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【最終報告書】”働く”のやめ方~地方在住フリーランスが晴耕雨読を実践する「いつかリタイアする日」の練習  #私の働き方実験 #研究報告書

2022年6月から12月までの期間 #新しい働き方LAB  の研究員2期生として #私の働き方実験  に参加しました。この記事はその最終の #研究報告書  です。

実験の目的と背景(計画書から再掲)

人生も後半戦に差し掛かり「稼ぎたい!」という欲求はもうすでになく、「いかに働かずに楽しく過ごすか」が私の生活のメインテーマになってきています。

仕事、家族との時間、そして新しい何か、の最適なバランスを追求していくのが自分のためのこの研究の目的です。

またこの実験は、いつかリタイアする日を迎えるビジネスパーソンの新しい生き方を探るものでもあります。過去の先輩の時代とは違い、私たちは現役引退後も40-50年の時間を持つことになります。何の準備も練習もせず、いきなり「働かない生き方」をスタートして大丈夫なのでしょうか?いろいろ試行錯誤できるうちに一回練習しておいてもいいんじゃない?と思ったりもします。

これからの社会的・経済的事情を考えると、先輩方のように〇歳で定年退職、そこまでしっかり働いてそれより後は悠々自適、ということにはならない気もしています。80歳くらいまでは現役時代ほどではないにせようっすら働くことになるんじゃないかな。

そういった背景も踏まえて、「少しの仕事で楽しく生きる」という生き方の練習をするのがこの実験です。

検証したいと思っていたこと(中間報告書から再掲)

ときどきこういうことをおっしゃる方がいます。

「悠々自適なんてすぐ飽きるよ。暇すぎて苦痛だよ」
「地方移住しても都会の生活が恋しくなって戻りたくなるよ」

たぶんそういう人もいるし、そうじゃない人もいるでしょう。これはもう個人の特性・タイプによるんだと思います。そして自分がどういうタイプなのかはやってみないことには分からなんじゃないかと思います。

これまでの先輩方の中には、長年会社員として働いてきて、定年を迎えた時に一念発起して地方に移住して悠々自適の生活を始めてみたはいいけど、自分には合わないことが分かったという人もいたのでしょう。「思ってたのと違う」というのはどこにでもあり得ることですから。

ですからこの実験では、本格的なリタイア生活に入る前に練習をします。自分の特性・タイプを実践を通じて検証していきます。100%自分のためだけに行う実験です。

言い換えると、

「やらなければならないことを特に持たない自由な生活」は自分に合っているのか?

を明らかにしていきたいと思います。

活動の概要(計画書から再掲)

とりあえず会社員を辞めて、東京から地方に移住するというところまではもう済んでいます。

生活の中の「仕事」「家族との時間」「新しい何か」の3本柱のうち、「仕事」はもう重要じゃありあません。「家族との時間は」今までもこれからも重要です。「新しい何か」を試行錯誤するのがこの実験の活動の中心になってきます。

新しい何か1:家庭菜園

王道です。おじさんが仕事を引退して始めがちなものと言えば、「そば打ち」か「農作業」でしょう(偏見)。
リタイアの練習として家庭菜園を外すわけにはいきません。
畑は借りました。

なにぶん家庭菜園1年生なもので、何をどうしたらよいのか分かりません。
分からないながら少しやってみて気が付いたことがあります。農作業はその土地の気候(気温、風の強さ)や周囲にどんな動物・鳥がいるか、畑の土の質、に大きく依存することを学びました。ちなみにここは長野県です。

そこで農作業の記録を取ることにします。何月何日に何の種をまいたのか、いつ発芽したのか、どんな作業にどれくらいの時間がかかったのか、肥料はどのくらいやったのか、いつ収穫したのか、などを記録し、来年のために残します。要は家庭菜園日記です。

新しい何か2:学習

目指す姿は「晴耕雨読」です。とりあえず晴れた日に耕す場所は確保できました。あとは雨の日に読むものです。せっかくですから、今まで触れたことのない新しい領域の勉強を始めることにします。プログラミングなんていいんじゃないかと思いました。
仕事やスキルアップのための勉強というのはビジネスパーソンの多くが取り組んでいることと思います。今回取り組むのは「仕事に必要だから」とか、「スキルを獲得して案件を受注できるようになりたい」という金につながる方向ではない学習です。欲がない分、後回しになって結局やらなくなる・・・なんていう結果が予想できます。
リタイアの練習としては、どうすれば生活の中に学習をバランスよく組み込むことができるかという試行錯誤そのものが活動になります。

実験活動から得られた結論とその根拠

家庭菜園

2022年の家庭菜園活動結果です

初夏

まずは家庭菜園に行って何か作業をした回数と時間を月別に見てみると

作業回数

月別作業回数

作業時間

月別作業時間

合計作業回数 49回
合計作業時間 78時間05分

となりました。

やはり夏野菜メインで栽培しましたので、夏にピークがきています。
5月から7月にかけて種まきに加えて、この時期ぐんぐん伸びてくる雑草取りのために、こまめに畑に行く必要がありました。

8月になると回数が減ってきているのは、暑い中あまり行きたくないというのもありますが、この時期になるともう新しい種をまく必要がなくなり収穫だけになるためでしょう。

作業時間を作業回数で割って、1回当たりの平均作業時間を出してみます。

平均作業時間

月別平均作業時間

季節によらず、だいたい1回当たり1時間半を費やしていました。

収穫できたもの
・小松菜 ・チンゲン菜 ・リーフレタス ・キュウリ ・ナス ・ピーマン ・ズッキーニ ・ネギ ・オクラ ・トウモロコシ ・枝豆 ・ジャガイモ ・ブロッコリー ・サツマイモ ・キャベツ ・ほうれん草 ・白菜 ・大根 

収穫については満足しています。とれ過ぎて食べきれないくらいです。
来年は活動量をあえておさえて、収穫を減らすという手も考えられますし、もっと多品種少量栽培に挑戦するという手もあるかもしれません。
やはり1回やってみるというのは大事なことで、次年度につながる良いデータがとれました。

「私の働き方実験」の結果としては、まずは家庭菜園は自分に合っていそうで、これをやることにしんどさ・つらさは感じない、今後もやり続けられそうだということが分かりました。
続けるにしても、夏のピーク時でも週に2回、1回1時間半くらいの時間を取ればいいということも分かりました。

学習

・プログラミングを動画学習教材で学ぶ
・統計を書籍で学ぶ
ということを中心に進めてきました。
動画教材の視聴時間は 約110時間 読んだ書籍は10冊でした。

こちらはまだまだ初学者レベルです。
windows PCにwslでubuntu環境を作り、dockerでanaconda環境のコンテナを作って、コンテナのjupyter labで練習するという学習環境を自力で作れるところまできました。こうすることで本体のpcにあれこれインストールしなくて済むので安定性が高まるかなと思ってやっています。仕事にも使うPCなのでなんか変なことになっても困っちゃいますし。

学習の方は新しい知識に触れるというのが単純に面白く楽しいということと、少しずつできることが増えるのも精神的に良い影響がある気がしています。

一方で、最初考えていたよりは学習ペースは遅いと感じます。やはり締め切りなどがないので自分にそこまで厳しくできないのかもしれません。
あと、学校に行き始めていますがこれも楽しいです。

「私の働き方実験」の結果としては、学習も楽しいので続けたいが細かく目標を決めるなどペース配分を自分で設定した方がよさそうだということが分かりました。

実験活動から得られた気づき

晴耕雨読とは昔の人はよく言ったもので、どちらも何か育てているということがよくわかりました。
何もないところに種をまいて、大きくして、収穫する。
晴耕も雨読も両方そうなんだという実感です。
晴耕は目に見える形で、外に種をまく。
雨読は目に見えない形で、内側に種をまく。

なんかうまいこと言った感じになっちゃいましたけど、これは本当にやってみて気づいたことです。悠々自適というのとはちょっと違うな、と思いました。

今風の言葉で言うと「成長実感」とか「自己効力感」みたいなものに近いかもしれませんが、もっと素朴な話です。
晴耕雨読というのは何か仙人みたいなにおいがちょっとしますけど、社会と少し距離を取って生活するときには、自分で自分に薪をくべるというか、自分にも何かを与えながらやるといいよ、という先人の生活の知恵みたいなTipsを端的に表している気がしました。

研究に関する考察・これから

<考え方・価値観>

  • 市販の食べ物ってすごいなとあらためて思います。あのクオリティをあの値段でだせるなんてすばらしいです。

  • 無農薬で商品にするというのはとてつもない労力がかかってるんだなとよくわかりました。基本虫だらけですから。無農薬野菜を求めながら、野菜売り場に虫がうじゃうじゃいないことも求めるというのは無理がある気がします。

  • 仕事しないというのは貴重な時間の使い方。仕事しない期間をつくれるように準備することも大事。

  • 時間を空けてみれば、何かしらやることは自然に出てくる。隙間がないとでてこない。

  • 計画を立ててから実行するんじゃなくて、実行して何か分かってから計画を立てる。やってみて初めて計画の立て方が分かる。野菜作ったことないのに野菜づくりの計画は立てられないし、プログラミング勉強したことないのに学習計画たてても無理が出る。

<具体的な成果・仕事・働き方への影響>

  • 野菜を買うことが少なくなり、食材費が減った。

  • 季節をより身近に感じるようになった。

  • コンポストも始めて生ごみを堆肥にして家庭菜園に使うようになった。ごみが減った。

  • 環境意識が高まったわけじゃなくて、肥料代がいらないとか、とれすぎた作物を処理したいという実用上の理由から勝手に循環型生活になった。意識高くない系サステイナビリティ。

  • 自己紹介が楽になった。仕事で初めましての雑談ネタとして「家庭菜園でいま・・を育ててます」というのは、誰かの地雷を踏む可能性がほとんどなく、場も和むのでとてもいい。

  • 週に5日働くとか、決まった時間に仕事をするといった会社員生活にはもう戻れない体になったなと感じる。また、何歳で定年でその先は老後生活という区切りのあるライフプランの選択肢もなくなったなと感じる。なんとなくちょっとずついろいろやりながら過ごしていくのが心地よいと思うようになった。

全体振り返り

いい「いつかリタイアする日」の練習になりました。
この先当分この実験生活を続ける気がします。

全然話が変わりますが、うちではメダカを飼っています。
新しいメダカはいきなり水槽に入れてはいけません。メダカの水を変えるときも全部変えてはいけません。温度やpH、ミネラル成分の比率、アンモニア、亜硝酸の含有量などの差によりショック死してしまうからです。
生活環境を急に変えるのは生き物にとって致命傷になります。

働くのやめ方、いきなり全部やめてしまわなくても今までの働き方を少しやめてみて違うライフスタイルを取り入れてみる、気に入らなかったら元に戻せばいい、という実験をしながら自分の体を慣らしていく、自分にとっていい塩梅をさぐってみるのは大事なことなんじゃないかと思った半年間でした。

#新しい働き方LAB
#私の働き方実験
#研究報告書


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