ、君は終わり、今度は君以外の人がファイアーて叫んで僕に指差してね。」


ルッカの指先が光り、炎がスペッキオに直撃した。「君が使える魔法は火属性だね。今火出した君は、そういう魔法を覚えやすい体質だからね。じゃ、君は終わり、今度は君以外の人がアイスて叫んで僕に指差してね。」

マールの指先が光り、スペッキオが氷ついた。「君が使える魔法は氷属性だね。今スペッキオを凍らせた君は、そういう魔法を覚えやすい体質だからね。じゃ、これで僕の講義はおわり。」 

クロノ達は更に戸惑った

「あと今のはスペッキオがチカラを貸したデモンストレーションみたいなものだから、実際に誰かに向けてやると今程上手くはいかないと思う。
でも練習するときっと上手くなるから。じゃあ、僕もおやすみ〜」

スペッキオは一方的に説明したら寝てしまった。

起こすと、魔法の練習がしたいかどうかを聞いてきた。

「デモンストレーション版がいいか、それともリアルがいい?」

クロノ達はリアルを求めた。

サンダー、ファイアー、アイスと叫んだが、何も出なかった。
もう一度叫んだ。しかし何も出ない。

「スペッキオが思うに、何も出ないときは自分の腕とか体に向けてやるといいよ。」

三人はそれぞれ、自分に向けて唱えた。
クロノは身体が少し痺れ、ルッカは身体が熱くなり、マールは身体の温度が低下した。

「スペッキオに向けてもう一度やってみて。あと身体の調子に意識を集中してやってみてね。疲れみたいなのを感じとれたら成功だよ」 

三人はスペッキオに向けて魔法は放った。スペッキオに変化はないが、少し疲れを感じた気がした。

「その感覚が大事だよ。疲れる感覚を覚えて、今度はどっしり疲れる感覚を想像しながら、魔法を唱えてみて。」

三人はスペッキオに向けて疲れるイメージで魔法を放った。スペッキオに電流が走り、軽く燃え、霜がついた。三人はどっしりとした疲れを得た。

「なんとなくわかった? 魔力と魔法の仕組み。訓練次第で色々な事ができるから、また遊びにきてね。あと無闇に人に向けて使ったらダメだよ」

三人は色々と言いたいことがあったが、頭の整理が追いつかなかった。

ールッカー

「ありえないわ。いや、ありえるかもしれないけど、やっぱりないわ!

ルッカは一人部屋に残りスペッキオに魔法をぶつけていた。

「科学以外は信じない!」
そうは言うもの、これまでの異常な体験からありえないことではないと、内心思い始めていた。


スペッキオ『やり過ぎると疲れるから注意ね』

 
ルッカ『どういう現象よ!これ!?』

スペッキオ『スペッキオにも良くわかんない。いつからできたのか、なぜできたのかも』

 

ルッカ『これって科学的にいったらどういう現象よ? 無いところから発生する炎なんて、100歩ずってありえるとしても炎の原材料は酸素よ。魔法ファイアが着火をコントロールしているとしても炎の制御に必要なのは酸素。酸素量をコントロールすることが重要でありその酸素は一体どこから? 酸素をワープさせたということ? それとも周囲にある空気から酸素だけを取り出して凝縮させているということ??』
 
ルッカはスペッキオに聞いたが、理解できていない様子だった。

スペッキオ『魔法には個性があって、その人が使える属性というのが決まってるんだ。ルッカは炎系の魔法が使えるから炎が得意なんだよ』


科学的にいえば炎の制御は酸素を制御することだ。厳密には得意なのが酸素制御ということになる。

ルッカは気になっていた。酸素をワープさせているのか、周囲の酸素を集めているのか、密閉空間を作って実験したい。もし酸素ではなく、水素のみ選んで集められるなら爆発させる魔法も作れることになる。

スペッキオ
「爆発の魔法が覚えたいの? だったら、フレアって叫んでみて。

叫ぶとスペッキオの頭の上が光り、爆発した。スペッキオはその衝撃にビックリし、ルッカは衝撃で転げそうになる。

スペッキオ
「という訳で、使うときには注意しないといけないの。

ルッカ
「もっと火力のある技は使えないの?

スペッキオ
「練習すればできると思うよ。あとゴハン食べて寝て


ルッカには他にも疑問があった
デモンストレーションのとき、ファイアを使ったら、火は自身の目の前から生まれ出てスペッキオまで駆けていった。
途中に障害物があったらどうなるのか。

スペッキオ
「障害物をすり抜けていくよ。」

ルッカ
「障害物をすり抜ける? 避けるのではなく? すり抜けるの? つまり、火の絵がそこにありながら、火の性質なく、座標の元で火の性質になる。火が飛んでいく光景なんて意味はない、指定した座標点で初めから燃えれてれば無駄がないのに。なんでそんな事になってるの?」

スペッキオ
「スペッキオは難しすぎて意味わかんないけど、とにかく障害物には当たらないよ」

魔法を使って指が光る事も無駄なことであるが、それがある意味ってなんだろう。

「スペッキオに言われてもわかんない。困る」

ルッカ
「光を出さないで、、あるいは魔法を唱えないで出せる?」

スペッキオ
「それは多分、無理なんじゃないかな、やる意味もないと思うけど

ルッカ
「じゃあ、光を出す魔法や光を消す魔法は使える?」

スペッキオ
「ライトってのがあるけど、ルッカは属性違うから何も起こらんよ。光を消す暗闇の魔法もあるけど、使えないと思うけど」


「デモンストレーションならできる?」

スペッキオ「できるよ? やってみる?」


ルッカがライトを唱えると部屋が明るくなった。
気が少しだが断続的に抜け続ける感覚。

スペッキオ
「スペッキオがチカラを貸してるとはいっても魔法使ってる主がルッカだからね。しかたがない。」

だけど気を抜ける感覚がファイアの時と違い、頭から下に向かう感覚だった

ルッカはデモンストレーションを解除し、頭から下に気が抜ける感覚をイメージしてライトを唱えた。

微かに光が出た。

スペッキオ
「ど、どういうこと? ルッカは光属性とか使えない筈なのに。」

「成長して魔力が高くなると、色んな属性魔法が少しは使えるけれど、今のルッカの魔力量では何も起こらないのが普通なんだけど…」


検証してみると、体から気の抜ける方向、前後左右上下により、出せる魔法の種類が増えた。
たとえば
上から下へが光属性
下から上が闇属性
前から後に炎
後から前に氷
左から右に天属性
右から左に冥属性

これをクロノで検証すると
上から下へが光属性
下から上が闇属性
前から後に天
後から前に冥
左から右に氷
右から左に炎


ルッカ
「水の属性とかないの?


スペッキオ
「ウォーターってのがあるけど、


スペッキオにデモンストレーションを頼むと、
気の抜ける方向感覚が捉えられなかった。普通にファイアを使うのと感覚が違うのはわかるが、どう違うのか、わからなかった。

ルッカ
「水を吸い取る魔法、つまり乾燥の魔法なんてあるかしら?」

スペッキオ
「ドライヤーのこと? 

検証するとドライヤーもウォーターと同じように感覚の掴み所がわからなかった。
しかしウォーターと同じ感覚とも思えない。


障害物をすり抜けるというエネルギー工学的にみて無駄な演出が魔法の仕組みにプログラムされていること。唱えて光って炎が飛んでいく仕組み。まるで「これから危険な事をしますよ。気を付けてください」というメッセージを飛ばしている様なものである。

魔法とはもしかすると、未来人が生み出した科学技術の様なものなのだろうか。使用上安全性を考慮して、このカタチになったのではと、この時ルッカは思った。

だとしても、納得できない事は山ほどある。

魔族が魔法を使えるという噂は未来のデータベースノアから引き出した情報。
未来人が魔法を生み出したのなら、未来人も魔法が使えるという情報がないとおかしい。だけど魔法を使える未来人なんて情報は無かった。

(安全性が考慮されて作られてる…)


ルッカはクロノを呼び出してサンダーとファイアーをデモンストレーションから同時に唱えた。
同時にそれそれの現象が起きた。

電気を効率良く対象に浴びせるには対象の周りが真空状態にならないといけない。しかし、真空状態は無酸素だから燃えたりしない。
つまり

【魔法の仕組みは化学的にも物理的にもその法則に即していない。】

アイス魔法の場合、その正体は冷気が発生しているのではなく、対象から温度を奪う性質なのであればファイアとアイスの同時発動は純粋に相殺し合う関係になるだろう。

アイスを先に浴びせて凍らせる。いわゆる凝固作用で対象の体積を下げておき、その後でファイアを浴びせて、解凍し、体積を増やす場合は、どうなるだろうか? 普通に考えれば凍ったものが普通に解凍されるだけだろうが、酸素を火種にしていないのだから熱運動がダイレクトに伝わる筈であり、たとえば空気なら熱膨張爆発するだろう。対象が生き物なら生き物そのものが膨張する。
恐らく電子レンジで凍った肉を急速解凍してドリップする様な現象を起こせる。それも激しいレベルで。

「なるへそね〜、意味わかんないけど今日、スペッキオ、たくさん勉強した。ルッカありがとう」


ルッカ
「ここには私達以外来たことないの?


スペッキオ
「来たような、来てないような、わかんない。

ルッカ
「あなた何時からここにいるの?

スペッキオ
「スペッキオはいつからここにいるんだろう? ずっといる気がするけど、いつからいるんだろうか?」


ルッカ
「じゃあ、あっちの部屋で寝てる爺さんは? いつからいるの?」

スペッキオ
「スペッキオと一緒にずっといるけど、最初からいた。」

ルッカ
「おじいさん何者なの? 何している人なの?

スペッキオ
「あの人は何もしない人、いつもここで寝てる人」

ルッカ
「この部屋はなに? 資財とか何処から運んで誰が作ったの?」

スペッキオ
「全部僕が作ったのね。そこのお爺さんにダメ出しされながら。センスの良い部屋を作ったつもり。資財は僕の中からだけど…

ルッカ
「魔法で作ったということ?(なるほど。魔法が酸素とかワープさせたり、あるいは無から生み出してるとすれば、この空間全部を魔法で作ることもあり得るか…)

ルッカ
「ゴハンとかどうしてるの? 私お腹減ったけど、もしかして、食べ物も魔法で生み出せるの?」

スペッキオ
「スペッキオは、お腹減らないから食べない。生み出す事はてきるよ。

ルッカ
「じゃあ、ハンバーガー出せる?

スペッキオ
「スペッキオそれわかんない。

ルッカ
「どんなものが出せるの?

スペッキオ
「スペッキオはチャーハンが好き

ルッカ
「じゃあ、それお願いできるかしら?

スペッキオがチャーハン!と唱えると器に盛られたチャーハンが出てきた。
スペッキオはそれを貪った。

ルッカ
「…」

スペッキオ
「ごめん、お腹空いてないけど、おいしそうだからつい食べちゃった。もう一つだすね。


クロノ達はスペッキオが生み出したチャーハンを食べた。

ルッカ
「もしかして、オイルとか車とか、兵器とか生み出せるのかしら

スペッキオ
「何でも生み出せる訳じゃないの。スペッキオが生み出せるの、単純なものだけ。

ルッカ
「チャーハンって料理としては作る過程とか複雑だと思うけど…


ルッカはチャーハンを調べた。見た目も味もチャーハンに違いないが、胃に貯まらない感じがした。

ルッカはチャーハンを食べながら、この時の最果てに来る前の事を思い出した。ドローンが入れなかったこの世界。でも手元にはドローンが実際にある。
ルッカはドローンを飛ばして部屋の外を調べてみた。

暗闇が続くだけで、他には何も見つからない。
部屋の外にあるゲートにドローンは入らない。
ルッカがドローンを手元に戻すと、
バッテリーの残量メーターが減ってない事に気付いた。


「どういうこと? もしかして、この世界では時の流れが止まっている?」

「だとしたら、この世界にいると老化しない事になるの? 
空腹が満たせないのも、私達の時が流れてないからなのかしら?」

ルッカはロボにボールペンとチャーハンを持たせ未来に一度帰って貰った。ロボはチャーハンを持たずに帰ってきた。

ロボ
「なぜかゲートをくぐった瞬間に、チャーハンが消失しました。ボールペンはゲートの向こう側に持っていけず足元に落ちました」

ルッカは時計を見た。ここに来て何時間も経過しているが、時計は止まり殆ど進んでいなかった。ロボには未来に行って帰るまでに秒数をカウントして貰ったが、ルッカが数えた秒数と一致していなかった。。ロボのカウントの方がルッカの30秒多い。

ルッカは1つの結論に至った。この時の果て世界は時がゆっくり進んでいる。、またこの世界は物質的には存在していない。 


ルッカ
「恐らく、異空間に入った私達の身体は今も異空間の中に無秩序に漂い続けている。でも、意識では互いに繋がり認識し合っていて手を繋いだり、ゴハンを食べたりできるけど、実際には手繋いだりゴハンを食べた事にならない。」


「たとえば私のメガネを外して、この世界に置き忘れてゲートから出たとしても、メガネは装着したままゲートから出るに違いないわ。」

ルッカ
(この世界でドローンが飛ばせたりできるのは、私がドローンを飛ばせる物として存在を認知しているからかもしれない。

スペッキオが物質的に物をこの世界に運べるならば、反対に外の世界に自身を持っていける筈で、でもスペッキオはずっとここにいた記憶しかない。恐らく外の世界に出られないということ。

部屋のインテリアや壁も全ては想念の様なもので、スペッキオですら実体のない幻なのかもしれない。
老人もずっとこの世界にいる存在、この老人も実体のない想念的な存在なのかもしれない。

クロノ達は腹が空いていた。しかし現代ではクロノは指名手配されているだろう。安全な場所はどこにあるのか?


時の最果てに存在しているのは7つのゲート。
ロボに頼んでゲートの先を探査して貰い、安全性を確認して貰った。

ゲート1
千年祭会場、ルッカのテレポッドブース
ゲート2
現代の森、クロノが偶然にゲートを見つけた場所
ゲート3、ゲート4は、クロノ達が未来で最初に出てきた所と、時の最果てまで繋がっていたゲート
ゲート5は中世に。クロノ達が行った山中へ行ける

ルッカ
「こう見ると、全てのゲートが、一度は私達が通った場所に繋がっているようね…
この時果て世界が私達が辿った記憶から生み出しているという説明がつくけど…」


クロノ達には記憶のないゲートが1つあった。

恐竜時代へと繋がるゲート

ロボによるとゲートの先では恐竜や恐竜人がいたらしい

ルッカ
「恐竜時代に行く勇気は流石にないわね…」

クロノ達は中世に向かった。リーネを魔物から救った礼やらで、きっと食べ物に有りつける気がした。