FF8セカイに転生した私

私は何が原因で死んだのかわからない。いや実際には死んでいるのかさえわからない。ただFF8世界のオープニング場面、スコールとサイファーとの戦いの場にいた。魂体の私は彼らを見守っていた。

サイファーの気持ちが私に流れ込んでくる。サイファーにとってスコールとは幼なじみであり同じガンブレード持ちとして内心では友のつもりだった。。
サイファーは優秀なスコールが試験に合格するのを確信していた。サイファーはスコールが試験に合格してクラスメイトでなくなるのを寂しがっていた。ケガをさせて試験を妨害したところでケアル等で回復されてしまうだろうし、
サイファーは、自分がもし勝負に勝ったら卒業試験に出ないように(留年するように)スコールへと要求したかった。

サイファーは人生に投げやりだった。憧れていた魔女の騎士にはなれない。
人類にとって魔女は敵であり、その魔女アデルは何年も前にエスタに封印された。憧れていた魔女の騎士には成ることできない。
サイファーは人生の進路を見失い、半ばやけにスコールにからんでいた。

サイファーの攻撃がスコールの額に当たる。しまったやり過ぎたと思ったサイファー。一応ケアルで回復できるからいいとしてもこの出血量だと痛いだろうに。実践に向けた練習という事だったからやむ得ないとしても

サイファーが手心をくわえようとしたとき、スコールの目に血が入り込む。額から流れた血が視界を遮り、スコールは態勢を崩し、大きな隙が生まれた。サイファーならその隙を見逃さないはず、とスコールは敗北を悟り敗けを認めた。

勝ち負けの戦い。少なくともスコールにはそうだった。負けた側は勝った者の言うことを聞かなければならない。

サイファーの希望はスコールが試験にでないことだったが、そんな無茶な話を聞いてくれるはずもなく、
『スコール、お前は俺に負けたんだ。敗者は死体であるからその場から動くなよ。』
苦し紛れに意味不明な要求をしていたサイファー。いつものサイファーならば負けた相手には下僕やバシリのような要求をする。スコールにはサイファーの心の内を読み取る事はできなかった。しかし敗者として死体役をその場で演じたスコール。ガーデンの裏山はちょっと寒い。ここで死体役を続けるのはそれなりに苦しい事であり、敗者への罰ゲームとしては適正に評価できなくもないとその時のスコールは思った。問題はいつまでそうしていればいいかだった。常識的に考えれば授業が始まるまでだろう。スコールはおとなしく死体を演じた。
スコールが額の傷をケアルで回復しようとしたとき、『その傷は俺に負けた証としてそのままにしとけ』

サイファー特有の罰ゲームなのだろう。スコールはその様に解釈したが、サイファーにとってはスコールとの繋がり『証』のようなものだった。

敗者は勝者の願いを聞くこと。スコールが勝った場合には、くだらない因縁をかけたり絡んで来ない事をサイファーに約束させた。その要求が内心で悲しかったサイファー。
スコールはコミュニケーションが下手であり、会話のとっかかりが掴みにくい。構おうとすると、構う側がどうしてもしつこく、うざくなる。年上サイファーとしては変なプライドもあり下手にでられず、ぶっきらぼうな態度を幾度もしてしまいスコールへの印象は最悪だった。

スコール、死体役をしていたら生徒に心配され保健室に運ばれる。そしてカドワキ先生に説教を食らう。額の手当ても拒んだ。問題児を二人の担任キスティスは呆れていた。






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