クロノトリガー(ヤクラのような昆虫系魔族の弱点は殺虫剤である。)
昆虫は人間とは呼吸システムが異なり全身から酸素を吸収する。人間でいうなら肺が外側に丸出ししているようなもの。
そもそも人が殺虫剤に耐性あるのは鼻や口の面積が小さく、殺虫剤の吸収効率が悪いからで、もしも外側に肺がついていたら蚊取り線香やアースノーマッドでも致命的なダメージを受けるだろう。
「クロノ!これをつかって!」
ルッカは虫除けスプレーを投げた。
ゲートを抜けた先が山の中だった事、たまたま虫除けスプレーを用意していたが、これこそがヤクラにてきめんだった。
ヤクラは体格の大きさから致命的なダメージには成らなかったが、吐き気と目眩、頭痛をもたらし、ふらふらとバランスを崩した。
対してカエルとクロノは準備万端だった。
「いくぞクロノ!」
エックスぎりー!
ーは炸裂しない。
なぜならクロノは西暦2009年生まれ。サブライムショックの真っ只中に生まれた現代っ子、スマホ世代である。実戦経験は皆無であり、木刀すら持った事がない。修道院にて偶然に手に入れた鋼鉄の刀を所持するもののあくまで護身用。クロノは平和主義思想に染まった現代っ子であり、積極的に攻撃を仕掛けるなんて事はできなかった。
「マールが消えたままでいいのクロノ!」
マールの問題についてはクロノ自身釈然としていなかった。
リーネが死んでマールが生まれない世界が作られるならば自分はそもそもここにいないはずで、マールと出会ってないはず。
マールとは今日知り合ったばかりの赤の他人であり、危険を犯してまで助けにきたのはルッカの為だった。千年祭の注目イベント、テレポート公開プレゼンにて事故を起こしたルッカが不憫だった。もしかしたらテレポート先の座標がずれでマールは死んだかもしれない。もしそうならルッカは世界中の人々から大バッシングを受け、最悪自殺してしまうかもしれない。幼馴染の未来に悲観したクロノはルッカを助けるべく命をかけて事故の再現実験をした。ルッカの制止をふりきって勝手に装置を起動してゲートに飛び込んだ。
ルッカが自殺し、ルッカが居なくなる世界がくるなら、いっそ死んでも良いとすら思っていた。完全に冷静さを欠いて我を忘れていたといえる。冷静になってから後先を考えてない、命を軽んじた行動だったのだと気付く
マールの存在が消えてしまうならルッカを責める者は誰もいない。
「何をぼっーとしているのだクロノ! 」
カエルの攻撃はヤクラに届いている。ダメージが蓄積される。だがヤクラの表皮は固く刃こぼれは酷くなる
ヤクラは反撃の準備をはじめていた。
カエルがクロノから刀を奪いヤクラを攻撃しようとしたき、ヤクラはミサイルのごとくドリル的なものを全身から飛ばした。四方八方に広がる爆裂ドリルが無数、それらは回避不能で鋭利な攻撃。それはヤクラの一番近くいにいたカエルが最も受ける。
握りしめた刀は床に落ちる、
カエルは全身に針がささり瀕死の重傷。
ルッカは柱の陰でやりすごしていた。クロノは頬と足、左腕にいくつもの針が刺さっていた。
目の前にいたカエルが壁となりその程度で済んでいた。
ヤクラはふらふらしている。次のドリルがくる前に…
今のうちに逃げるべきと思った。だがクロノはカエルの足元にあった刀を取り、ヤクラに攻撃を仕掛けた。
ルッカは工業用オイルスプレーをかけた。
昆虫類は表皮で呼吸する。油をかけると呼吸穴に膜が作られ酸素の供給が絶たれる。
ヤクラから二度めの攻撃がくる前に、窒息死させるか、刀で刺し殺す。
この世界にポーションなんていう都合の良いアイテムはなかった。カエルの死に報いる為にまた確実に助かる為に、クロノとルッカは心を鬼にして…
回復アイテムはないけれど、その代わり囚われていたリーネには超能力オーラが使えた。
リーネが誘拐された原因は、人間であるにも関わらず魔法のような現象(超能力)が使えた事だった。ヤクラはリーネの正体が人間に成り済ました魔族だと思っていた。自分たち以外の勢力がガルディアを狙っているとし、その勢力について調査をしておきたかった。
リーネはオーラでカエルを助けた。その後、騎士団がかけつけ、修道院を制圧する。ヤクラはまだ息はあり死んでいなかった。尋問して情報を引き出すべきとされ、ヤクラにもオーラをかけられる。
。
ヤクラは全身を鎖で捕縛され、収容所へ運ばれていく…
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