RAYの『PINK』を聴いてみた編

こんにちは、まさたけちゃんです。


今回は RAY の『PINK』を聴いてみた編をお届けします。


個性豊かなメンバーで構成される、孤高のシューゲイザーアイドル。


轟音のノイズをバックに、美しい声で歌われる珠玉の名曲たち。


是非読んでみて、聴いてみて下さい!


1.Fading Lights  

「結ばれなくとも これは愛だよ」、これは諦めなんだろうか、 それとも、諦めによってかえって強められた愛なんだろうか。

「荒野」、「群青の楽園」、「凍えた森」…、壮大な光景をバックに歌われる、厳しくも強い愛。


2.バタフライエフェクト

 一定だった呼吸がいきなり乱されて、それ以降の人生を決定的に変えてしまう出会い。メンバーの青春の1ページを切り取ったMVの映像がエモい。

3.世界の終わりは君と二人で

 これは、「世界の終わりまでずっと一緒に…」という歌詞ではない。何度も繰り返されるように「失くした」恋のことを歌っている。幼すぎて長続きしなかった恋だろうか。         

 でも、すでに恋は終わっているのに、「世界の終わりは君と二人」とはどういうことなんだろうか。いきなり個人的な話になるけど、前の推しメンが卒業するとき、一緒になりたいなんて大それたことは流石に考えなかったけど、何回も生まれ変わって、ずっとずっと先の未来で一緒になれたら、と夢想することもあった(我ながらいじましい)。

4.Blue Monday

 ライヴでは、冒頭、ストロボ光を浴びて激しくダンスするメンバーも印象的な曲。

 「感傷もたまには必要でしょ?」

 でも、恋愛はいつも感傷的なものなのでは?そこまでまだ接近していない間柄なんだろうか?

 たしかに、RAYの歌詞世界の恋人達はとても禁欲的な感じがする。月曜日だからしばらく会えなくて、それで感情が溢れ出たのだろうか。

5.ネモフィラ

 ネモフィラは空色又は青紫色のちいさな花。RAYのイメージとも合う気がする。「ネモフィラの丘」は海の近くにあるのだろうか。そこに二人で登って、空を見上げている。青一色の楽園。間奏に挿入される声は宇宙船との交信のように聞こえる。二人で青空のさらに上の青い宇宙のことを夢想してるんだろうか。

6.Meteor

 まのちゃんがストロング片手に東京を一晩中さまよい歩く、少し…、いや、かなり危うい感じのMV。僕もライヴを観た後や夜行バスを待つ間に夜の東京を1人で歩くことがよくある。そういうとき、誰にも見えない透明人間になって街を観察しているような錯覚に陥る。かなり強引かもしれないけど、暗い宇宙を孤独に漂う隕石(Meteor)のイメージと重なり合う。

7.尊しあなたのすべてを

 日本古来の和歌と繋がるようなタイトルと歌詞。情熱的な歌詞は与謝野晶子の短歌とも通じ合っているかもしれない。

 MVでは、走る列車の車窓から見る、冬の寂しい田園の風景が続いて、アウトロで暗いトンネルを抜けると、一気に壮大な冬の海になるのが素晴らしい。

8.星に願いを

 ゆっくり始まった曲が一転激しくなり、それが「星に願いを」のフレーズで頂点を迎えたときのカタルシス。その後の印象的な語り。

9.no title

 ほろ苦さのある青春。若い頃、一晩寝ずに過ごして朝を迎えたときの後悔と高揚感(歳を取ってからの徹夜は後悔しか残らない)。

 10.GENERATION

 スマホで聴いていても、ライヴ時の「ジェネレイション!」の掛け声が脳内で再生される。弾むようなリズムとロッケンロールなギターで、他の曲にない、アメリカの青春映画の高校生のような明るさ。

11.シルエット

 月光に照らされて浮かび上がる二人の恋人のシルエット。一般的なアイドルなら南国のビーチの太陽の下、水着で踊っているイメージだけど(?)、RAYには蒼白い月光の中で静かに踊っているイメージがある。アルバムタイトルの『PINK』のジャケットは、一晩中海辺で遊んだ後に二人で見る、朝焼けに染まる海の色なのかもしれない。

12.オールニードイズラヴ

 冒頭のイメージ豊かな詞。

 そして、「この歌はいつの日にか形を失くすだろう」のフレーズ。歌が形を失くすのにどれ位の時間が必要なんだろうか。永遠に近い時間だろうか。

 ラストは、心を高揚させるドラムスをバックに「オールニードイズラヴ」のリフレイン。6分の曲の大団円。

13.スライド

 楽しい1日がまだ終わらないうちに忍び寄る終わりの予感。目前の出来事をスライドを通して過去のように見てしまう感覚。映画のような恋でもいずれは色褪せ、終わってしまう。こう書くとえらく悲観的になってしまうけど、RAYが歌うと、そこはかとない明るさと救いがある。

14.サテライト

 フロアの熱を一気に上げるイントロ。

 好きな人の姿を探しにがむしゃらに街に飛び出すような疾走感。「トゲトゲの心臓」や「笑顔の怪獣」のユーモラスなイメージ。

「サヨナラ、バイバーイ!!」では、遊び終わった子供みたいにみんな笑顔で手を振っている。7分の曲があっという間に終わってしまう。

(最後に)

 こうして改めてアルバムを通して聴いて、歌詞を読んでいくと、「月」「夜」の歌詞が多いなと思った(最近の曲の「わたし夜に泳ぐの」も素晴らしい)。複数の作家がその点で一致するというのは、やはり「RAY」は、月光のRAYなんだろうか。ギラギラ照りつける白熱の太陽光ではなくて、蒼白く冷たい月光にほのかに照らされる青春。これからも色んな光線の下で浮かび上がるRAYの姿を見ていきたい。


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