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高校3年生!!同窓会に行って来た。

 ほろ苦いという感じとは異なる、キラキラとした初夏の砂浜の匂いを感じる。後ろの松林が外界を遮断して、湖面を渡る、涼し気な風が、その浜辺を支配している。惹かれ合う二人が、私の存在を知らないのか、控え目に、見つめ合っている。自分は嫉妬しているのか、それとも、肯定しているのか、解らないが、遠くから、観ない振りをしている。そんなと言うか、それらしい夢を見たような、思い出がある。
 もっとも希望に満ちた、時代であった。物心ついた頃から、希望らしきものが、見え隠れして育って来たが、後から、思い返して、一番輝いた時代であったと、確信している。それ故に、私にとって、最も大切な時代であったと、思っている。

 初恋は、赤面が消えないまま、終わってしまった。次は上手く、告白すると決心したはずであるが、この時も上手く言えなかった。自分も好きだという自覚もあった。ぎゅうと抱きしめたい衝動を、抑えられない自分が、確かにいた。プレゼントに貰った、ペン立ては、卒業後も永く自分の机の一等席に鎮座していた。そればかりか、手編みの赤い手袋も、貰った記憶もある。どちらを先に貰ったか、記憶は定かでないが、ここで自分さえ男らしくしていら、良かったで有ろうが、自信が無かったというか、責任を捕れるのかという不安が、自分を押し留めていたようだった。今でも申し訳なかったと言う気持ちは、今も消えてはいない。
  機会があれば、自分の方が、好きだったと口にして、謝るべきである。と思っているが、今回も、機会を失った。最寄り駅で、コーヒーブレイクで時間調整して、店を出ると、いきなり女性に声を掛けられた。数秒で、お互い同級生であることを、思い出した。旧姓を確認して、失礼を免れた。
 彼女は、役員スタッフで、出席者を待ち受けていたようだ。待ち合わせ場所を、聞いて、その場所に向かう。バスロータリーに面して待ち合わせ場所のはずだと、周りを見渡すが、思い出の顔が見当たらない。時間が近付いた時、再度周りを見た。その挙動不審で、近くの女性に声を掛けられた。
 失礼ですが、と名前尋ねると、同級生の誰誰です。と笑われてしまった。
自分が先に気付かなければならないのに、思い出の彼女だったのである。

 完璧な淑女であるが、昔の容姿を、ほとんど残していない。成長したのであろうが、幼さが、残る憧れの容姿はそこには無かった。そう言えば、何年か前の同窓会でも、同じ間違いを犯して、素直に成れなかった自分が居た。また、おなじ間違いを、と思った時には、謝る機会を、逃していた。周りの旧友の手前、長く話すチャンスが無く、同じ失態を繰り返した。帰宅後、はっきりと結論をだせないが、今日出会った、彼女は、なぜか、家内と同じ臭いがするような気がした。
 男性陣も、いろいろ変わっていた。おそらく、自分の思う以上に、社会的地位を得たのであろう友人は、自信が臭う重い人間に変わっていた。他には更に好感度を増した、好きな奴もいた。同じ様に、社会的地位は前人と同じであろうが、そこに価値観を感じていないようで、この歳に成っても、前向きに能力向上に努力しているようである。私も更に努力を積み重ねなければ、思わず決意させられる旧友であった。彼女も、出会う時期が、早すぎたのではないだろうか。

 

  

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