クロノ一話(ボッシュが気を利かせてこっそり武器生成の魔法を人々にかけてる展開)
午前7時、プルーインパルスがガルディア西海岸の軍事施設から発信し、宮殿上空を横切る。市街上空にて編隊が交差し、千年祭会場を横切るとガルディア文字が浮かび上がり、オリンピックのようなセレモニーがはじまる。
ガルディア建国1000年(西暦20X6)
先進国の中ではあまり話題にならない国であり、人口200万程で目立つ観光スポットもなければ特産品も少ない。とはいえ昨今の世界情勢、環境問題諸々、今だからこそ何かできないかと思案したガルディアは建国千年を口実に祭典を開いた。
祭典のテーマは『夢』
文化、技術振興を目的とし、世界の基礎的研究を一同に集めて夢を披露する。堅苦しい祭典にならないよう娯楽や飲食に関するブースも数多く出店される。
営利非営利問わず世界各国から常時100以上のブースが最大10万人が収用可能なドームにて展開される。ブースの内容は日ごとに替わり、半年かけて1000の団体が出店する予定とされている。
クロノは飛行機の音と共に目覚めた。
寝不足だったクロノ。連日ルッカのテストに付き合い、昨晩はゴンザレスのバランス調整とプレゼンスピーチに付き合ったりと徹夜続きだった。
ルッカの発明は当日テレビやマスコミの取材が殺到するはずで、ルッカが調子にのるのは仕方ないとして、友人としてクロノもインタビューを受けるのが予想され鏡で身だしなみをチェックする。
その傍らでジナも身だしなみをチェックしていた。彼女もルッカを会場で応援する為にオメカシの準備をしていた。
二人は車に乗り込んで会場へ向かう予定だったが、テレビから渋滞のニュースを聞き徒歩での移動に変更した。
会場までは徒歩で5分程度であり、クロノはジナより先に出た。
道中にて携帯がなる。
「クロノ! 悪いのだけど私の家からテレポットのサンプルを持って来てくれないかしら?」
サンプルとは出力の低い小型のテレポート装置であり、ルッカは本格的な大型装置を制作する前に低コストな小型装置を造っていた。
「本当なら父さんか母さんに頼もうと思ったのだけど…記者達がなんか煩くてね…。公開テスト前にサンプルの取材をしたいらしいのよ。バイト代弾むからお願い! 」
父タバンはルッカとは別の発明に関わっていた。別のブースで忙しくしていて手が離せない状態で母ララも新型義足のモデルとしてプレゼンの準備に追われていた。
開演まで残り15分、クロノはルッカ宅にいた。
ルッカ宅は登録された友人の指紋と網膜を認証して入場させる。
セキュリティはいくつかの段階に別れ、クロノが家に入った情報は即座にルッカのスマホへと送られる。もしクロノでない者が侵入した場合、セキュリティロボが起動する仕掛けになっている。
一人暮らしとは思えない大きな家(ラボ)にてクロノはサンプル機を手に入れると急いで会場へ向かった。
人々の行列を抜けていくクロノ。関係者証を提示し、金属探知のボディチェックを受け、所持品をカウンターに預ける。航空の手荷物検査のようなセキュリティを抜ける。品物を受けとる頃には汗が目に入り視界がぼやける。階段を登りリーネの鐘の前を通る頃、少女とぶつかりそうになる。避けようとした勢いでサンプル機を落としそうになるクロノはそれを守ろうしてバランスを崩し盛大に転げてしまう
少女は心配そうに声を掛けた。
「あの~、大丈夫ですか…
ゴメンなさい、私、急いでて前をよく観ていていなくて、どこかケガとかありませんか?」
クロノは立ち上がると自分こそ悪いのたと言わんばかりに頭を下げた。
ケガもなく心配する必要なんていないよと、少女に謝罪をしたクロノはルッカのブースへと向かった。
人にぶつからないように小走りで向かうクロノ、何故か少女もついてくる。
よく観ると少女には関係者証のネームプレートが無かった。
不法侵入者だとしたら委員会に通報しないといけないが、時間の余裕が無かったクロノは問題を放置した。
少女はクロノに並走するようにルッカのブースへと来ていた。いつの間にか少女は眼鏡をかけていた。形は丸型で少女は発明家ルッカのファンであることが想定された。
「クロノ、その隣にいる子はだれ?」
「あ、私、マールといいます。実はルッカさんのファンで、いつもテレビで観て応援してます!」
「そう、ありがとう。あと、その眼鏡、良く似合っているわ」
少女は眼鏡をくいっと上げて喜んだ。
ルッカは顔をまじまじと見つめた。少女の顔に見覚えがあるようなないような。
疑問はさておき、サンプルを記者達に見せたルッカ。
「一応、これがテレポート装置なんだけど…。 でもね、これは到底発明品と呼べる代物ではないわ。私にもテレポートの原理構造がよく判らないのだもの。なにせ実験的に作ったAIが導いた構造を元にして作っただけだしね。」
記者らに小さなテレポート現象を見せるルッカだが、ルッカ自身がその仕組みを理解しきれなかった。その様な発明を大手をふって自身の発明品だとは思えないルッカは素直には喜べず、せめて自分以外には素直に喜んで欲しいとの願いからサイプライズを計画していた。
テレポート装置の存在は祭を盛り上げる為にと開演直前までその存在を公にしてこなかった。とはいえ隠しきれるものでもなく千年祭委員会からの出展物審査を受けた際に関係者から情報が外に漏れてしまい噂が広がっていた。
祭典で人々が最も注目しているのはテレポート装置を開発したとの噂が広まっていた『ルッカ・アシュティア』のブースである。アシュテイア家は代々名だたる発明家を輩出する家系でルッカ自身も身分は大学生でありながらもAIに関する特許を複数所有する個人発明家でもあった。機械工学にも詳しく、商業用カラオケロボや軍事兵器に転用できそうなロボを開発したりと、政府や企業が一目置いている。ルッカのファンは数万人規模でいて、当日の会場はルッカのファンでごったがえしている。
ルッカは有名人でありボディガードが必要とされた。千年祭委員会はルッカのブース周辺に警備員を10人配備し、観客がブースに雪崩れ込まない様に非常線をはっている。当日はルッカ特集の番組も放送され、リアルタイムに公開実験映像が流される。ガルディア人の殆どはチャンネルをルッカに合わせていた。クロノはルッカの助手(夏休みバイト)としてサポートする予定だった。
~少し前のマール~
開会式のブースにてセレモニーが終わるとガルディア陛下の挨拶が始まる。マールは王族として父の公務に同席していたが祝辞の最中に席を抜けだし、護衛の監視をふりきった。マールは王族の立場から逃げようとしていた。
王家のしがらみに不満があったマール。
常に護衛をつけられ監視され何事もスケジュールに合わせてしか動けない。外出には申請書類が必要でその都度審査に時間が奪われる。別にそれらに嫌気がさしたという訳ではない。むしろそれらは生まれながらの習慣として当たり前のものであった。
マールは一般人の生活スタイルに憧れていた。庶民を体験する機会に恵まれなかったマールはテレビや漫画、アニメが発信する主人公像に魅せられ、強い影響を受けていた。
マールは自宅に置き手紙を残した。そこには一人立ちする旨が明記され、『仕事が決まって生活が安定したら連絡するから安心してね。』との一文を添えていた。
マールは変装の為、髪型をポニーテールにして、正装服を脱ぎ捨てた。そして予め通販で購入していた変装眼鏡をかける。自由になるオカネを持たされていなかったマールは出店企業の中から当日バイトの面接を受けるつもりで走っていた。マールはキャンディー屋さんや、スイーツ屋さんで働きたかったのでそのブースへと走った。
7時30分、セレモニーが終わり、ガルディア王は演説の最中だった。その隙にマールはキャンディー屋さんで面接を持ち掛けるものの撃沈。嘘にまみれた履歴書を握りしめて意気消沈していたが心機一転。別のスイーツ店に走っていたところでクロノとぶつかった。
クロノはぶつかったマールに謝ると急いでルッカの元へ向かった。 リーネの鐘がなる頃であり、千年祭はちょうど開演したばかり、まだリーネの鐘の前に人はいなかった。鐘の場所はとにかく目立つ場所であり、マール自身この場にいては見つかるリスクが高いと思い、クロノと並走しながら走った。
遠目から見ればマールは出店する関係者の仲間に見えなくもない。クロノに紛れてマールはルッカのブースへと向かった。
マールにとってもルッカを間近で観察できる丁度いいタイミングでもあった事、また開演と同時刻でもあり、まだルッカのファンではごった返していない。最前列でルッカの発明ショーが観れるマールはワクワクしていた。
程なくしてルッカのファンでごったがえしたブース。マールはルッカファンの人混み紛れてカムフラージュが成功する。
○ルッカのスピーチ
「今回開発したこの越次元空間交換マシンはテレポートが可能になる装置です。【交換】との名が示すように離れた空間同士を次元を越えて交換する事によってテレポートを実現させます。今は5m区間での交換に過ぎませんが、改良を加えれば地球の裏側にまで瞬時に行けるようになります。その仕組みですが…実は私にも判っていません。実験的に作ったAIが導いた回路構造を元に作ってみたら本当に実現してしまったもので、私の自身も信じがたく、とても驚いています。AIが人間の知性を越えた証明でもあると思うのですが、しかし、どうしてそうなったのかも理解するのもまた難しく、その事で私自身が納得いかない問題抱えてしまい発表するのを躊躇っていました。今回、事前に発明の内容を発表しなかった理由ですが、サプライズにしようと思ったからです。この発明はAIによるもので私自身はサポート役に過ぎず、私自身が素直に喜べなかったのです。せめて私以外の人々には素直に喜んで欲しくて、祭典の場を借りて突然発表しようと思ったのでありますが、どうやら既に噂として広がり周知されている様で…。私の爪の甘さが招いた事で誠に残念ですがサプライズは失敗に終わってしまいました。この場を借りてお詫び致します。長い話をして申し訳ありません。では、さっく、まずは私と助手のクロノが挑戦してみせましょう。」
ルッカは左の台座にクロノは右の台座に立ち。ルッカがタブレット端末を操作すると機器が起動して転送交換が完了した。交換は一瞬の出来事あり地味であるものの、会場の参加者、テレビの前の人々が歓喜を上げた。
会場からテスターを募る。
ルッカのファン(ルッカの実験ならば殺されてもいいファン)が名乗りを上げる。
マールは目立つのを躊躇いつつもテスターとして名乗り出て座席に座った。
クロノはルッカの助手としてテレポート装置に座る人々を監視していた。万が一装置が誤作動し、被験者に危険が及ぶと判断される場合に装置から被験者を引きずり離す(守る)のがクロノに与えられた役目だった
無線機に安全確認を報告するクロノ。装置にテスターが入る度、装置から異臭や異音がないか等のトラブルの兆候や、テスターの落とし物はないか等のチェックをしていた。問題がないと判断する都度、それを無線でルッカに報告する。
テストでは5m離れた台にテレポートするはずだった。 マールが首にかけていた金属に問題があったのか装置が異状音を鳴らし始めた。 クロノは直ぐに異変に気付き、無線で報告した。
スパークが発生し、ルッカは緊急事態に対応する為、装置の電源をオフにする。しかし、スパークは止まらない。装置は電力供給を止めたにも関わらず動き続けた。会場がざわめく。
ルッカは斧を使い、電気ケーブルごと切断するものの装置は動き続けた。
マールが消失する
会場がパニックし、あせったルッカだが彼女のCPUが高速演算する。
『皆さん落ちついて下さい。これは単なる事故なんかではないでょう。失敗は成功の元といいます。あの空間の歪みはきっと新たなるサイエンスの発見なのです。これから私もあの空間の歪みに入り、少女を助ける運命にあるのです。』
『幸いにも事故の原因となっただろうペンダントはここにあり、再現実験は可能かもしれません』と演説するルッカ
ペンダントがゲートに入らないように、紐で結んで再現実験をするルッカ。
1.マールが消える前にペンダントを外して投げたのと同じ様にペンダントを装置からはずす。
2.安全確認の為に発生したゲートにドローンを送り込むものの戻ってこない。
3.テレポート機器には波動観測装置が取り付けられていた。機器に悪影響を与える電磁波が発生したとき、それと同じ波長を発生させて影響を相殺する仕組みがる。ペンダントが機器へ与えたのと同じ波長を発する電磁波発生装置を使うと、ペンダント無しでもゲートが開くかもしれない。試してみるとペンダントが無くてもゲートが発生
4.試しに小型のサンプルに電磁波発生装置とドローンを合体させてゲートに投入。数分後に起動するように設定しておくと、ドローンが帰還してきたので、向こうの世界からもゲートを開けられるのだと結論。ドローンから得た映像や酸素チェッカーで安全確認をして、みずから行こうとするものの、クロノに止められる。
「たしかに、私の身に何かあればゲートを開ける装置を作れなくなるものね…」
クロノがゲートを越えると、茂みから後をつけられて見たことない青い生物に襲われる。
青い生物は力が強く、戦いでは太刀打ちできない。クロノは逃げるのに誠意一杯。青い生物はゲートホルダーの入ったリュックを狙らっていた。
向こうの世界で何があるか分からないからと、ルッカから武器となるアイテムを渡されていたクロノ。千年祭会場では武器の持ち込みは禁止であり、クロノが渡されたものはドライバー工具、ゴルフクラブ、料理用の包丁だった。
なんなのこの締まらない展開は
ボッシュが人知れず魔族対策にと出会いがしらに人々へ魔法をかけていた。その魔法は敵に襲われたとき、その人の手に馴染む武器を自動で生成してくれる。
つまり突如クロノの目の前に日本刀が表れる。
クロノはその日本刀を手に青い生物を撃退する。
危険が去ると日本刀は消失。クロノは訳の分からない疑問が尽きない。
ルッカとの約束は2時間。2時間したらマールが見つからなくても戻らなければならない。
クロノは山を降りて街で聞き込みをしていると、人違いだと言い張る金髪ポニーテール女子が兵士に連れられ、王宮行きの馬車に乗ったという話を聞いて向かった。
門番には現代人の服装から異国の人間に見えて不審者がられる。リュックの中身をガサ入れされると、
門の奥からリーネを演じたマールがやってきてクロノが場内に
少し前のマール
の内容
追いかけるルッカ視点
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