連れ立つときには

私が死を思うとき
それは必ずひとりだ
自分はひとりだ
ひとりで死ぬんだと
当たり前のようにひとりだった

首が絞まる視界の霞みを
血が流れる皮膚の感覚を
体が弾かれる衝撃を
体が宙に浮く血液の逆流を

繰り返し想像しては
まだひとりで生きてる

でも老いた猫が1匹
私のそばにいる
彼女もきっともう長くはない
それでも撫でて鳴らしてくれる喉の音に
生を感じていた
そしてその音に私も生かされていた

私が死を思うとき
それは必ずひとりだ
猫の喉の音に耳をくっつけていたら
彼女は、君は、私が死ぬときどうするのって
一緒についてきてはくれないだろうか、
この胸に抱いて一緒に死を待ってくれないだろうか
そんな押し付けようのない我儘を
ずっと寄り添って生きてきた猫に抱いた
私は死へのあまりの傲慢さに
また、泣いた

ひとりで死ねない意気地なしが
今日もまた死を思っては
喉の音に生をすがって
情けなく生きてる

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