見出し画像

【SUPER GT 2023年シーズンレビュー🏎💨】

様々な出来事があったSUPER GT 2023年シーズン。少し長いですがシーズンを振り返っていきたいと思います。
まずは各クラス上位陣の戦績から。

GT500

まずはドライバーズランキング(TOP5のみ)を見てみましょう。
1位 : 36号車 au TOM'S GR Supra 坪井/宮田 89pt
2位 : 3号車 Niterra MOTUL Z 千代/高星 63pt
3位 : 23号車 MOTUL AUTECH Z 松田/クインタレッリ 56pt
4位 : 16号車 ARTA MUGEN NSX-GT 福住/大津 53pt
5位 : 1号車 MARELLI IMPUL Z 平峰/バゲット 46pt

36号車は開幕戦岡山こそノーポイントでしたが、その後は全レースでポイント獲得。サクセスウェイトが増えるシーズン中盤戦は堅実に完走してポイントを拾い、軽いウェイトのレースでしっかりと3勝含め4度表彰台に昇り、理想的なポイントの取り方だったと思えます。開幕戦も難しい天候のレースで優勝争いをしてましたが、ピット作業でタイヤが正しく装着されておらず、完全に脱輪してしまう前に車を止めたので、もしあのレースを勝っていたらより圧勝したシーズンになっていたかもしれないですね。

3号車もノーポイントは第5戦鈴鹿だけで表彰台も3度登ってますが優勝が第4戦富士のみの1勝に留まったのが36号車との差でしたね。
あと一歩、36号車に対して速さが足りなかった。

23号車は開幕戦での優勝1回、2位が2回と3度表彰台に登りましたが、第3戦鈴鹿でのクラッシュを皮切りに3戦連続でノーポイントに終わったのが痛かったところ。特に第5戦鈴鹿は2位でフィニッシュしていたにも関わらず決勝後の車検でスキッドブロックの規定違反が見つかり失格となってのノーポイント。これがなければランキング2位で終われていただけに痛かったですね。

16号車も3レースノーポイント(第1、6、8戦)が響きましたね。ただNSX GTラストイヤーでホームコースの鈴鹿(第5戦)で優勝を飾れたのは非常に良かったと思います。NSXで今季優勝を飾ったのはこの16号車、そして同じARTAの8号車の2台のみ。鈴木亜久里もニコニコでしたね笑
また、今シーズン16号車はポールポジションを2度獲得(第5戦鈴鹿、第7戦AUTOPOLIS)しているのですが、実はこれは今シーズンのGT500最多PP。
つまり殆どのレースで違うマシンがPPを獲得していました。サクセスウェイトが効いているとはいえ、「誰がPPを獲るか分からない」それがSUPER GTを面白くしている要素の一つと言えますね。

昨年チャンピオンの1号車はまさかの今季未勝利で表彰台も第3戦鈴鹿で3位の1回のみ。ノーポイントは第4戦富士のみでしたが、あと一歩で表彰台に届かないレースが多く、安定感と相反してあと一つの速さが足りませんでした。

安定感と言えばランキング6位の17号車Astemo HONDA(塚越/松下)も8戦中7戦でポイントを重ねましたが、痛かったのは第6戦SUGO。トップチェッカーを受けたはずでしたが後の車検でスキッドブロックに違反が見つかり失格処分。あれがなければ全戦ポイントゲットでチャンピオンは届かずとも、23号車と同じようにランキングは2位で終われていたはずでした。

改めてこうやって数字に出してみると、本当に36号車が今シーズン突出していたのがよく分かりますね。
来年はホンダがNSXからCivicにベース車両を変えてくるため、それが勢力図にどう影響するか非常に見ものです。GT500はボディを捲れば基本的には全車同じスペックなので、各メーカーで違いが大きく出るのはボディワークによる空力性能。Civicが生み出す新たな風、注目していきましょう。

GT300

こちらもドライバーズランキング(TOP5)から。
1位 : 52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田/川合 74pt
2位 : 2号車 muta Racing GR86 GT 堤/平良 53pt
3位 : 56号車 リアライズ日産 GT-R オリベイラ/名取 50pt
4位 : 65号車 LEON PYRAMID AMG 蒲生/篠原 44pt
5位 : 18号車 UPGARAGE NSX GT3 小林/小出 43pt

52号車埼玉GBは正直シーズン前半はそれほど目を見張るほど突出しているわけではありませんでした。第4戦終了時点では30ptで2号車と並び、56号車は38pt、7号車Studie(荒)は40pt、同じく7号車の柳田は35ptで、他車と比較しても非常に良い争いをしてました。さらに第5戦鈴鹿ではリタイアを喫し、18号車が優勝したのことで更に混戦を呈していきました。
しかし状況が一変したのは第6戦SUGO。優勝するかに思われたファイナルラップ、最終コーナーの立ち上がりでまさかの失速(後にガス欠だったことが判明)。そしてみるみると18号車が迫り、なんとフィニッシュライン直前で18号車が前に躍り出てトップチェッカーをさらっていきました。しかし、その18号車がレース後の車検でスキッドブロック規定違反が見つかり失格処分。それにより52号車の逆転優勝が決まりました。
最もサクセスウェイトの重いこの第6戦を獲れたのは大きかったですね。次戦の吉田のホームでもある九州AUTOPOLISでも優勝を飾り、この時点で2位の2号車との差は20ptまで広がりチャンピオンをほぼ手中に納めることになりました。
ポイントの計算上ではSUGOで18号車優勝、52号車2位でも52号車のチャンピオンはほぼ間違いなかったのですが、やはり優勝しているかどうかは気持ちにも大きく影響するので、このSUGOでの1勝は大きかったと言えるでしょうね。

2位の2号車mutaは未勝利ながらも2位表彰台が3回と速さを示しました。が、反面ノーポイントが3戦あったのが非常に痛かったですね。もしここでポイントをもう少し計上出来ていればタイトル争いは未勝利でも混戦になっていたでしょう。

3位56号車リアライズは第5戦鈴鹿以外の全てでポイントを獲得する安定感がありましたが、表彰台は優勝した第2戦富士のみ。それ以外では4位、5位など表彰台に届かないレースが続いたのが響きましたね。

逆に4位65号車LEONはシーズンの半分がノーポイントレースでしたが2位表彰台に2度上がっているのが効いてランキング上位に食い込んできました。

更に言うと5位の18号車UPGARAGEはポイント獲得したのは僅か3戦、しかし2戦で優勝を飾っており、速い時はとにかく速いという印象を植え付けたのではないでしょうか。18号車は先に述べた第6戦SUGOでの失格がなければチャンピオン争いをしていただけに、非常に悔しい失格となりました。

シーズン

改めてシーズンを振り返ってみると、波乱だらけの1年でしたね。

第1戦岡山300km

開幕戦岡山300kmは雨で始まり、なんとレース中には雹まで降り始めると言う悪天候。落雷もあり天候悪化で赤旗中断。SC先導で再開かと思いきや36号車、2号車がそれぞれピットでタイヤが正しく装着されておらずタイヤ脱落。更に天候も悪化し最終的には82周の決勝が61周赤旗終了となりました。

第2戦富士450km

一転して第2戦富士450kmは晴天に恵まれFCYやSCが出ることもなく、全体的に見応えのあるバトルがあちこちで展開され非常に素晴らしいレースとなりました。

第3戦鈴鹿450km

しかし第3戦鈴鹿450kmは再び大波乱。中盤までは全体的に激しくもクリーンなバトルが各所で展開され非常に見応えのあるレースでしたが、59周目に130Rの立ち上がりからシケインへ向かうところで23号車、30号車apr GR86、87号車Bamboo Airwaysウラカンの3台が絡む大クラッシュが発生。各ドライバー無事にマシンを降りましたが、フェンスなどコース設備の損傷も大きく再開困難で赤旗終了となりました。
またこのレースで決勝中2回の給油義務というルールを終了時点で満たしてなかった3号車にはレースタイムに60秒が加算され順位が決定しましたが、これが後に各方面から様々声が上がり、後にレギュレーションが一部改訂されることになりましたね。

第4戦富士450km

第4戦富士450kmは雨に翻弄されるレース展開。初っ端から2周SCが先導し3周目から実際のレースがスタート。そこから天候は回復傾向にありましたが今度は35周目244号車Max Racing、66周目に25号車HOPPY team TSUCHIYAが相次いで車両火災。244号車の際はSCのみで済みましたが66号車の際は赤旗中断となりました。そしてこの赤旗の間に再び激しい雨が降り始め66号車撤去ではなく天候回復を待つ形で中断が長引きました。雨が落ち着いたところでレースを再開、そこから路面コンディションが変化し終盤はGT300でスリックタイヤへ履き替えるチームもチラホラ現れますがスリックで走るにはまだ厳しかったのかコースオフするマシンも見受けられる状況。無事に予定の100周を走り終えましたが浮き沈みの激しい1戦でした。
なお、今回発生した2件の火災で25号車HOPPYは今シーズン残りレースの欠場、更に244号車Max RacingはSUPER GTからの撤退が後に発表されました。Max Racingはオーナーだった大野氏が2022年開幕前に急逝されてからも奮闘してましたが、非常に残念な結果となりました。
HOPPYは1日でも早くシリーズに復帰できるよう、ホピ子再生プロジェクトが進行中。再び彼らがレースに戻ってくる日を楽しみに待ちましょう。

第5戦鈴鹿450km

夏の鈴鹿は途中タイヤが脱落してコース上で止まってしまいSCが導入されるシーンが数回ありましたが、天候にも恵まれ全体的には非常にスムーズな展開でしたね。第3戦のクラッシュのこともあってか少し皆動きが慎重だったようにも思えましたが、引退を表明していた38号車ZENTの立川はバックストレートでグラベルにはみ出て多少マシンが跳ねてもアクセルを緩めない強気の走りを披露してくれました。
またHONDAのホームコース鈴鹿でラストイヤーのNSX GT(16号車ARTA)が優勝を飾れたのも非常に喜ばしいものでした。

第6戦SUGO 300km

サクセスウェイトが最も重くなるのがこのSUGOラウンド。曇り空ながらも雨は降ることなくドライコンディションでレースは進み、狭いコースで全体的にトラフィックパラダイスで大混戦!バトルも多く非常に見応えのある展開でした。そんな中で中盤にGT300の56号車リアライズとGT500の100号車 STANLEYが最終コーナー立ち上がりで激しくクラッシュし赤旗中断。幸いドライバーはどちらも命に関わるようなことはありませんでしたが、100号車をドライブしていた山本尚貴は検査の結果脊髄損傷などもあり入院、手術とリハビリを要することになりシーズン残りのSUPER GTとSUPER FORMULAを欠場することになりました。
その後レースは再開され再びトラフィックパラダイスとバトルの連続。その中で17号車Astemo NSX GTのステアリングを握る塚越が圧巻の走りでオーバーテイクを披露し、先に走った松下もピットで雄叫びを上げるシーンが映し出されました。
最終的にGT500は17号車Astemo、GT300は18号車UPGARAGEがトップチェッカーを受けるのですが、なんと両車とも車検でスキッドブロック規定違反が発覚しまさかの失格処分。これによってGT500は8号車ARTA、GT300は52号車埼玉GBが繰り上がり優勝となりました。
レースが終わっても波乱ですねぇ(⌒-⌒; )

第7戦AUTOPOLIS 450km

サクセスウェイトが通常の半分になるこの最終戦一つ前のAUTOPOLISラウンド。レースは久々にSC、FCYが出ることなく非常にクリーンなレースとなりました。もちろんバトルの中で多少の接触が見られるシーンもありましたが、今シーズンのここまでの波乱を考えれば非常にスムーズに終わることのできた1戦でしたね。バトルも多くて見応えのあるレースでした。

第8戦もてぎ300km

そして迎えたGRAND FINALのもてぎ戦。そしてこの最終戦も、雨に翻弄されました。しかも、オーバルトラックの内側だけ雨が降り外側はドライという謎のシチュエーション(笑)。各チームタイヤチョイスに悩みましたね。レース終盤はさらに雨が強くなり、ここでチャンピオン争いに最後の望みをかけていた3号車Niterraがコースオフ。レースに復帰は出来たもののチャンピオンの可能性をここで失ってしまいました。一方で17号車AstemoはNSX GTラストランでHONDAのもう一つのホームコースであるこのもてぎで見事3位でフィニッシュ。NSXの最後を表彰台で飾ることが出来ました。
また引退を発表していた38号車ZENTの立川でしたが後半スティントを担当。最後まで非常にアグレッシブな走りを見せ、多くの方が「本当に引退する人の走りかよ?」と思われたのではないでしょうか?
最後の最後まで本気でプッシュする、その姿勢に胸を打たれました。
この最終戦で当然チャンピオン争いが決し、GT500は36号車au TOM'S、GT300は52号車埼玉GBがシーズンを制しました。

シーズンを終えて…

先にも述べましたが、改めてこの2023年というシーズンはレース内容もレース展開も波乱が多くて、何が起きるか?最後に誰が勝つのか?本当に1戦1戦先が見えない、目が離せないレースばかりだったなと感じました。

先日TOYOTAとHONDAそれぞれが来季の参戦体制を発表し、ドライバーの引退や移籍などもありラインナップはかなりシャッフルされてました。
それぞれ新天地で心機一転、来年の活躍を期待したいですね。

2024年シーズンは4月13−14日に岡山で開幕予定。しかしそれまでも様々ニュースは流れると思うので皆さんしっかりチェックしていきましょう。
ひとまず、2023年のSUPER GTに関する投稿はここまでになると思います。
非常に長々とした記事になってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?